カテゴリ:青山繁晴( 16 )


【 危機にこそぼくらは甦る 】(その4)


 以下は、「危機にこそぼくらは甦る」(青山繁晴著、扶桑社)(七の扉 危機を笑う)からの一部抜粋。


『 3

 朝鮮半島危機を議論した、自由民主党の部会でこういうことがありました。

 党の安全保障調査会長、大ベテラン今津博代議士(元・防衛庁副長官)が部会の冒頭であいさつされました。

 通り一遍のあいさつですまされることもできましたが、しかし安保調査会長はそうされませんでした。

「たとえば法改正といった新しい取り組みをしなくていいいのか。これまで、できないと思っていたことも考えるべきではないのか」

 ぼくは、この異例のあいさつにも励まされて、こう発言しました。

「安保法制が第二次安倍政権によって成立するまで、日本国は海外の邦人を何があっても保護できない、つまり救出できない国でした。それが安保法制で自衛隊の『やってもいいよ』リストの任務として初めて追加されました。しかし、この憲法の下で国会を通すために、条件がつけられました。それが、ご承知のように相手国の承認が要る、ということです。ところが、ほんとうはそれだけではありませんね。
 実際は三つある条件が全部そろうことが必要で、相手国、今の場合は北朝鮮の同意が不可欠なだけでなく、その北朝鮮がアメリカ軍の攻撃のさなかでなぜか人民軍を中心に治安を維持していて、つまり自衛隊が行っても戦闘に巻き込まれないことも不可欠です。これが第二の条件ですね。
 
 さらには、その朝鮮人民軍あるいは北朝鮮の秘密警察などともわが自衛隊が連携できることが三つ目の条件で、これが全部、そろわないと、仮に拉致被害者がどんな目に遭われても・・・・・・拉致されてから四十年も五十年も過ぎて、その果てにどれほどまでに苦しい、むごい目に遭われていても、日本は何もできない、しない、これが現状です。
 憲法の制約はあっても、これは戦争ではなく国際法の認める自国民の救出ですから、安保法制の改正か、それとも北朝鮮の拉致被害者の救出に絞った特措法(特別措置法)の成立かを目指すべきではありませんか。ぼくはふだん、安易な特措法に批判的ですが、今回はそんなことをいっている場合ではありません」

 東京湾の「かしま」艦上で、中堅代議士の山田賢司さんが「あの件は一生懸命やっています」と仰ったのは、このことなのです。


 しかし、その山田代議士も「これまでの憲法解釈は変えられない」という官僚の壁、それは圧倒的多数のマスメディア、ジャーナリスト、学者、評論家、芸能人を使いながら既得権益、すなわち日本が「戦争に負けた国で資源もない国」のままにしておいたほうが、これまでの仕事や生活を続けられるという保身の壁、これを打ち破るのはあまりに難しいという現実を東京湾でぼくに突きつけたとも言えます。

 この場合の「憲法解釈」とは何でしょうか。

 それは実は、日本国憲法にも全く書いてはいないことです。日本国憲法は全部で百三条もある長すぎる憲法ですが、いちばん肝心な「国民をどうやって護るか」に関する項はたったの一条しかありません。

 それが第九条です。

 
 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

二、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 第九条は侵略戦争を明らかに禁じています。しかしそれだけではありません。日本が主権国家なら国際法上、必ず持つべき権利、国民国家を護るために欠かすことができない権利をいくつも禁じてしまっています。

 ひとつ、戦わねばならない時には戦う権利。

 ふたつ、戦争を起こさせないための抑止力を発揮すること。すなわち日本国民に危害を加えれば、あるいは加えようとすれば痛い目に遭うと武力で威嚇する権利。

 みっつ、日本を侵害、侵略する国が武力をこうするときは反撃する権利。

 ここまでが第九条第一項にある禁止みっつです。

 よっつ、陸海空軍を持つ権利。

 いつつ、その他の戦力を持つ権利。

 むっつ、交戦規定(ROE)という国際法にとって最も大切な、ルールに基づく交戦権。

 これらが第九条第二項の禁止のみっつであり、合計で六件にわたって日本から主権の大切な、あまりに大切な主要項目を奪っています。

 その一方で、「ではどうするのか」、「国際法上の権利を全否定して、その変わりにどんな手段で日本国民を護るのか」はかけらも言及していません。だからぼくは「国民を護る手段が一字も書いてない」とずっと発信しているのです。

 前文には、どこの誰とも知れない「諸国民」に、われら日本国民の安全も命(生存)すらも委ねてしまうという、呆れた趣旨はありますが、これは本文ではなく序文にすぎません。

 しかし、「自衛隊は海外で武力行使してはならない」とは一言とも書いてありません。

 そりゃそうです。前述したように陸海空軍だけではなく、「その他の戦力」も保持できないと明記しているのですから、イージス艦に巨大なヘリ空母、潜水艦に戦車、装甲車、最先端の戦闘機まで日々、動かしている自衛隊の存在を想定しているわけがありません。

 その代わり、日本国憲法、は言わば自らの体内である第九十六条に、ちゃんと改正条項をもっています。国会の総議員の三分の二以上の賛成でやっと国民に提案(発議)できて、その国民の投票で過半数の賛成がないと改正できないという高いハードルではありますが、それでも、憲法をより良いものにしていく仕組みがビルトインされているわけです。

 ところが日本は国会議員も国民も、その改正条項を活かすことなく「解釈改憲」という奇妙な手にばかり依存してきました。これは全く同じ条文を「読み方を変えた」とこにして、実質的に憲法を改正したのに近い効果を出す、要はごまかしです。



 ありのままに申せば自衛隊など持てるはずもない憲法を、そのままにしておいて、読み方、解釈だけ変えて自衛隊を持っている代わりに「海外では戦わない」ということにしている。つまり、言い訳まで含めて憲法に書いてないことばかりをしているわけですが、そもそも「海外では戦わない」と決めてしまっていて、国民を護ることができるのでしょうか。国民は日々、仕事でも遊びでも留学でも、どんどん海外に出ているのです!」 』


<感想>
 北朝鮮情勢の緊迫が進む中、まずは、青山さんが指摘する、北朝鮮の拉致被害者の救出に絞った特措法を可及的速やかに成立させる必要がある。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-09-27 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


【 危機にこそぼくらは甦る 】(その3)


 以下は、「危機にこそぼくらは甦る」(青山繁晴著、扶桑社)(六の扉 危機を生きる)からの一部抜粋。


『9
 愛知政審会長にお会いするのは、この研究会と本会議のあいだの小さな隙間しか無いと考えました。

 そこで本会議のある二階から、三階の政審会長室に飛び込むように、しかし胸の裡ではしんと鎮まって、入っていきました。

 とても大柄な愛知政審会長は、椅子にどっかと座って迎えてくれました。その明晰な眼を見ながら、文書をお渡ししました。

 ここにそれを掲げます。


 愛知治郎・特別委員会筆頭理事へのお願い

            平成二十九年六月二日金曜
            参議院自由民主党有志

 たった今、参議院は、百年、千年に累が及ぶ禍根を生もうとしていると危惧されます。

 すなわち民進党の野田佳彦幹事長が、その総理大臣時に導入しようとした「女性宮家」の創設を野党となってなお固執し、それに加えて現・責任与党の自由民主党でも内部の議論や、国民に見える議論のいずれも何ら行われないまま突如として、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」の附帯決議に「女性宮家の検討」が盛り込まれようとしています。

 これは野田政権から安倍政権への政権交代を促した多数の民意に反する懸念が強く、また、自由民主党は与党としての重い責任を放棄することになりかねません。

 これがなぜ、百年、千年に及ぶ禍根につながるかと申せば、まさしく二千数百年のあいだに、ただの一度も設けられなかったこともなき、「女性宮家」なるものを置くことを検討するとうたっているからです。将来な政権によってはその設置という不遜を行う根拠にされかねません。

 本来、宮家とは男系・父系による皇位継承を担保するために(本格的には)室町時代以来、設けられたものであり、当主を男系・父系とすることは自明の理であります。

 その根本伝統を知らずして、あるいは意図的に無視して女系・母系の当主を実質的に想定する「女性宮家」なる奇怪なものを、国会決議に初めて明記することに参議院が関与するならば、それはやがて天皇家の皇統を維持することを破壊し、女系・母系、すなわち新王朝への交代に道を開くことに、あろうことか良識の府、参議院が参画することになります。

 そこで件の附帯決議について、「女性宮家の創設等」の一節を削除することが望まれます。

 万一、それをもはや不可能とするならば、最低でも、参議院で成された附帯決議の冒頭部分に「一 政府は、安定的な皇位継承・・・」とある部分の「政府は」の後に「男系による」の五文字を補い、この部分を「一 政府は、男系による安定的な皇位継承・・・」とすべきです。

 愛知治郎「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会」筆頭理事におかれては、男系・父系による皇位継承の維持が万世の重い意味を持つことを、すでに充分に認識されていると拝察いたします。つきましては、その高いご見解を日本国の維持のために十全に発揮してくださることを心よりお願い申し上げます。

          (文責、参議院議員 青山繁晴 拝)


10
 愛知さんは愛知さんらしく、その場でじっくり文書に目を通されました。


 これは余人を入りない一対一の場であり、しかも水面下の動きの一環ですから、愛知政審会長・兼・特別委員会理事の言葉をそのまま紹介するわけにはいきません。

 けれども、ぎりぎりの範囲内で、読者・国民にお伝えします。

 愛知さんは、ぼくの眼の前で最後まで文書を読まれてから向き直り、こう仰いました。

「良く分かりました。基本的には、この文書に賛成です」

 ぼくは覚悟もして、次の言葉を待ちました。

「ご承知のように私には立場があります」

 その通りです。

「しかし、できる限りの努力を致しましょう」

 はっとしました。

 これは望外の言葉だったからです。

 実質的には突き放されると思っていました。

 そうではなく愛知さんは女性宮家を作らせないための努力を約束なさいました。これは必ずしも「衆議院で可決された附帯決議を、参議院の独自性を発揮して変えるために努力する」ということでは無いことも気づいてしました。しかし女性宮家を作らせないという本来の目的のために努力していくという決意は、はっきりと感じられました。


15
 週が明けて、西暦2016年6月5日の月曜日です。

 ぼくも山田宏さんたちも「附帯決議をめぐる攻防はもはや勝負あった。衆参両院の正副議長が、実質的に附帯決議まで含めて合意し終わっている壁は、打ち破れない。極めて重大なことに、参議院の特別委員会でも、衆議院と同じ附帯決議が可決され、女性宮家という歴史を誤る造語が史上初めて、公に姿を現すことになる。これからは言葉ではなく、女性宮家というものを現実に決して、永遠に作らせないための、より腹を据えた戦いになる」という認識で一致していました。


 そして六月七日の水曜、参議院の特別委員会はたった一日、今上天皇のご譲位を特例として実現する法案を審議し、そのまま採決を行い、全会一致で可決しました。

 
16
 勉強会は正式名称を「皇室の伝統を護る勉強会」といったん定め、その後に、より広く祖国を護りぬくことを意味する名称に変え、そのなかに分科会を幾つかぶら下げて、そのひとつが「女性宮家を作らせない分科会」となる方向です。

 勉強会はその後、この新書版のための原稿の〆切までの段階では、六月十四日に第四回を開きました。

 講師は、ぼくの盟友であり、かつ異論を真正面から闘わせている議論仲間でもある神官の松本聖吾さんです。松本さんは靖国神社の権禰宜であると同時に、総務課長ですが、そのまえに靖国の戦争記念館である遊就館の展示課長でした。


 松本さんは、たとえば天皇陛下が靖国に参拝されないことについて「もともと戦死者を祀るのが靖国であり、新たな戦死者が出ないなら、参拝されないのは自然の事。A級戦犯が合祀されたのを昭和天皇がお怒りになって参拝されなくなったのなら、勅使もお見えにならないはず。勅使は、靖国神社にとって八月十五日より本質的なおまつりである春と秋の例大祭に、まさしく陛下によって遣わされており、A級戦犯うんぬんは基礎知識すら欠いている作り話です」と話されました。

 これはぼくの長年の持論と全く同じです。いまお読みになった方のなかには「なるほど。目から鱗だ」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。宮家についての知識と同じく、わたしたち敗戦後の日本人は誰も学校で、こうした分野の勉強をさせてもらっていないのです。

 そして松本さんは「問題なのは陛下ではなく、総理大臣が参拝されないことです。それはみなさま方、国会議員の責任ではないですか」と指摘され、これもぼくと全く同意見です。


 ここまで四回の勉強会にその全部か一部にご本人が参加されたのは、衆議院が鬼木誠さん、木原稔さん(財務副大臣)、長尾敬さん、前田一男さん、和田義明さん、簗和生さん、参議院が衛藤晟一さん(総理補佐官)、中西哲さん、中山恭子さん、山谷えり子さん(参議院拉致問題特別委員長)、山田宏さん、和田政宗さん、そして不肖青山繁晴でした。自民・こころの統一会派の議員にしか声をかけていません。今後に幅を広げることはあり得ますが未定です。』


<感想>
 (1)宮家とは男系・父系による皇位継承を担保するために(本格的には)室町時代以来、設けられたもので、当主を男系・父系とすることは自明の理であることや、(2) 靖国神社の春と秋の例大祭に、陛下によって勅使が遣わされていること、などは、本来、学校で教えるべき内容であると思われる。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------


[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-09-25 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


【 危機にこそぼくらは甦る 】(その2)


 以下は、「危機にこそぼくらは甦る」(青山繁晴著、扶桑社)(六の扉 危機を生きる)からの一部抜粋。


『3
「ぼくしん」こと「ぼくらの真実」がハードカヴァーの単行本として世に出たときと、「危機にこそぼくらは甦る」と改題し新書に生まれ変わった今では、おおきな変化がみっつあります。

 ひとつはトランプ米大統領の登場、ブレギジット(イギリスのEU離脱)が象徴する破壊です。第二次大戦後にアメリカが造った世界秩序はたった七十年余りしか持たなかった。これから、もっと大きく深く壊れていきます。

 もうひとつが前項までに触れた朝鮮半島危機の勃発です。

 プレジデントよりデストロイヤーと呼ぶべきトランプ大統領が、世界でもっとも深刻な嘘つきである金一族の北朝鮮と直接に軍事力を誇示して角を突き合わせる。



 日本でこの時期、降って湧いたのが「女性宮家」を創設せよという奇怪な圧力です。
 具体的には、西暦2017年5月末に、天皇陛下のご譲位をめぐる特例法案の附帯決議に「女性宮家等の創設」を検討するという言葉が盛り込まれました。

 附帯決議というのは、法案の条文には入らなかった中身を、法案の末尾にくっ付けて議決する項目です。

 法的な拘束力はありませんが、政治的影響力はあります。つまり法律をつくった国会(立法府)が政治(行政府)に要求を突き付けるという力があるのです。

 これが無期限の力なのです。法律を廃止すれば別ですが、その附帯決議の付いた方がある限りは政治的影響力が続きます。


 宮家は鎌倉時代に端緒があり、本格的には室町時代に始まった制度です。何のための制度か。皇位継承、天皇陛下の即位が綿々と途切れることなく続いていくように、傍系から男子の皇位継承者、つまり次世代の天皇陛下を生むことができるように作られた制度なのです。

 だから宮家はこれまで全て、ご当主が男性であられました。これは男女差別ではありません。

 配偶者のいらっしゃる女性が天皇陛下に即位されれば、その御方は女性であっても男系天皇、父系天皇でいらっしゃる。

 しかしその御子様が即位されれば、男の子であっても女系、母系天皇です。この時、わたしたちと共に二千数百年を生きてこられた天皇家は終わります。
 
 この母系天皇のお子さん、つまり前述した最後の父系天皇であるお母様の配偶者、夫による王朝が始まります。

 なぜか。

 母系は系統をたどれず、たどれる系統は父系だからです。

 たとえば、ぼくには二人の男の子がいます。彼らとぼく、ぼくの父、祖父と父系はずっと遡れます。しかし、彼らの配偶者、ぼくの配偶者はそれぞれ当然ながらバラバラで一系を遡れません。

 そしていったんこうなると、父方であれ母方であれ、誰でも皇族、皇位継承者となることができます。そういう国に一変します。そしてこの「誰でも」が外国人であっても、もちろん中国人だとしても全く構わないことになります。

 アメリカにはこの先、アメリカで生まれてさえいれば中国系でも大統領になれるから中国系大統領が誕生する可能性が常に付いて回ります。そして日本では中国系天皇陛下が誕生する可能性が生れることになるのです。

 西暦2017年、平成29年の5月末に、ご譲位法案の附帯決議に「女性宮家の創設」という言葉をどうしても入れろと強硬に要求したのは・・・・・・野田佳彦・前内科う総理大臣です。

 わたしは「国賊」という言葉を使いません。しかしこの政治家の現状については使わざるを得ません。


 安倍政権の中枢では、(1)天皇陛下の仰ることを無条件に遂行はしない。それをやれば立憲君主制ではなくなり、むしろ大御心にも反する。(2)永い日本の歴史のなかでは時の権力が天皇陛下に退位を迫るといった事例もあり、恒久制度にすれば悪用される恐れがある。(3)したがって皇室典範(皇室をめぐる法律)は改正しない。(4)一方で憲法第二条に皇位継承は皇室典範の定めによって行うとの規定がある。(5)違憲とならないように皇室典範の附則にぶら下げる形で一代限りの特例法を整備する──という方針が早期に固まりました。

 政権中枢との議論でこの方針を知った、当時民間人のわたしは、強く支持しました。

 
 民進党の野田佳彦前総理がゴリ押しとも言えるほどの執念で民進党内の反対論をも押し潰して「女性宮家」を入れろと要求していることは、誰もが知っていました。


 このような重大な問題において、民意によって少数野党となった民進党の、それも野田前総理ら特定の人物が無理に進める要求に、民意によって多数与党を形成する自由民主党が膝を屈するとは、今も想像しがたいことです。


 まさしく、多くの与党議員にとって寝ているあいだに耳に水を入れられるがごとくに、「女性宮家」という日本語ではない日本語、基礎的で中立的な知識すら欠く間違った言葉が、衆議院・議院運営委員会の公文書(附帯決議)に記されてしまいました。


 第一に、なぜ女性宮家がいけないのか。

 もう一度、簡潔に記しておきます。

 女性宮家というもの自体がありません。あり得ません。宮家は男系・父系によって皇位を継承し続けるために端緒は鎌倉時代に、本格的には室町時代に創設されました。したがって当主は男性です。


 わたしたちは、ほとんど誰も宮家について学校で習ったことがありません。それが敗戦後の教育です。世代を問いません。日本国が初めて外国に占領されたときから70年を大きく超えても、ずっと変わらない教育です。天皇陛下のご存在と皇室についての教育が決定的に欠落しています。

 このために、「女性宮家」という奇怪な日本語が、こともあろうに立法府によって二千数百年の大河のような歴史に突如、投げ込まれてしまったことの重大な、重過ぎる意味が充分に国民に伝わりません。


 これまでの日本の天皇家は父系ですから、もしも神武天皇が神話的な存在あるいは国家の誕生を象徴的に表現した存在であっても、真っ直ぐに時を越えて初代の神武天皇まで辿ることができます。これが万世一系です。軍国主義うんぬんとは本来、まったく関係のない、客観的な事実です。

 ではなぜ、万世一系が尊いのでしょうか。

 
 日本国民の誰もがご存じのように、天皇陛下の本来のお住まいは現在の皇居、すなわち江戸城、一武家である徳川家の居城ではありませんね。

 本来のお住まいどころは京都の御所です。


 ではその場所の特徴は何なのか。お濠も城壁もありません。簡素な塀は低すぎて中が見えてしまいます。あろうことか、守りがほとんど無いのです。


 日本の帝は御自らのためではなく、ただ民のために祈り、務めておられていて、民に襲われる心配がないからです。


 中国が極端なのは事実としても、世界の諸国の皇帝、王、あるいは帝や王に擬した存在というのは、私欲のために争い、先の王朝が滅ぼされ、新しい王朝が開かれてはまた滅ぼされの歴史だったのです。

 唯一、日本だけが、父系でたどる一系だけが皇位を継ぐことができますから、争い、奪いあう余地が極めて少ないのです。

 過去の歴史をみれば、同じ天皇家のなかでの争いはありました。しかしそれを最小限にとどめようとする努力こそが、まさしく万世一系、父系による皇位継承なのです。

 みごとな智恵、民族の英知としか言いようがありません。

 もう一度言います。軍国主義うんぬんの浅薄な話とは関係ありません。

 第125代の今上陛下のお姿にも、「他のため、民のために生きる」という崇高な姿勢が貫かれています。

 
 附帯決議が衆議院で可決された段階から、不肖ながらぼくは行動を起こしました。


 そして西暦2017年5月31日水曜の朝9時20分、衆議院の第八控室で国会対策委員会が始まりました。


 真っ直ぐ手を挙げ、短く発生して発言機会を求めました。


「その附帯決議に女性宮家の創設の検討が盛り込まれたのは参議院で見直すべきだと考えます。宮家とは本来、男系と言うより父系による皇位継承を担保するために古くからの智恵としてあるものです。それを女系と言うより母系の天皇陛下を生むことになりかねない、すなわち天皇家が無くなり新たな王朝を作ることに繋がる女性宮家うんぬんについて、自由民主党、あるいは参議院はしっかりと、それは違うという意志を附帯決議で示すべきだと考えます」

「附帯決議は衆参同じものが原則だと、わたしに仰った議員もいらっしゃいます。しかしこの通常国会で、わたしも審議と採決に加わった外為法の改正において、衆議院の附帯決議を一項、削って、参議院の新たな附帯決議として可決しました。あるいは先の臨時国会で可決したIR(カジノ)法においては衆議院の附帯決議に一項を加えて、賭博中毒を減らす対策の必要性を強調する附帯決議を参議院では可決しています」

「陛下のご譲位をめぐっては、衆参両院議長、副議長閣下の調整によって立法が進められています。しかしそれは法の本体であって、附帯決議については衆議院で過てる附帯決議が成された以上は、参議院はその見識発揮という本来の役割を果たすためにも見直すべきではないでしょうか」

「法案はまだ衆院本会議でこれから採決に付される段階です。附帯決議と併せて、参議院にやってくるのは、その後のことです。しかし事態の重大さに鑑みて、あえて事前に、一年生銀ながらみなさまに問いかけを致しました。ありがとうございました」 』



[ 日本国憲法 ]

第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。



[ 天皇の退位等に関する皇室典範特例法 ]
第一条~第十一条 略

 譲位特例法に伴い、衆参両院それぞれの委員会で採択された付帯決議の全文は次の通り。

 一、政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方のご年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方のご事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。

 二、三 略


<感想>
 2017/6/9、上記附帯決議を含めて「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が参院本会議にて成立。仮に、附帯決議にある女性宮家による新たな王朝が生まれた場合は、万世一系の天皇家が途絶えることになってしまう。(北朝鮮危機は一時的なものであろうが、)後戻りできない天皇家の危機は何としても回避せねばならない。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------


[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-09-22 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


【 危機にこそぼくらは甦る 】


 以下は、「危機にこそぼくらは甦る」(青山繁晴著、扶桑社)(六の扉 危機を生きる)からの一部抜粋。


『1
 危機とはそもそも何だろう。
 やられることか、やられそうになることか。
 それとも、やられていることにすら気づかないことか。



 にんげんには、受け身という生き方もあります。

 しかしその生き方では、平時には綻(ほころ)びをみせずとも、ひとたび本物の危機が向こうからやってくると、おのれだけではなく愛する人々、護るべき人々をも喪うことになりかねません。

 危機に立ち向かうには、どこかで必ず前に出る、攻めに転ずることが欠かせない。


 西暦2017年5月2日にハワイ真珠湾のアメリカ太平洋司令部(PACOM/ペイコム)を訪ねて、ハリー・B・ハリス司令官と通訳を入れずに眼と眼をみて、この半島危機について議論しました。

 司令官の言葉は一切、永遠に公開できません。

 けれども、僕の言葉は一部、公開できます。ひとつには、もしもアメリカ軍が北朝鮮攻撃の作戦を立てている途中なら、そこに必ず日本の拉致被害者の全員救出を組み込んでほしいということです。「これは救出をアメリカ軍にお願いするということではありません。自衛隊と連携してくださいという意味です」と申しました。

 ぼくは2017年3月2日、参議院の予算委員会で質問に立ち、「半島危機に直面していく今、自衛官と警察官、消防官、そして医師、看護師、保健師、さらに方言もこなせる朝鮮語の通訳で構成する包括的な拉致被害者救出部隊を編成し、北朝鮮と日本国民の眼に見える訓練も、水面下での立案・協議も早く開始してください」という趣旨を述べました。

 これに対し若宮健嗣防衛副大臣は「自衛隊は(拉致被害者救出のための)訓練を開始しています」という予想外なほど重要な答弁をなさいました。

 しかし多くの国民に知られることがありませんでした。NHKのテレビ中継はなく、新聞も通信社もテレビ・ラジオのニュース番組もすべてマスメディアはこの質疑を一切、無視したからです。それは、ぼくの質疑が拉致事件に触れると委員会室を出て行った福島瑞穂・社民党副党首ら一部野党の姿勢とそっくりです。傍聴の国民多数がこれを目撃なさいました。

 ハリス司令官に申したもうひとつは、こうです。

「かつてのオバマ政権がイランと結んだ核合意は、イランに核開発をあきらめさせることに成功したのではない。逆ですね。イランが十年間は大人しくして質も量も落とす核開発に留めるのなら、それを黙認するという合意でした。

 北朝鮮に対してもアメリカがそれをやるなら、日本は容認しません。それはアメリカに届く核ミサイルは駄目だけれど、日本をすでに射程内に収めている中距離弾は許すということだからです。ぼくも、おそらくは安倍総理も日本の核武装に反対ですが、そうなれば次世代の日本は核武装せざるを得ないでしょう。北朝鮮のボロ核で慌てるアメリカは、高度な技術で造る日本の核に、一体どれくらい慌てるのでしょうね」

 
 ハリス司令官が仰ったというのではありませんが、ぼくはこのときのアメリカ太平洋軍司令部の全体、それからハワイの太平洋軍司令部を訪ねる前夜にワシントンDCで話した軍人たちの様子から、次の本音を感じました。

「北朝鮮が制裁に苦しんで核ミサイルの開発を本当に放棄するということが起きれば別だが・・・・・・それはおそらくは起きないので、アメリカ軍が北朝鮮の核とミサイル、司令部、ソウルを狙っている長射程砲の群れ、特殊部隊などなど、そして独裁者そのものまで全面攻撃する、少なくとも準備は整え完成させていく。そのうえで判断するときが、いずれやってくる」

 これは、アメリカ合衆国が史上初めて、核保有国と戦争をする可能性が生じているのがたった今の現実だということを意味します。

 広島、長崎への原爆投下をほんとうは人体実験として行ったアメリカは、被爆国のわたしたち日本国民よりはるかに正確に核の底無しの恐ろしさを知っています。イラクもフセイン大統領が核開発を諦めていたから攻撃してフセイン大統領を死刑に処したし、リビアのカダフィ大佐も「核を断念したら援助してやる」と騙してから攻撃し、民兵の少年に殺されるという惨めな死へと導きました。

 北朝鮮の金一族は、その中東で核やミサイルの技術を売る商売をして生き延びてきたから、この現実をよく知り尽くしています。だからアメリカのクリントン大統領やブッシュ大統領を騙しながら、そして中国が何を言おうとも、核開発を続けてきたのです。

 ところが、その核開発に成功したがために金一族は人類史上最初の核保有国同士の戦争の恐れを今、膨らませているのです。』


<感想>
 1)拉致被害者救出のための自衛隊の訓練開始の答弁や、2)青山議員がハリス司令官に拉致被害者救出のための自衛隊との連携の申し出、があったことは知らなかった。対北朝鮮対策を考える上で、拉致被害者救出が大事な論点であることを忘れてはならない。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------


[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-09-21 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


【 大直言(青山繁晴×百田尚樹) 】(その2)



 以下は、「大直言」(青山繁晴・百田尚樹著、新潮社)第2章「外交を議論する」からの一部抜粋。


『  官僚が敗戦を招いた

百田 海軍兵学校を卒業するときのペーパーテストの順位のことをハンモックナンバーと言うんですが、この順位がその後にもつきまとう。つまり、その順番に偉くなる。途中で才能を見抜かれて出生する、ということもなければ、逆に能力が低いから左遷されるということもない。二十歳くらいの時のペーパーテストがその後の人生を左右するわけです。

 しかし、実際の戦場に「正解」なんてあるはずがありません。何が起こるのかわからないのが戦場です。だから当時、司令官だった中将、大将あたりが、あたふたして何もできなかったケースがものすごく多かったんです。

青山 そのとおりです。そして大きな問題は、さきほど申し上げたようにすでに戦後世界が壊れて、さらに正解、模範解答はない世界になっているということなんです。アメリカが超大国として支配する構造が終わりつつあります。


 中小の商社マンたちは、地べたを這いずりまわりながら、世界中で売れそうにないものを売ってきた。彼らの凄いのは、巨大商社のようなカラクリもないなかで売ってきたという点です。カラクリというのは、相手国の巨大な既得権益との深い癒着です。中小商社にはカラクリをつくれるだけのカネがない。

 じゃあ彼らは何を武器にしているか。人間力です。本当にそうなんです。

 日本にはまだそういう人材がいるんだから、官民の交流をやればいいんですよ。アメリカのこれまでの強さは、官民交流人事のお陰という面があります。政権交代の時が顕著ですが、官僚はどんどん辞めて民間に移籍するし、逆に民間からどんどん政府にも入ってくる。

 これは建国からの歴史が浅い国だから出来たということもあるんですが、せっかくアメリカと仲がよい日本なんだから、良き制度は採り入れればいいんです。そうすれば外務省は音を立てて変わりますよ。

 こんなことは大臣によってはすぐにできます。ただし、岸田さんでは駄目です。八方美人で、安倍さんからの禅譲を狙っているような人では。

 あえて言えば、民間から外務大臣を登用していいと思う。


  正解のない問題に対応する能力を

百田 たしかにそのへんはアメリカに学ぶべきことはありますね。たとえば日本軍を徹底的にやっつけたニミッツ太平洋艦隊司令長官も、海軍兵学校での成績はトップではなかった。ところが実際に軍に入ってからは優秀なので、三十人近くゴボウ抜きで司令長官にまでなったんです。

 実はアメリカも平時には試験の成績で出世していきますが、いったん戦争のような何が起きるかわからない状況になると、そんなものは関係なくなる。答えの出ない状況でいかに臨機応変に答えを出すか。ここを見るんです。

 日本は、戦後七十年、まったくそれがないですね。だからあれだけ優秀だったはずの官僚が、経済政策や金融政策でどれだけ失敗してきたか。ぼくらの頭脳をはるかに超えるペーパーテストの成績を取りながら、こんなこともわからないのかということをいっぱい見てきました。

青山 おっしゃった人事の妙というのは、結局、軍事にも外交にも全部当てはまることですよね。人事が権力であり、権力は人事ですから。

 百田さんのお話を補えば、かつての日本ではそういう人事もあったんです。日露戦争でバルチック艦隊をうちのめして、世界を驚愕させた連合艦隊の司令長官を務めた東郷平八郎元帥は、その前まで冷や飯を食わされてたんです。しかし、軍の内部から「戦時には、この男が必要だ」という声があがり、実質的に引退状態だった東郷さんを呼び戻した。

百田 その東郷さんが、当時、回線では誰もやらなかった「T字戦法」を展開したわけですよね。まったく模範解答とは異なる作戦でバルチック艦隊を壊滅させた。ちなみにこれ以後、「T字戦法」は回線の常識になります。

青山 それを要するに保守本流じゃない頭脳を持ってたからなんです。日本でも、江戸期の教育を受けた人材がまだ健在な頃は、そういう大胆な発想の転換ができました。

 明治維新は、ぼくは世界に誇れる偉業だと思っています。それを全否定する向きもありますが、そんなことはないと思う。それは世界を歩けば歩くほどにわかる。

 でも、間違いもあった。特に教育です。西洋の真似をして年齢で輪切りするようになった。その教育を受けた世代から、ペーパーテストの成績を重視するようになり、しかもそれを戦時にも適用してしまう人事がまかり通った。これがその後の敗戦につながるわけです。』


[日本国憲法]
第六十八条  内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。


<感想>
 政治、外交のみならず、あらゆる分野で、如何に正解のない問題に適時適切に対応できるかが重要な時代になっている。憲法第68条第1項では、内閣総理大臣は国務大臣の過半数は国会議員の中から選ぶことが規定されている。青山議員の言う官僚の官民交流に留まらず、10月に見込まれる衆院解散・総選挙後、思い切って大臣の約半数を民間人にしてみたら、失われた四半世紀から脱せられる可能性は増えるのではなかろうか。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------



[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-09-19 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


【 大直言(青山繁晴×百田尚樹) 】


 以下は、「大直言」(青山繁晴・百田尚樹著、新潮社)第1章「憲法を議論する」からの一部抜粋。


『  憲法のとんでもない成り立ちを知るべき


百田 最初、日本人につくらせたんですが、出来上がった草案は気に入らなかった。

 そこで占領軍が自分たちで草稿をつくろうということになり、GHQの民生局が、職員を25人集めて、「今からお前たち、日本国憲法の草案をつくれ」と命じた。

 しかし、そこにいたのは素人ばかりですわ。法律家は3人しかいない。弁護士が三人いただけで、その弁護士も憲法の専門家でも何でもないんです。メンバーの中には、22歳の女性のタイピストまでいたくらいです。

 結局、そういう人たちで一週間でつくった。国家の憲法を素人集団が一週間でつくった。しかも、どうやってつくってええかわからへんから、東京の図書館に行って、スターリン憲法とかワイマール憲法とか、あるいはアメリカの独立宣言文とかから、「この文を使おう」「こっちもいいな」という感じで取りまくって、つくった。そう言うと、世界中のいいとこばかり集めた理想の憲法のように見えますが、出来上がったものは、日本という国家観も民族観も何もありません。

 この憲法ができてから、約40年近く経った時に、憲法学者の西修先生が、アメリカに行って、憲法草案を作成した当時の民生局のメンバーにインタビューしています。かなりの方は亡くなっておられたんですが、それでも十何人かが生き残っていた。それで、その中の8人に、あの時はどうやってつくったんですか、こういう細かいところはどういう経緯ですか、と質問した。

 すると、その彼らは一様に、

「えっ!君ら、まだあの憲法を使っているのか」

 と言ったそうです。つまり、彼らは、あくまでGHQが占領統治している間の暫定憲法だというくらいにしか思っていなかった。そら当たり前です。憲法の素人である自分たちが、たったの一週間でつくった憲法を、まさかその後40年も一字も変えていないなんて、思ってもみなかったでしょう。

 でも、その西先生の調査からもうすでに30年経ってるんです。それなのにいまだに一文字も変えられていない。

青山 これは本質的なお話ですよね。実は、西先生が体験なさったのと近いことをぼくも体験したことがあります。元のGHQ士官に会った時に、ぼくが彼に聞いたのは、実は憲法96条のことでした。向こうはぼくが天皇陛下の条項や、9条のことを聞きたいのかと思ったようですが、ぼくは96条のこと、すなわち憲法改正のハードルがなぜあそこまで高いのか、ということを聞いたのです。

 すると、彼は、こんな話をしてくれました。

「天皇陛下の存在をどうするか、また帝国陸海軍をどうするか、といったことについては皆、徹夜で議論をした。わたしたちなりに平和な世界をつくりたいという考えをもとに議論をしていたんだ。そのことは信じてほしい。ただ、96条については自分の知る限りでは議論していない。誰かがタイプしたんだろう」

 タイプしたのは、ひょっとしたら、あの女性かもしれないと、名前を言ってました。

百田 ベアテ・シロタさんか。彼女は日本育ちだったので、日本語ができました。ロシア出身のユダヤ人で有名なピアニスト、レオ・シロタの娘です。ちなみに都内の図書館から各国の憲法を借りてきたのも彼女です。


  憲法を変えるのは「ぼくらの問題」

青山 あとで調べたところ、議論をしていない、というおは本当でした。彼は、
「イオウジマ(本当はイオウトウですが、こう言ったのです)や沖縄での戦いで、日本人がどれほど誇り高い人々かはよくわかっていた。わたしたちがつくった憲法はあくまでも占領下の間だけで、いずれ自分たちで変えるだろう、つくるだろう、と思っていた。アメリカには日本を占領し続けようという領土的野心はなかったのだから」
 とも話していました。

 この領土的野心がなかったというのは本当でしょう。アメリカにそれがあればカナダやメキシコも存在していないでしょうから。別にアメリカ人を褒めているのではなく、カウボーイとはそういうものです。彼らは牧場を広げることよりも、孫の成長が大切な人種なのです。

「日本が独立を回復したら、at that night(その夜のうちに)全部変えるだろうと思っていた。ただし、わたしたちも平和を願ったんだということを思い出してほしいから、最初のハードルを高めにつくっただけで、それを変えないのは、わたしたちじゃなくて、君たちの問題だ」

 とも話していました。彼は、お別れが近づくとこう言いました。

“Ask your people, ask your administration”(君の同胞、君の内閣に聞くべきだ)

 これは百田さんの話と一致する話で、大事なことです。


  国民を分断しない議論を

青山 翌日、もう一回、ドイツ国防省に行った時に、またその彼とコーヒーブレイクで話をした。今度はぼくはこんな風に言いました。

「ドイツ人が賢くて、日本人が馬鹿だということではありません。あなたの国は戦争で負けて、負けて、負けて、また、負けてやっと勝とうと思って、ナチスをつくったら、もっと負けた。しかし日本は、モンゴル帝国の侵略を跳ね返した歴史をはじめ、ずっと自国の領土を一度も侵されたことがない唯一の主要国だった。1945年に初めて負けたから、負けた時にどうするかを知らなかった。勝った時じゃなくて、負けた時にどうするかを訓練されてなかっただけのことです。だから、1911年にハーグ陸戦条約を批准していても、その意味がよくわかっていなかった」

 最後の発言を補足説明しておくと、ハーグ陸戦条約の中には、勝った国は負けた国の法律を原則いじるなと明記されているわけです。

「だから、日本人は馬鹿なんじゃなくて経験がなかっただけだから、これからやるんだよ」

 そう言って、日本に帰ったんです。でも、それからずいぶん幾つも内閣が代わり、それでも憲法は変わりません。

 やはり、ask your peopleの精神で、わたしたち国民同士で考えるべきです。ただし、安倍総理はじめ政治家にお願いしたいのは、こういう改憲派、護憲派と分断しない話、立場の違いを乗り越えられる話をもっともっと提起してもらいたい。(※青山註 この対談当時、僕自身の選挙出馬はカケラも考えていませんでした)』


日本国憲法
第九章 改正
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。


<感想>
 憲法の成り立ちを含め、戦後一度も改正されていない憲法に疑問を持つような教育が今こそ必要なのではないだろうか。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------



[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-09-17 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


【 大直言(青山繁晴×百田尚樹) 】


 以下は、「大直言」(青山繁晴・百田尚樹著、新潮社)第1章「憲法を議論する」からの一部抜粋。


『  憲法のとんでもない成り立ちを知るべき


百田 最初、日本人につくらせたんですが、出来上がった草案は気に入らなかった。

 そこで占領軍が自分たちで草稿をつくろうということになり、GHQの民生局が、職員を25人集めて、「今からお前たち、日本国憲法の草案をつくれ」と命じた。

 しかし、そこにいたのは素人ばかりですわ。法律家は3人しかいない。弁護士が三人いただけで、その弁護士も憲法の専門家でも何でもないんです。メンバーの中には、22歳の女性のタイピストまでいたくらいです。

 結局、そういう人たちで一週間でつくった。国家の憲法を素人集団が一週間でつくった。しかも、どうやってつくってええかわからへんから、東京の図書館に行って、スターリン憲法とかワイマール憲法とか、あるいはアメリカの独立宣言文とかから、「この文を使おう」「こっちもいいな」という感じで取りまくって、つくった。そう言うと、世界中のいいとこばかり集めた理想の憲法のように見えますが、出来上がったものは、日本という国家観も民族観も何もありません。

 この憲法ができてから、約40年近く経った時に、憲法学者の西修先生が、アメリカに行って、憲法草案を作成した当時の民生局のメンバーにインタビューしています。かなりの方は亡くなっておられたんですが、それでも十何人かが生き残っていた。それで、その中の8人に、あの時はどうやってつくったんですか、こういう細かいところはどういう経緯ですか、と質問した。

 すると、その彼らは一様に、

「えっ!君ら、まだあの憲法を使っているのか」

 と言ったそうです。つまり、彼らは、あくまでGHQが占領統治している間の暫定憲法だというくらいにしか思っていなかった。そら当たり前です。憲法の素人である自分たちが、たったの一週間でつくった憲法を、まさかその後40年も一字も変えていないなんて、思ってもみなかったでしょう。

 でも、その西先生の調査からもうすでに30年経ってるんです。それなのにいまだに一文字も変えられていない。

青山 これは本質的なお話ですよね。実は、西先生が体験なさったのと近いことをぼくも体験したことがあります。元のGHQ士官に会った時に、ぼくが彼に聞いたのは、実は憲法96条のことでした。向こうはぼくが天皇陛下の条項や、9条のことを聞きたいのかと思ったようですが、ぼくは96条のこと、すなわち憲法改正のハードルがなぜあそこまで高いのか、ということを聞いたのです。

 すると、彼は、こんな話をしてくれました。

「天皇陛下の存在をどうするか、また帝国陸海軍をどうするか、といったことについては皆、徹夜で議論をした。わたしたちなりに平和な世界をつくりたいという考えをもとに議論をしていたんだ。そのことは信じてほしい。ただ、96条については自分の知る限りでは議論していない。誰かがタイプしたんだろう」

 タイプしたのは、ひょっとしたら、あの女性かもしれないと、名前を言ってました。

百田 ベアテ・シロタさんか。彼女は日本育ちだったので、日本語ができました。ロシア出身のユダヤ人で有名なピアニスト、レオ・シロタの娘です。ちなみに都内の図書館から各国の憲法を借りてきたのも彼女です。


  憲法を変えるのは「ぼくらの問題」

青山 あとで調べたところ、議論をしていない、というおは本当でした。彼は、
「イオウジマ(本当はイオウトウですが、こう言ったのです)や沖縄での戦いで、日本人がどれほど誇り高い人々かはよくわかっていた。わたしたちがつくった憲法はあくまでも占領下の間だけで、いずれ自分たちで変えるだろう、つくるだろう、と思っていた。アメリカには日本を占領し続けようという領土的野心はなかったのだから」
 とも話していました。

 この領土的野心がなかったというのは本当でしょう。アメリカにそれがあればカナダやメキシコも存在していないでしょうから。別にアメリカ人を褒めているのではなく、カウボーイとはそういうものです。彼らは牧場を広げることよりも、孫の成長が大切な人種なのです。

「日本が独立を回復したら、at that night(その夜のうちに)全部変えるだろうと思っていた。ただし、わたしたちも平和を願ったんだということを思い出してほしいから、最初のハードルを高めにつくっただけで、それを変えないのは、わたしたちじゃなくて、君たちの問題だ」

 とも話していました。彼は、お別れが近づくとこう言いました。

“Ask your people, ask your administration”(君の同胞、君の内閣に聞くべきだ)

 これは百田さんの話と一致する話で、大事なことです。


  国民を分断しない議論を

青山 翌日、もう一回、ドイツ国防省に行った時に、またその彼とコーヒーブレイクで話をした。今度はぼくはこんな風に言いました。

「ドイツ人が賢くて、日本人が馬鹿だということではありません。あなたの国は戦争で負けて、負けて、負けて、また、負けてやっと勝とうと思って、ナチスをつくったら、もっと負けた。しかし日本は、モンゴル帝国の侵略を跳ね返した歴史をはじめ、ずっと自国の領土を一度も侵されたことがない唯一の主要国だった。1945年に初めて負けたから、負けた時にどうするかを知らなかった。勝った時じゃなくて、負けた時にどうするかを訓練されてなかっただけのことです。だから、1911年にハーグ陸戦条約を批准していても、その意味がよくわかっていなかった」

 最後の発言を補足説明しておくと、ハーグ陸戦条約の中には、勝った国は負けた国の法律を原則いじるなと明記されているわけです。

「だから、日本人は馬鹿なんじゃなくて経験がなかっただけだから、これからやるんだよ」

 そう言って、日本に帰ったんです。でも、それからずいぶん幾つも内閣が代わり、それでも憲法は変わりません。

 やはり、ask your peopleの精神で、わたしたち国民同士で考えるべきです。ただし、安倍総理はじめ政治家にお願いしたいのは、こういう改憲派、護憲派と分断しない話、立場の違いを乗り越えられる話をもっともっと提起してもらいたい。(※青山註 この対談当時、僕自身の選挙出馬はカケラも考えていませんでした)』


日本国憲法
第九章 改正
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。


<感想>
 憲法の成り立ちを含め、戦後一度も改正されていない憲法に疑問を持つような教育が今こそ必要なのではないだろうか。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------



[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-09-17 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


【 トランプ大統領のシリア攻撃 】

 以下は(敬愛する)青山繁晴参議院議員の2017/4/7のブログ(http://shiaoyama.com/essay/detail.php?id=619)からの抜粋。


冒頭に重要な追記をして再掲 ~アメリカ海軍による巡航ミサイル・トマホークの一斉射撃をめぐって~

▼まずは予行演習として戦争が始まりました。
 それがトランプ政権下のシリア攻撃です。

 予行演習というのは、ずばり北朝鮮攻撃への予行演習です。
「二正面作戦は大変だから、これで北朝鮮への攻撃は遠のいた」という受け止め方は間違いです。
 しかし一方で、これでアメリカ軍が北朝鮮を攻撃することが定まったということでは全くありません。
 こうやって新政権下で軍を実際に動かしてみて、アメリカの国内外で起きる波紋を含め、すべてのナマの情報を集めて、それを元に、朝鮮半島についてもいずれ決断していくということです。


<感想>

 緊迫の度合いを増す北朝鮮情勢。
 なぜ国会で真剣な議論がなされないのか。
 今後も北朝鮮絡みの動きには注目して行きたい。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
『まぐまぐ!』へのご登録はこちら
http://www.mag2.com/
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------


[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-04-14 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


「ぼくらの哲学」(青山繁晴著、飛鳥新社)


 以下は掲題書の十三の章、十五の章からの一部抜粋。


『 十三の章 ぼくらの目的地はどこにある

 拠出金十億円の真相


 戦いが弱いからこそ外交上手の韓国は、アメリカの圧力が日本に対してもあるはずだと考え、NSC(国家安全保障会議)の谷内正太郎局長と李丙ぎ(王編に其)・韓国大統領秘書室長のソウルでの秘密折衝で(1)日本は国費から20億円を慰安婦への償いとして出せ(2)口頭で良いから「日本軍が関与して朝鮮女性を傷つけた」と岸田外相が明言せよ(3)そのふたつだけで韓国政府はもはや慰安婦問題を取りあげないと日本と国際社会に確約する――との「最終提案」を出した。

 日本政府内のすべての情報を総合すると、安倍総理の反応は「もう蒸し返さないというのは大きい」、「軍の関与と言うだけなら、韓国の言ってきた『日本軍は朝鮮女性を強制連行して性奴隷にした』という話とは違う」、「あくまで対等な外交交渉として妥結したという形にするために、外交の基本として話を半分にしよう。だから拠出金は半分の10億円だ」ということだった。「対等な外交交渉」とは、加害者と被害者という立場ではなく、という趣旨だろう。

 わたしは、このすべてに反対した。わたしごときの反対はどうでも良いが、政府内部で何人もの重要人物が反対した。わたしは「嘘を本当にしてしまえば、日本の子供たち、次世代だけではなく、韓国の子供たちにも致命的に有害だ」と総理サイドに強く申し入れた。

 それでも安倍さんは、迷った挙げ句、2015年12月27日の夜に踏み切った。外交が得意分野だからだ。イエスマンの岸田外相に最終的に妥結を指示したのである。視線の先にあったのは韓国よりもアメリカだった。「対等な日米」という本願に近づく一歩と見たのだ。



 十五の章 響き合う世界

 諸国の軍人らに伝えたのは「日本はいよいよ敗戦を乗り越え、新しい生き方を世界に示し、ほんものの平和国家に生まれ変わる」という哲学の提起である。

 安倍内閣は、国連の場(女性差別撤廃委員会)で初めて、韓国政府と日本のマスメディアが声高に主張し続けた「日本軍が朝鮮女性を強制連行、慰安婦とした」という話が、まったくの虚偽であることを説明した。安倍晋三総理が決断して西暦2015年末に成立した「日韓合意」で、「(日本)軍の関与の下で女性を傷つけた」と岸田文雄外相が公式に述べ、実質的に日本政府自ら嘘をついてことの埋め合わせだった。

 ところが実は国連での初説明は、口頭だけであり、文書に記録しない。それを水面下で国連や韓国、さらに中国とも摺り合わせたうえでの言いっ放しであった。

 そのために「慰安婦の多くは日本女性であり、日韓とも家庭の貧しさから親や親族に売られた女性が慰安婦となった」という客観事実は葬られたままになった。

 だから、そのあとに国連のこの委員会が出した日本政府への「勧告」なるものに「皇位継承を男性に限っているのは女性差別であるから皇室典範を改正しろ」という前代未聞の暴力的な内政干渉が、中国の対国連工作でやすやすと盛り込まれたのだ。

 さすがに安倍内閣の抗議でそこは削られ、「国連は戦争をなくす美しい組織ではない。日本を永遠に敗戦国にとどめようとする自称戦勝国が賄賂も使ってやりたい放題に工作する場だ」という冷厳な事実、わたしが長年、国連本部の近くのカフェで国連職員から聞いてきた真実を日本国民がすこしばかり知る機会になった。 』(太字は筆者)


>>韓国国際公約を違えるような動き、レームダックの朴槿恵大統領サムソンの凋落、日韓通貨スワップ協定の中止等を起因とする、韓国発の通貨危機が起こって日本がとばっちりを受けないことを祈念している


----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
『まぐまぐ!』へのご登録はこちら
http://www.mag2.com/m/0001677393.html
発行者HP http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------
[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-01-28 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


「ぼくらの哲学」(青山繁晴著、飛鳥新社)


 以下は掲題書の四の章、十一の章からの一部抜粋。


『 四の章 祖国の沖縄 その一

  異例の「公式発表」


 会談の表舞台を伝えた報道は、ほとんど意味がない。裏舞台というより、両者の本音をあえて忖度、すなわち他人の気持ちを推し測ることを交えて表現してみると、こうだ。

菅さん「あなたは自民党の沖縄県連幹事長まで務めて、その自民党時代にずっと長く、辺野古移設を進めてきたではないか。ほんとうは知事になりたいがために、沖縄の地元紙をはじめ声の大きなところに追従して反対に回ったのじゃないだろうか。そこが許せないから、官房長官の私も安倍総理もあなたに会わないできた。そろそろ互いに、何かの妥協点や歩み寄りを見出さないと、長年の沖縄政策が壊れてしまう

翁長さん「そうやって私を見くだすことをまずやめないと、話にならない。いつまでこの私を、自民党の一地方県連の幹事長とみているんだ。私は知事選で圧勝して、今は沖縄県知事だ。そもそも辺野古への移設は無理筋なんだよ。すでに地元の名護市長も反対派に替わったじゃないか。私はその現実を冷静に見ているのであって、追従しているんじゃない。私を見直せ。知事として丁重に扱え。そこからあなたも総理も出直せ」

 この会話は、ふたりが眼で伝え合った会話であって、実際にこのように口に出したのではない。しかし苦労人の菅さんは、この翁長さんの真意がよく分かった。

 だからこそ、「粛々という言葉は上から目線だと知事が仰ったので、もう使いません」という異例の「公式発表」をしたのだった。


 十一の章 沖縄から世界へ 日本の出番


  人のために生きる哲学

 わたしたちの古来の生きる哲学とは、人のために生きる哲学である。皇帝を筆頭に私利私欲で生きてきた中国に、この哲学は無い。ないからこそ、いかなる時に日本次といえども私利私欲が頭をもたげ、おのれ自身を支配するかを良く知っている。

 不当に軽視され、きちんと遇されていないと不満を持つ時がそれだ。中国は自民党沖縄県連の歴史を知悉し、幹事長まで務めた翁長さんが国政進出も知事立候補も認められていなかったことを徹底的に利用した。

 普天間問題に絡んで、翁長知事はしきりに「沖縄差別」を発言する。さらに国連の人権理事会という場違いな場に県民の費用で出張し、沖縄県民を知事みずから「先住民」と扱って「差別を受けている」と世界にアピールする恥さらしをやってのけた。

 この恥辱を本土と沖縄のマスメディアは「人権を守れと訴えた」と一斉に報じ、若き沖縄県民の我那覇真子さんが同じ場で「わたしたちは先住民ではない。日本国民として高度な人権が護られている」という趣旨を明快に訴えたことは、ほぼ無視した。

 翁長知事のこの言動は多くのひとにとって理解しがたい。あえて申したい。わたしには切実に、翁長さんの胸の奥深くが伝わってくる。

 翁長雄志さんは、実は沖縄県民のことを言っているのではない。ご自分のことを仰っている。「俺は中央から無視された」としきりに訴えているのである。

 そして、「沖縄をみごと独立させたら、初代の琉球王にしていやる」と言わんばかりの中国のささやきに陶然とする。

 まさかと思う人は、政治的人間ではない人である。


 わたしは共同通信政治部の記者の時代に、国会議員という名の政治的人間に接し、もっとも大きな政治的エネルギーのひとつが「俺は正当に評価されていない」というルサンチマン(怨念)だと知った。

 翁長さんは、その典型である


  哲学とは人間である

 翁長さんに知事選で破れた仲井眞さんは、選挙のあと、長く完全な沈黙を守ってきた。それは潔い。沖縄県民の審判を甘受して、敗軍の将、兵を語らずという古武士のごとき姿勢を貫いてきた。


 「そろそろ語られるべきではありませんか」。わたしは、ほとんどそれしか言っていない。


 仲井眞さんはリラックスされ淡々とした語り口で、辺野古移設に必要な海の埋め立てに当時の知事として許可を出したいきさつについて、「法的に瑕疵がないだけではなく、沖縄県から徹底的に中央政府に言うべきを言い、求めるべきを求めた結果としての埋め立て許可でした」という趣旨を語られ、翁長知事の許可取り消しを、初めて真正面から論破された。


 今のところ翁長さんは無視の構えだ。できればフェアに論争してほしい。たとえば沖縄タイムズは、不肖わたしの沖縄での講演内容を一面で詳報したこともある。公平であろうとする秘めた努力を感じる。その「沖タイ」が前知事VS現知事の対論を企画してほしいと思うのは、わたしだけだろうか。 』(太字は筆者)


>>翁長沖縄県知事辺野古移設許可取り消しを含めた(特に中国の関与を彷彿とさせる)各種言動についてウォッチして行きたい


----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
『まぐまぐ!』へのご登録はこちら
http://www.mag2.com/m/0001677393.html
発行者HP http://tsuru1.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------
[PR]
by tsuruichi1024 | 2017-01-27 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)