人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あれっ、投資の基本は期待値とIRR?


「生涯投資家」(村上世彰著、文藝春秋)


 以下は掲題書(第2章「投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス」)からの一部抜粋。(その2)


『 2.私の投資術ーー基本は「期待値」、IRR、リスク査定

 私の投資スタイルは、割安に評価されていて、リスク度合いに比して高い利益が見込まれるもの、すなわち投資の「期待値」が高いものに投資をすることだ。投資判断の基本はすべて「期待値」にある。いろいろな投資案件において、きわめて冷静に分析や研究をして、自分独自の「期待値」を割り出している。たとえば、100円を投資する場合の「期待値」の計算方法は、次のようになる。

・0円になる可能性が20%、200円になる可能性が80%であれば、期待値は1.6(0×20%+2×80%=1.6)

 期待値1.0を超えないと、金銭的には投資する意味がない。この「期待値」を的確に判断できることが、投資家に重要な資質だと私は考えている。

 私の場合はすべてが「期待値」による判断なので、0円になる確率が5割を超えていても、勝率が1勝4敗でも、トータルリターンが1.0を大きく超えるかどうかで判断する。0円になる可能性が70%であっても、700円になる可能性が30%あれば、期待値は2.1となるのだ。この期待値を的確に判断するには、投資対象の経営者の資質の見極め、世の中の状況の見極め、経験に基づく勘など、実に様々な要素が含まれる。まずは現場における「期待値」を導き出し、その「期待値」を少しでも上げるために、外部要因や将来予測などを冷静に見極めながら、様々な戦略を立てていくのである。

 この期待値という観点から割り出すと、宝くじは0.3、公営ギャンブルは0.75、カジノは0.9強となる。これらは期待値1.0を下回っているので次回は私は手を出さないことにしている。

 「期待値」のほか、私が投資判断を行うにあたって重視している指標がIRR(内部収益率、Internal Rate of Return)だ。手堅く見積もっても、IRRの数字が15%以上であることが基準となる。


 私は資金循環こそが将来のお金を生み出す原動力だと信じている。 資金循環が期待できる案件では、必然的にIRRが高くなる。

 私は「期待値」とIRRにリスクの査定を加味した三点から、投資するか否かの最終的な判断を行う。経済学的には、投資におけるリスクとリターンの度合いは見合っていて、リスクが高ければリターンも高く(ハイリスクハイリターン)、リスクが低ければリターンも低くなる(ローリスクローリターン)。』


<感想>
 著者は、「期待値」とIRRにリスクの査定を加味した三点から投資の判断を行うと言う。オーソドックスな指摘ではあるが、実際には実行できていないことを痛感している。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

by tsuruichi1024 | 2017-07-19 08:00 | 村上世彰 | Comments(0)