人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あれっ、株式上場の二つのメリット?


「生涯投資家」 (村上世彰著、文藝春秋)


 以下は掲題書(第1章「何のための上場か」)からの一部抜粋。(その1)


『企業とその経営者にとって、上場には二つのメリットがある。ひとつは、株式の流動性が上がること。すなわち、株式が換金しやすくなることだ。もうひとつは、資金調達がしやすくなることだ。逆に言えば、この二つが必要ない場合には上場する必要もない、と私は考えている。


 逆に上場のデメリットを考えると、コストがかかる点が第一に挙げられる。企業の規模によっても異なるが、IR(投資家向け広報)など必要な部署とその人材の確保、株主総会を招集するための通知を発送するコストや監査のコストなど、少なくとも年間5千万円、多ければ数億円から数十億円レベルの費用がかかる。直接のコスト以外にも、上場していることに伴う業務は多く、見えないコストもかさむ。そして、デメリットの第二には、いつ誰が自社の株主なるかわからない点が挙げられる。

 こうした点を考えると、株式発行による直接金融で資金を調達する必要のない企業は、上場を廃止して非上場になることを検討すべきだと思う。特に近年流行った「買収防衛策」を導入するような企業は、本当に買収されることを回避したいのであれば、非上場化すべきだ。買収防衛策に限った話ではない。

 株主に向き合う経営が難しいのなら、経営者が自ら株主になるMBO(マネジメントバイアウト=経営者が中心となって自社株を買うことにより非上場にすること)によって、上場を止めるべきだ。上場とは、端的に言うと「誰が買ってもいい=誰でも株主になれる」状態だ。その状態が経営上望ましくないのなら、上場をやめてプライベートカンパニーになるという選択肢を検討するべきだ。』


<感想>
 元経産相官僚で村上ファンドの村上世彰氏が何を考えてどう行動してきたのか。氏の言う、2つの上場の意義、(1)株式の流動性が上がる(株式が換金しやすくなる)こと、(2)資金調達がしやすくなること、は至極ごもっともで、次章以降の展開が楽しみだ。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------


by tsuruichi1024 | 2017-07-18 22:30 | 村上世彰 | Comments(0)