【 黒田電気のTOB 】


 2017/12/16、黒田電気(7517)のTOBが成立した。


1.TOBの結果
https://www.kuroda-electric.co.jp/asset/32575/view

(1)買付予定数の下限
 発行済株式:39,446,162株(a)
 自己株式数:  1,811,331株(b)
 自己株TOB:*9,256,500株(c)
 a-b-c=28,378,331株(d)
 下限:18,918,900株(e=d×2/3)

 *旧村上ファンド系の野村綾氏(一部)・(株)オフィスサポート・(株)レノの合算


(2)応募株式数
 25,709,019株>e


2.TOBに至った意思決定の過程・理由

(1)事業環境の変化
・電子部品専門商社業界:専門商社モデルのコモディティー化が進行
⇒ 与信・在庫・物流の基本機能の提供のみでは不十分であるという流れが加速

(2)スピード感
・スピード感をもってM&Aや資本業務提携等の実行、人材や設備への戦略的投資を積極的に行うことが必要

(3)戦略的投資
・抜本的な諸施策遂行には、人材や設備への戦略的投資を積極的に行うことが必要

(4)組織構造変革
・個々の事業の最適な成長戦略の遂行には、現在の商社事業を担う当社を頂点とする組織から、商社事業と開発・製造事業が並列的に位置付けられる経営管理体制への移行も必要

⇒ 上場を維持したままでは大規模な事業運営の変革を短期的に行うことは難しいとの判断に至る

⇒ MBKパートナーズグループ*からの非公開化の提案に賛同

 *日中韓3カ国でのプライベート・エクイティ投資に特化した独立系プライベート・エクイティ・ファーム


3.(株)レノの大量保有変更報告書より

(1)共同保有者(旧村上ファンド系)
・(株)レノ、野村綾・中島章智・(株)オフィスサポート・(株)青山不動産

(2)保有目的
・純投資

(3)保有株式数/保有割合/簿価
・15,009,100株/38.05%/324.0億円(@2,159/株)

(4)TOB売却総額/売却差益
 a)自己株TOB:248.8億円/46.1億円
 b)TOB:156.5億円/35.3億円
    合 計:405.3億円/81.3億円


<感想>
 本件は、そもそも旧村上ファンド系の大株主が38%超株式保有する中で、MBKのTOBに大株主・会社双方が賛同したもの。
 会社は、専門商社モデルのコモディティー化という事業環境の変化に対して、非公開化による、大規模な事業運営の変革を選択した。
 今後もこのようなTOBの活用(⇒TOBをテコとした大胆な改革)が増えて行くものと思われる。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

[PR]
# by tsuruichi1024 | 2017-12-19 08:00 | TOB | Comments(0)


【 日立国際電気のTOB 】


 2017/12/8、二度のTOB価格引き上げの末に、KKRによる日立国際電気(6756)のTOBがようやく成立した。
http://www.hitachi-kokusai.co.jp/news/2017/pdf/news171209.pdf


1.日立国際電気のTOB価格等の推移

(1)2017/4/26
・所与:時価総額2,150億円
a)TOB価格:2,503円(48.3%、1,242億円)
b)自己株式取得価格:1,710.34円(51.7%、908億円)

⇒ 8/9:TOB見合わせ(第三者委員会のネガティブな答申を踏まえて)


(2)10/11
a)TOB価格:2,900円(48.3%、1,439億円)
b)自己株式取得価格:1,870円(51.7%、992億円)
⇒ 時価総額2,432億円

(3)11/24
a)TOB価格:3,132円(48.3%、1,554億円)
b)自己株式取得価格:1,870円(同上)
⇒ 時価総額2,547億円

(4)業績上方修正、
     営業/当期利益
・当 初:175/114億円
・ 7/26:225/145億円
・10/11:290/199億円

< TOB価格/PER(除自己株式)>
・ 4/26:2,503円/23.1倍
・10/11:2,900円/21.0倍
・11/24:3,132円/16.6倍


2.エリオット(米ファンド)の動き

(1)大量保有報告書・変更報告書より
提出 義務 保有 備考
9/11 9/5 5.01% 9/5に*市場内取得(0.25%)
⇒ 5%超に(最近60日間では9/5のみ)
9/19 9/14 6.10% *9/5~9/14
9/28 9/27 7.11% *~9/27
10/12 10/11 8.59% *~10/11
12/12 12/8 0% *~10/13(8.83%)。12/8全株TOB応募

~10/11:平均単価@2,742.80
~10/13: 同 @2,750.50(10/12-13@簡易VWAPで取得と仮定)

⇒ 売却利益/売却総額:35.4億円/291.0億円(9,290,400株×@3,132)
(総投資額255.5億円(9,290,400株×@2,750.50))


(2)意思決定等の想定(例)
a)17/4/26~7/6:4.76%まで取得(しよう)
b)9/5:8.83%まで取得(しよう)
c)~11/24:水面下での交渉
・2,900円でのTOBには応募しない(ことにしよう)
・(日立との間では未解決のイタリア案件*もあるため)3,132円ならTOBに応募(して恩を売ろう)
*
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24488380R11C17A2000000/?n_cid=DSTPCS001


<感想>
 11/24のTOBに関する価格引上・期限延長を巡って、関係者の間では様々な駆け引きが繰り広げられていたものと想定される。
 当初のTOB総額からは1.45倍(3,132÷2,150)超となったが、業績の大幅な上方修正等も考慮すると、妥当な価格での着地だったと言えるのではないだろうか。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

[PR]
# by tsuruichi1024 | 2017-12-18 08:00 | TOB | Comments(0)


【 テーオーシーのToSTNeT-3 】


 2017/12/6、テーオーシー(8841)がToSTNeT-3により、自己株式を取得した。


1.自己株式の取得
https://www.toc.co.jp/toc/news/pages/jikokabushiki_20171206.pdf

(1)理由
・資本効率の向上を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため

(2)取得の内容
a)株数:18,716,900株
b)総額:172.2億円(@920円/株)
c)取得日:17/12/6
d)方法:ToSTNeT-3
http://www.jpx.co.jp/equities/trading/tostnet/01.html
e)売主:エフィッシモ キャピタル、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行

(3)各種指標の変化
・純資産:1,053億円(17/9末ベース)
・当期純利益:239億円(18/3期予想。譲渡益299億円含む)

< 本件取得前後(除自己株式)>
・ROE:22.69%⇒27.12%
・EPS:196円⇒231円
・PER:5.4倍⇒4.3倍(12/14終値@993ベース)


2.エフィッシモ キャピタルの売却益等

(1)大量保有報告書
・2008/11:6.14%保有
・保有目的:純投資(ただし、うち8,404,500株については、投資一任契約に基づく顧客資産運用のため)

(2)変更報告書
・2017/11:16.74%保有
・保有目的:投資及び状況に応じて経営陣へ助言、重要提案行為等を行うこと
・株数/総額:22,917千株/125.4億円
・簿価:547.1円/株

(3)ToSTNeT-3での売却
・株数/総額:17,417千株/160.2億円
・売却益:64.9億円(簿価@547.1⇒TOB価格@920)


<感想>
 本件は、ほぼ10年に渡る、村上ファンド系のエフィッシモの出口戦略の一部。
 ToSTNeT-3で着地した背景には、上記2(2)の、経営陣への助言等があったものと思われる。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

[PR]
# by tsuruichi1024 | 2017-12-17 08:00 | ToSTNeT-3 | Comments(0)


【 行政処分の勧告 by SEC 】


 2017/12/12、証券取引等監視委員会が、岩井コスモ証券の行政処分を行うよう勧告した。


< 岩井コスモ証券に対する検査結果に基づく勧告について >
http://www.iwaicosmo-hd.jp/news/ic/release/discl20171212.pdf


1. 勧告の内容
 金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。


2. 事実関係
○ 公表前のアナリスト・レポートに記載される情報を用いて勧誘する行為及び当該情報の不適切な取扱い

(1) 一部の顧客に対して公表前のアナリスト・レポートに記載される情報を用いて勧誘する行為

(2) アナリスト・レポートに記載される情報の取扱いが不適切な状況

(3) 内部管理態勢が不十分な状況

(4) 経営陣による不十分な態勢整備

⇒ 当社における上記のような業務運営状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

[ 関連法令 ](一部内容を等として抜粋)
金融庁設置法
(勧告)
第二十条 委員会は、金融商品取引法等の規定に基づき、検査等を行った場合において、必要があると認めるときは、その結果に基づき、金融商品取引の公正を確保するため、又は投資者の保護その他の公益を確保するため行うべき行政処分その他の措置について内閣総理大臣及び長官に勧告することができる。

金融商品取引法
(金融商品取引業者に対する業務改善命令)
第五十一条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営等に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営等の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。


<感想>
 本件は、公表前の、ポジティブやネガティブな内容が含まれたアナリスト・レポートを用いて勧誘を行っていた事案に対する行政処分の勧告。
 あまりにも基本的・初歩的な要因に基づくものであり、内部管理態勢の早期構築が期待される。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------


[PR]
# by tsuruichi1024 | 2017-12-16 08:00 | コーポレート・ガバナンス | Comments(0)


【 SGホールディングス:東証1部新規上場 】


 2017/12/13、SGホールディングス(9143)が初値1,900円で東証1部に新規上場した。


1.IPOの条件決定
http://www2.sg-hldgs.co.jp/uploads/resources/newsrelease/2017/pdf/20171204_1.pdf

(1)売出し価格:1,620円

(2)売出株式数:78,775,400株
   国内 55,142,800株(OA 7,192,500株)
   海外 23,632,600株
  (国内:海外=7:3)

(3)価格決定の理由等
・売出価格等の決定に当たっては、仮条件(1株につき1,540円~1,620円)に基づいて国内外の機関投資家等を中心にブックビルディングを実施

[ 当該ブックビルディングの特徴 ]
1.申告された総需要株式数が、公開株式数を十分に上回る状況であったこと
2.申告された総需要件数が多数にわたっていたこと
3.申告された需要の相当数が仮条件の上限価格であったこと

⇒ 上記ブックビルディングの結果、売出株式数以上の需要が見込まれる価格であり、現在の株式市場の状況、最近の新規上場株の株式市場における評価及び上場日までの期間における価格変動リスク等を総合的に勘案して、1株につき1,620円と決定

(4)引受価額:1,543.86円(引受手数料4.7%)

(5)申込期間:2017/12/5~12/8

(6)株式受渡期日:2017/12/13


2.上場日当日(12/13)の価格
(1)まとめ
初値:1,900円(9:33)(売出価格の17%アップ)
高値:1,945円(9:45)
安値:1,867円(11:13)
終値:1,906円
出来高:56,530,100株

(2)特別買い気配値の推移等(一部抜粋) 
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/to/tokukaikehai.html

時間 気配値 売数量・買数量(千株)
9:28 @1,782 9,958・19,612
9:32 @1,863 13,238・16,705

[ 初値時点の画面上数値 ]
9:33 始値1,900 高値1,928 安値1,900
   出来高15,575千株


3.各種指標
当期純利益:330億円(18/3期予想)(a)
発行済株式数:320,197,200株(自己株式含む)(b)
純資産:3,229億円(17/9末)(c)

・ROE:10.2%(a÷c)
・EPS:103.1円(d=a÷b)
・PER:18.5倍(12/13終値1,906円÷d)


<感想>
 時価総額6,103億円(上場日終値ベース)は、今年上場した銘柄では最大だと言う。
 上場初日の出来高は、OA含めた売出株数約79百万株/国内約55百万株の72%/103%に相当。売出しに申し込んだ(国内)投資家のかなりの数量が初日に売買されたものと思われる。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

[PR]
# by tsuruichi1024 | 2017-12-15 08:00 | 株式売出し | Comments(0)