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あれっ、内部留保が悪の元凶?


「生涯投資家」(村上世彰著、文藝春秋)


 以下は掲題書(第8章「日本への提言」)からの一部抜粋。(その4)


  1.株式会社日本

 最近の税制大綱の中で、企業の賃上げに対する法人税優遇措置の一部拡大が盛り込まれた。雇用創出や昇給に取り組む企業へのインセンティブの付与は、もっと積極的に行われるべきだ。

 日本の企業は、総じて給与水準が低い。もちろん、なんでも闇雲に昇給せよというのではない。企業価値の向上に貢献してくれる将来性を見込んで、従業員へのインセンティブとしての昇給やストックオプションの給付、実際に貢献が認められた従業員への大胆は還元は、企業の成長を促すために大きな効果をもつ。企業の成長が経営陣や従業員に跳ね返る仕組みづくりは積極的に進められるべきであり、そのような企業には税制の優遇があるべきだ。

 一方で、一定の水準を超えて利益を留保に回す企業には、内部留保課税を課すべきであり、米国では導入されている。

 ただし、過去に積み上げた内部留保を抱えてはいるものの、近年では赤字決算を続けているというような企業には、そのような課税をしても意味がない。利益の50%以上を三年連続で剰余金に回したら、その剰余金に対して課税を行うことなど、企業が計画もないまま資金を手元に留め込むとことがないような制度にして、国は企業による過剰な内部留保を防ぐ対応をすべきだ。

 従業員への還元も投資も、内部留保に対する案も、目的は資金を循環させることであり、その手段としての提案だ。資金が循環し始めれば、景気は必ず回復し、経済は成長する。物価は上昇し、企業の業績は伸びて行く。そうなれば近い将来、日本平均株価が過去最高の4万円台になることだって夢ではないと思う。

 積極的な取り組みを行う企業に対して国が優遇措置を用意することは、企業の重い腰を上げさせる一助になる。とはいえ、それはきっかけにしかならない。その後も継続的に資金循環を促す仕組みを機能させるには、結局のところコーポレート・ガバナンスの徹底が必須であると、私は信じている。


<感想>
 企業の内部留保を、①従業員に還元してそれが消費に回ったり、②設備投資に回せば、自ずと物価上昇率2%とGDP600兆円の達成も可能となることだろう。安倍政権の政策に期待している。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2017-07-23 08:00 | 村上世彰 | Comments(0)