【 主要株主の異動に関する適時開示 】


 2017/12/6、アマノ(6436)の掲題開示が遅延していた。


1.主要株主の異動に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171206431581.pdf

・2017/9/20付で、シルチェスター(英国の投資ファンド)より大量保有報告書の変更報告書が関東財務局に提出された時点において、主要株主の異動を遅滞なく知らせるべきにもかかわらず、開示時期が遅延したことをお詫び

 異動前(2017/7/31現在):議決権割合10.79%
 異動後(2017/9/19現在): 同 9.74%


2.重要事実(インサイダー取引規制上の)
http://www.jpx.co.jp/glossary/sa/197.html

・主要株主:議決権の10%以上を保有する株主

⇒「誰が主要株主になったのか」「誰が主要株主でなくなったのか」は、重要事実の発生(金融商品取引法第166条第2項第2号ロ)に該当するため、適時開示が必要


3.適時開示が求められる会社情報
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/disclosure/01.html

[ 上場会社の発生事実 ]
2.主要株主又は主要株主である筆頭株主の異動


4.適時開示に違反した場合
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/measure/01.html

・東証は、改善の必要性が高いと認められるときは、改善報告書の提出を求めることとしている

⇒ 本件は、改善の必要性が高くないと認められるため、改善報告書の提出は不要と思われる


<感想>
 会社として実質所有株式数の確認ができなくても、株主から提出された大量保有報告書(変更報告書)に基づいて、主要株主の異動に関する適時開示は必要となる。
 会社情報の適時開示は、投資者にとって大変重要なものと位置付けられるため、タイムリーであることが必要であろう


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by tsuruichi1024 | 2017-12-12 08:00 | 適時開示 | Comments(0)


【 予想利益変動に関する適時開示 】



 2017/11/1、ゴールドウィン(8111)が業績予想の上方修正と自己株式終了に関するプレスリリースをしていた。(2017/8/3の上方修正も併せて記載)



1.業績予想の修正に関するお知らせ
 a)2017/8/3発表
 
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1502636

 b)2017/11/1発表
 
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1525805


<2017/9期(中間期連結予想上昇率)>(単位:億円)
    売上高  営業利益 経常利益 純利益
 当初  280     7      9     6
 a)  286(+2%)10(+43%)11.5(+28%)7.5(+25%)
 b)  288(+1%)14(+40%)15.3(+33%)10.6(+41%)



2.自己株式取得終了に関するお知らせ
 
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1525797


(1) 取得株式総数:329千株
(2) 株式取得総額:25.99億円
(3) 取得期間:2017/7/1~2017/10/31

 ※2017/6/28の決議内容
 取得株式数:40万株(上限)、取得総額:26億円(上限)、取得期間:2017/6/29~2018/1/31



3.株価推移


(1)年初来安値/高値
 5,120(2017/1/18)/8,980(2017/10/30)


(2)業績修正前後の終値
 2017/08/03/翌営業日 7,000/7,800(+11.4%)
 2017/11/01/翌営業日 8,770/8,310(▲5.2%)



4.適時開示に関するルール(P6/P11)
 
http://www.jpx.co.jp/learning/tour/books-brochures/tvdivq0000003rx6-att/jy_stock.pdf


<上場会社の決算に関する重要事実に関する軽微基準>(⇒重要事実に該当しない基準)


(1)売上高
  新たに算出した予想値又は当事業年度の決算数値の、公表がされた直近の予想値に対する変動率が上下10%未満


(2)経常利益
 新たに算出した予想値又は当事業年度の決算数値の、公表がされた直近の予想値に対する変動率が上下30%未満


(3)純利益
 新たに算出した予想値又は当事業年度の決算数値の、公表がされた直近の予想30%値に対する変動率が上下30%未満


 ※経常利益/純利益については、前事業年度の末日における純資産額と資本金の額とのいずれか少なくない金額の5%未満/2.5%未満の基準もあり


 ⇒ 経常利益、純利益の予想値が30%以上変動した場合は、適時開示する必要がある。


<感想>
 会社は、(1)ルール(金商法166条2項3号)に基づいた業績上方修正の適時開示と、(2)自己株式の取得枠に達したための開示(取得予定期間を前倒しして終了)をしたもの。
 普通に考えれば、業績上方修正を好感して翌日の株価が上昇しても良さそうである。
 改めて「もうはまだなり まだはもうなり」を感じさせられた事例である。
 
http://www.jsda.or.jp/manabu/proverb/contents/proverb21.html


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by tsuruichi1024 | 2017-11-04 08:00 | 適時開示 | Comments(0)


【 検討開始段階での適時開示 】


 2017/10/12、アサヒビールホールディングス(「アサヒ」)(2502)は、株式譲渡の検討を開始したとして、その内容を公表した。


1.アサヒのプレスリリース

http://www.asahigroup-holdings.com/ir/17pdf/171012.pdf

 以下は、上記からの一部抜粋。

[ 持分法適用関連会社の株式譲渡検討開始に関するお知らせ ]

 当社が保有する青島ビールの株式の全部または一部を第三者に譲渡する検討を開始いたしました。

(1)本譲渡検討開始の理由

 持続的な企業価値向上への貢献を判断基準として、「資産効率を重視した事業ポートフォリオの再構築」にも取り組んでおり、今回、中国のビール事業への投資についても再検討した結果、青島ビール株式の全部または一部の譲渡について検討を開始することにいたしました。

(2)本件の概要

 譲渡対象株式: 青島ビール株式(香港証券取引所上場株式:H 株)270,127,836 株、発行済株式の約19.99%
売却先: 売却先については今後決定します。
売却条件: 売却の諸条件については今後当事者間で協議・交渉されます。


2.アサヒの適時開示体制

http://www.asahigroup-holdings.com/company/governance/disclosure.html

 上記より一部抜粋。

(1)情報収集について
 情報の集約・管理は、法務担当役員又は総務法務部門とします。

(2)情報開示手続きについて
 アサヒ各部門及びグループ各社より法務担当役員又は総務法務部門に集約された情報について、総務法務部門が主管となり、適時開示事項に該当するか否かの基本的な判断を行っています。

(3)証券取引所への適時開示について
 情報取扱責任者は、適時開示が必要と判断された事実について、発生後遅滞なく適時開示を行います。


3.インサイダー取引規制における「決定」のタイミング

 以下は、「インサイダー取引規制における『決定』と実現可能性 いわゆる村上ファンド事件最高裁決定」*からの一部抜粋。
 *
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/securities/11061601securities.html


『 問題は、「予備・準備行動」の着手決定から「実行行動」の着手決定までの間に、通常、様々な調 査、検討、交渉作業などを通じて、M&Aに向けた「意思」の確定(「どこかよいターゲットはな いか?」⇒「A社がよさそうだ」⇒「A社を是非買収したい」......)や「能力」の確保(資金調達、 スキームの確定......)が徐々に進行していく点にある。

 しかも、こうした「意思」の確定や「能力」の確保は、白から黒にデジタルに切り替わっていくとは限らず、むしろ白からグレーゾーンを経て徐々に黒へと変わっていくことが多いと考えられる。 そのため、「予備・準備行動」の着手決定から「実行行動」の着手決定までの間の、どの時点において「公開買付け等を行うことについての決定」があったと機械的に処理することは困難である。

 そのような状況の下で、『実現可能性が全くあるいはほとんど存在』しない場合を除き、『実現可能性があることが具体的に認められることは要しない』という最高裁決定の考え方が示された以上、 M&A及び企業コンプライアンスの実務現場は、自己防衛的な行動に走る可能性が高いもの思われる。即ち、インサイダー取引規制に抵触するおそれのある「公開買付け等の実施に関する事実」や 「決定事実」について、できるだけ前倒しで「決定」があったものと考えて対応しておくということである。 』


<まとめ>
 実現可能性がある「決定事実」については、できるだけ前倒しで「決定」があった(⇒この段階で「重要事実*」に該当する)ものと考えて対応しておく(⇒適時開示を行う)ことが望ましい

*重要事実:アサヒのケースは、添付(4)のいわゆる「バスケット条項」に該当
http://www.daiwa.jp/olt_help/etc/h_00h_ntc0403-01.html


4.最高裁判決(平成23年(2011年)6月6日決定(いわゆる村上ファンド事件))

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/389/081389_hanrei.pdf


<感想>

 本件は、アサヒのディスクロージャーポリシー(
http://www.asahigroup-holdings.com/ir/disclosure/)に沿って、株式譲渡の検討を開始した段階で適時開示した事例。

 本件のように(上記3にもある通り)、決定事実(含む、発生事実)については、可能な限り、早めに公表することが良いと思われる。

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by tsuruichi1024 | 2017-10-14 08:00 | 適時開示 | Comments(0)