2017年 12月 11日
あれっ、償還直前でのCBコールオプション行使?
【 牧野フライス製作所:ユーロCBの130%コールオプション行使 】
2017/12/8、牧野フライス製作所(6135)が、ユーロ円CBの130%コールオプションを行使した。
1.2018年満期ユーロ円CBに係るコールオプション条項の権利行使に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171208432655.pdf
(1)繰上償還する銘柄 牧野フライス製作所2018年満期ユーロ円CB
(2)繰上償還対象総額 残存CB全部97億円(額面)(2017/12/7現在)
(3)転換請求最終日 2018/1/12
(4)繰上償還期日 2018/1/17
(5)繰上償還金額 CB額面金額の100%
2.130%コール(繰上償還)オプションの概要
http://ke.kabupro.jp/tsp/20130228/140120130220089352.pdf
・株価が転換価額の130%以上(パリティ:130円以上)に上昇した場合に、発行会社がCBの所持人に対し、額面金額(@100)で繰上償還できる条項
[ 狙い ]
・株式への早期転換促進による資本増強を期待
[ CB投資家の行動 ]
・130円以上の価値があるのに100円で償還(上記1(4)の1月17日に)されたくはない
⇒通常、株式に転換(上記1(3)の1月12日までに)した上で株式を市場売却して差益を得る
3.エクイティ/デット目線からの望ましい着地(一般論)
(1)エクイティ:株式投資家目線
・CBが株式に転換されることなく、CB(デット)のまま償還して欲しい
⇒転換による株式希薄化は望まない(デットのレバレッジ享受を望む)
(2)デット:レンダー目線
・CBが株式に転換されて、CB償還が不要になって欲しい
⇒既存レンダー宛て返済可能性確率がその分上昇する(現預金が維持され、財務基盤(自己資本)も強化される)
4.発行会社の選択肢(オプション)
[ 2017/9末時点 ](2012/12末時点)
・現預金:537億円(367億円)
・純資産比率:51.4%(47.7%)
・純資産1,332億円(899億円)÷総資産資産2,592億円(1,886億円)
(1)コールオプションを行使する
・当初CB発行金額120億円の内、現在97億円が未転換のまま
(a)早期の純資産比率向上(⇒財務基盤の強化)
(b)投資家が転換請求し忘れることを期待(⇒株式へ転換されることなくCBを@100で償還)
(2)コールオプションを行使しない
・約3ヶ月後の償還期日(2018/3/19)を待つ
(c)数ヶ月程度早期に純資産比率を向上する必要なし(上記(a)との比較)
(d)投資家が転換請求し忘れてCBのままでの償還(@100)を期待(上記(b)との比較)
<感想>
純資産比率50%超/現預金527億円(総資産対比20%超)の当社にとって、これ以上の純資産比率向上のニーズはなく、現預金での償還が本当はベストなようにも思われる。
メインのシナリオにはなり得ようもないが、上記4の(b)と(d)の比較において、「発生確率が(b)>(d)」という判断も多少はあったのではなかろうか。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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