【 神戸製鋼所(5406)のコーポレート・ガバナンス 】

1.自主点検における妨害行為

(1)2017/10/20の日経新聞電子版
 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22535210Q7A021C1TJ2000/

『 神戸製鋼所、梅原副社長「不正発覚免れる行為あった」

 ──不正の隠蔽を具体的に説明してほしい。

 「アルミ・銅事業の自主点検中、長府製造所(山口県下関市)で管理職を含むグループ従業員の妨害があった。点検過程で不適合品のデータを報告せず隠していた。19日、社内の相談窓口に情報提供があり判明した」 』


(2)会社プレスリリース
 
http://www.kobelco.co.jp/releases/files/20171020.pdf


2.神戸製鋼所の「コーポレート・ガバナンス」(⇒以降は個人的感想)
http://www.kobelco.co.jp/about_kobelco/kobesteel/governance/__icsFiles/afieldfile/2017/06/21/170621_cgreport.pdf

(1)企業理念・経営ビジョン

 [企業理念]
 当社グループは、下記の企業理念のもと、株主、投資家、顧客や取引先、従業員、地域社会など、あらゆるステークホルダーの皆様に対して、企業としての社会的責任を全うできるよう努力を続けることにより、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
 ⇒ 本当に「企業としての社会的責任を全うできる努力」をしているのか?


(2)KOBELCOの3つの約束

 1.信頼される技術、製品、サービスを提供します
 2.社員一人ひとりを活かし、グループの和を尊びます
 3.たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します
 ⇒ 本当に、「信頼される製品、サービスを提供」しているのか?


(3)KOBELCOの6つの誓い

 私たち神戸製鋼グループに属する全社員は、KOBELCOの3つの約束を果たすために、以下を宣誓します。

1.高い倫理観とプロ意識の徹底
 私たちは、法令、社内ルール、社会規範を遵守することはもちろんのこと、高い倫理観とプロとしての誇りを持って、公正で健全な企業活動を行います。
 ⇒本当に、「高い倫理観とプロとしての誇りを持って」いるのか?

2.優れた製品・サービスの提供
 私たちは、安全かつ安心で、優れた製品・サービスを提供し、社会に貢献します。
 ⇒ 本当に、「安全かつ安心で、優れた製品・サービスを提供」しているのか?

3.働きやすい職場環境の実現
 私たちは、安全で安心して働くことができる職場環境を実現します。(以下略)
 ⇒ 本当に、「安全で安心して働くことができる職場環境」になっているのか?

4.地域社会との共生(文章略)
5.環境への貢献(文章略)

6.ステークホルダーの尊重
 私たちは、顧客、取引先、社員、株主等を含む幅広いステークホルダーを仲間として尊重し、健全かつ良好な関係を築きます。
 ⇒ 本当に、「顧客、取引先を仲間として尊重」しているのか?


(4)中長期経営ビジョン
(冒頭略)
・グローバル市場において存在感のある企業グループ
・安定収益体質と強固な財務基盤を備え持つ企業グループ
・株主・取引先・従業員・社会と共栄する企業グループ
の3つを将来の神戸製鋼グループ像として目指すものです。

 ⇒ 本当に、「取引先・従業員と共栄する企業グループ」になっているのか?


<感想>
 (美辞麗句を並べ立てた)「コーポレート・ガバナンス」を設定するだけでは意味がない。「不祥事を防ぐ組織風土」*を企業グループ全体の隅々にまで浸透させられなければ、再び同様の不祥事が起こり得る。
*
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12317095620.html

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# by tsuruichi1024 | 2017-10-22 08:00 | コーポレート・ガバナンス | Comments(0)


【 CBのプット・オプション 】


 2017/10/19、アルデプロ(8925)が以下内容のプレスリリースをしていた。


1.プレスリリース概要
http://www.ardepro.co.jp/files/ir/press/2017/1019.pdf

『 第 3 回無担保転換社債型新株予約権付社債(「CB」)の一部繰上償還に関するお知らせ

 発行金額:40億円
 繰上償還額:5億円
 発行日:2014/12/29
 償還日:2017/12/29
 繰上償還予定日:2017/11/20
 繰上償還金額:各社債の金額100円につき金100円
 クーポン:0%
 転換価額:174.1 円(発行決議日前日終値の▲1.1%)
 第三者割当先:EVO FUND(アジア株を中心に運用を行うファンド)
 プット・オプション :本社債権者(CB保有者)は、終値が転換価額を下回った場合、2016/12/30以降、20営業日~30営業日の事前の通知を行うことによ り、その保有する本社債の全部又は一部を額面 100 円につき金 100 円で繰上償還することを当社に対し請求することができる 』

⇒ 繰上償還後のCB残存額:6億円(昨年12月以降、継続的にプット・オプションが行使された)

(発行時プレスリリース:
http://www.ardepro.co.jp/files/ir/press/2014/1212_02.pdf


2.投資家(割当先)の3つの選択肢(:以降は個人的感想)

(1)償還時まで継続保有:×
・10/20終値:105円(パリティ:約60円。年初来高値:3月9日175円)
⇒ 転換による差益の可能性がない中、ゼロクーポンで継続保有する意味はない

(2)市場売却:×
・債券的価値分のディスカウントの差損を出してまで売る意味はない(非上場で流動性もない⇒相対の投資家がいない可能性も)

(3)プット・オプション行使:○
・これしか選択の余地なし


3.プット・オプション (野村證券のHPより)
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/o/opusyon.html

・プット・オプション:「ある決められた日」に(までに)「ある決められた価格」で、原資産を売却する『権利』

・アメリカンタイプ:オプションの存続期間中いつでも行使可能なタイプ


<感想>
 期間3年の第三者割当CB発行に当たって、2年後以降、投資家に付与されたプット・オプション (@100)を行使したもの。プット・オプションは投資家側にメリットがあるスキーム。CBの発行条件(クーポン、発行価格、各種オプション等)は、発行会社と投資家間の受給バランスで決定される。

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# by tsuruichi1024 | 2017-10-21 08:00 | CB | Comments(0)


【 単元株100株への変更に伴う株式併合 】

 最近、「1株未満の端数処理に伴う自己株式買取」のプレスリリースをよく見る。先月、日経平均225銘柄の内、35銘柄が株式併合に伴ってみなし額面変更されていた。その率15%超。株式併合する理由とは?


1.株式併合(以下の野村證券の添付HPからの概要)
 
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ka/kabu_heigo.html

・既存の数個の株式を1株に統合すること
 ⇒ 発行済み株式数を減らす方法(理論上、株式併合自体は株式価値には影響を及ぼさない)

・日本:2001年の商法改正により、単位株制度廃止⇒単元株制度が新たに導入されるなど、株主制度の自由度が高まる中、株式併合を必要とする理由を開示して、株主総会の特別決議による承認を得れば、さまざまな目的で実施することが可能に

・米国:2000年以降、株価が低迷すると、株式併合する企業が増加(1990年代の株価上昇局面では、個人投資家の株式投資を促進するために、株式分割を積極的に行い、株価を引き下げた)


2.証券取引所の方針

(1)「売買単位の集約に向けた行動計画」(「計画」)
 
http://www.jpx.co.jp/equities/improvements/unit/tvdivq00000050ft-att/20151217-1.pdf

・上場する国内会社によって異なる普通株式の売買単位(単元株式数)を投資家にとって分かりやすく、売買し易くするため、100株に統一する(期限:2018/10/1)

(2)望ましい投資単位の水準:5万円~50万円
 
http://www.jpx.co.jp/equities/improvements/unit/02.html

・投資単位は株価によって変動するため、強制はしていない


3.住友金属鉱山(5713)の例(5/24付プレスリリースより)
 
http://www.smm.co.jp/news/release/uploaded_files/170524-1.pdf

(1)単元株式数の変更の理由
上記取引所の計画に基づき、東京証券取引所に上場する企業として、単元株式数を100株に変更するもの

(2)株式併合の目的
 単元株式数を100株に変更するにあたり、投資単位(単元株式数あたりの購入金額)を適切な水準に調整すること


4.同社の9/14付プレスリリースより
 
http://www.smm.co.jp/notice/pdf/170914.pdf

(1)単元株式数の変更と株式併合
 効力発生日:2017年10月1日
 単元株式数:1,000株から100株に変更
 株式併合:当社普通株式2株を1株にする

(2)株式併合(2株→1株)に伴う株価水準の変動(併合前株価の前提:1800円)
 理論上株価は2倍に:1800円 ⇒ 3600円
 (時価総額不変で発行済株式数が半分になるため)

(3)単元株式数変更(1,000株→100株)に伴う投資単位の低下
 100株単位で売買が可能に:株式併合前180万円 ⇒ 株式併合後36万円

(4)株価(終値)推移(調整後)
 5/24:2,763円 ⇒ 6/5:2,642円(安値) ⇒ 10/19:4,221円(高値)


5.参考記事
(1)日経電子版
 
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASGD05H2C_V00C17A9EN2000

『 日経平均35銘柄、みなし額面変更 27日から

 日本経済新聞社は5日、日経平均株価を構成する35銘柄のみなし額面を変更すると発表した。

 各社が実施する株式併合に対し、それぞれの併合比率に応じてみなし額面を変更する。35銘柄の現在のみなし額面はすべて50円。変更後のみなし額面は次の通り。実施は27日の算出から。

【変更後のみなし額面が100円】東ソー、住友金属鉱山、大日本印刷、三菱倉庫

【同250円】大成建設、トクヤマ、デンカ、三井化学、DOWAホールディングス、オークマ、住友重機械工業、東武鉄道、京王電鉄、東京ガス、大阪ガス

【同500円】東洋紡、ユニチカ、宇部興産、太平洋セメント、大平洋金属、三井金属、東邦亜鉛、古河機械金属、NEC、三井造船、三菱重工業、川崎重工業、IHI、新生銀行、あおぞら銀行、日本通運、日本郵船、商船三井、川崎汽船、ANAホールディングス 』

(2)Newsweek日本版
 
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2017/08/post-8114_3.php


<感想>
 端株の買い取りは、証券取引所の方針に沿った、(1)単元株数の変更(1,000株→100株)及び(2)望ましい投資単位の水準(5万円~50万円)に合わせた、株式併合(2株→1株、5株→1株、10株→1株)によるもの。投資単位を小さくすることは、株式流動性向上の観点からも意義があるものと思われる。

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# by tsuruichi1024 | 2017-10-20 08:00 | 株式併合 | Comments(0)


【 株式一括売却信託/立会外トレードサービス 】


 2017/10/17、三井住友信託銀行がSBI証券と下記商品の取り扱いを開始した。
 
http://www.smtb.jp/corporate/release/pdf/171017.pdf

 以下はその概要。


「株式一括売却信託/立会外トレードサービス」の取扱開始について

1.コンセプト
(1)形態
・信託(株式一括売却信託)とネット取引(立会外トレードサービス)の融合

(2)ターゲット
・事業法人の持ち合い解消のための「株式売却ニーズ」と、個人投資家の「株式投資ニーズ」のマッチング


2.スキーム
(1)株式信託の設定
・委託者:株主
・受託者:三井住友信託銀行
・目的:株式の一括売却

(2)売却方法のステップ
その1)SBI証券
・対象株式の売却について自社に口座を開設している個人投資家に対して売却銘柄情報を提供

その2)三井住友信託銀行
・委託者(株主)からの指図に基づいてSBI証券に株式を※ToSTNET-1にて売却(市場価格(終値)ー@ディスカウント=x円。ディスカウントは売出時(引受手数料4%+ディスカウント率3%=7%)よりも小さい)

その3)SBI証券
・個人投資家に株式を※ToSTNET-1にて売却(x円+α円<市場価格:αがSBI証券の手数料)

※ToSTNET-1(市場内立会外取引):証券取引所(金融商品取引所)内でオークション(競争)方式による売買を行う立会取引時間を避けた相対取引(立会時間内での取引では、株価に直接、多大な影響を及ぼすこと等が想定される場合等に利用される)


3.メリット
(1)委託者(株主)
・市場への影響(⇒株価下落)を抑えつつ、大量の株主を一括売却可能
・市場への影響(⇒株価下落)を抑えつつ、大量の株主を一括売却可能

⇒①市場での売却や②公募売出しに見られる公表~条件決定までの、需給インパクト(⇒株価下落)なし

(2)個人投資家
・ディスカウント価格で株式を取得できる


<感想>
 本件は、大手証券でブロックトレードの一環として、個人投資家向けに取り扱っていた仕組みを「信託銀行とネット証券の協働」によるスキームに改良したもの。

 売却に伴う価格下落リスクを排除したり、個人投資家の数が増える等、発行会社サイドにとっても、市場売却や公募売出しよりもメリットのある手法と考えられる。


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# by tsuruichi1024 | 2017-10-19 08:00 | 売出し | Comments(0)


【 自己株処分による資本剰余金増加 】

 2017/10/16、ネクステージ(3186)が公募増資と自己株式処分(野村證券主幹事)を公表した。
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/31860/2d5922c8/9c89/4e4d/8c94/3bd13a648165/140120171016491205.pdf

 今日は、自己株式を処分した場合のバランスシート(BS)の変化を考えてみる。なお、資本取引なので、損益計算書(PL)上の利益への影響はない。


[ 自己株式処分時のBSへの影響 ]

1.自己株式
(1)BS上の記載(17/8第3Q決算短信)
 
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/31860/afb352bd/894e/4807/88ed/b7fe13880255/140120171007486985.pdf
 自己株式数:1,097,074株(a)
 BS計上額:△397,405千円(b)
 簿価:362円/株(c= b÷a)

(2)売出価格例(引受手数料差引後ネット):2,500円(10/15終値2,651 (前日比▲337)円×94.3%)(d)(一般的な条件決定例:条件決定日終値の①ディスカウント率3%、②引受手数料4%)
 自己株式処分差益:2,138円/株(e=d-c)
 自己株式処分株数:1,097,000株(f)
 同総額:2,345百万円(g= e×f)
 ⇒ その他資本剰余金へ計上

(3)株主資本
・自己株式処分前:7,127百万円(h)
 ⇒ 同処分後:9,870百万(i=h+g-b×f÷a)へ増加

3.参考記事
「自社株売り -損益計算書には反映されない処分差益」
 
http://president.jp/articles/-/12778?page=2&dt=2050/12/31%2023%3A59&pskinset=asari


[ネクステージの事例]

1.公募増資の概要
(1)普通株式:1,503,000株(発行済株式の7.2%)
(2)条件(ディスカウント率)決定日:10/23~26(通常は初日に決定)

2.自己株式処分の概要
(1)普通株式:1,097,000株(発行済株式の5.2%)
(2)条件(ディスカウント率)決定日:10/23~26

3.オーバーアロットメント*に伴う株式売出しの概要
(1)普通株式:390,000株
(2)発行金額(株数)決定日:上記1・2の条件決定日と同日
(3)株式(=主幹事証券が株主から借株)の返済方法:第三者割当増資 or 市場調達(シンジケートカバー取引時)

*https://www.nomura.co.jp/terms/japan/o/overallotment.html


4.上記資金使途

・最大67億円:設備投資(42億円)、運転資金(25億円)等

5.2017/10/17のニュース
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HLM_X11C17A0000000/


<感想>
 インサイダー情報が発生していない段階で、(1)株価低迷時に自己株式を取得し、(2)株価上昇後に処分(売出し)することにより、株主資本の増強(←自己株式処分差益)を図ることができる。しかし、投資家から見れば、配当原資となる一方、希薄化(自己株消却対比)やROEの悪化にも繋がる。資本政策としての自己株式や増資は、調達資金の使い途を含めたエクイティ・ストーリーが描けない限り、実施すべきではないだろう。


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# by tsuruichi1024 | 2017-10-18 08:00 | Comments(0)