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あれっ、リカーディアン均衡からの脱却?


【 視点:マネタリーファイナンスはなぜ日本に必要か 】


 2018/1/10、ロイターに元英FSA長官※の以下の興味深い記事が掲載されたので、概要をまとめてみる。
https://jp.reuters.com/article/2018-views-adair-turner-idJPKBN1EY0T3

※アデア・ターナー元英金融サービス機構(FSA)長官/インスティテュート・フォー・ニューエコノミックシンキング会長


1.日本国民の問題点

・国民のマインド が、かなり強いリカーディアン均衡*の罠に陥っていること
 ⇒ 国民が貯蓄に走り(支出に回らず)、政策効果が損なわれている


2.日本政府や日銀の問題点

・国民に対して、今は正直に言っていないこと
 ⇒ 以下のようなことを正直に言う(説明する)こと

(1)公的債務負担**が実際のところは、国内総生産(GDP)比250%よりも大幅に低い水準であること

(2)日銀はいずれ保有する国債を市場で売却し、政府は財政赤字を財政黒字に転換して借金を返すという(信じ難い)シナリオから脱却して、バランスシート(BS)上の国債を実質的に「消却」すること(下記3(3))

 ⇒ 国民のマインド面にポジティブな影響を与える

*
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/yasashii2/04.html
**日銀は大規模な量的緩和を実施 ⇒ 国債(=公的債務負担)の買入額はGDP比で90%に拡大


3.日本政府と日銀に対する3つの提案

(1)消費税引き上げの再延期
・政府は2019/10予定の消費税率引き上げ(8%⇒10%)を再延期し、高水準の財政赤字を計上し続けるべき
(民間貯蓄超過を穴埋めするためには、相当規模の公的赤字が2020年代半ばまで必要なことを甘受すべき)

(2)日銀による大規模国債購入の継続
・日銀は、政府による国債発行とほぼ同じペースで国債を購入し続けるべき
(日銀以外の主体が保有する国債が増えないようにする必要があり)

(3)無利子永久国債による実質的な「消却」
・日銀は、保有国債の一部を無利子永久国債としてバランスシート(BS)の資産に計上し、実質的に「消却」すべき
(一般企業グループの連結決算と同様、政府と中銀を会計的に一体として捉える統合政府の考え方に従って、日銀保有分を公的債務から差し引いて考えることも強調すべき)

 ⇒ 政府・日銀が姿勢を変えれば、国民はリカーディアン均衡から逃れられる


<感想>
 ターナー氏の上記3の3つの提案により、国民がリカーディアン均衡から逃れられて、結果的に日本がデフレから脱却できるような気がしてきた。

 政府・日銀には、デフレ脱却のために、過去を踏襲するのではなく、今こそ、国民のマインドを変化させる、これまでとは一線を画した大胆な発想に基づいた、ターナー氏的視点の政策を期待したい。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
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by tsuruichi1024 | 2018-01-16 08:00 | 日銀 | Comments(0)