【エー・ディー・ワークス(3250)による「ライツ・イシュー」】

 2017/7/13付日経新聞に「ADワークス、最大85億円調達 新株予約権で増資」の記事が掲載されていた。概要は以下の通り。
(会社プレスリリース:
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/32500/5bb5a47b/3aba/4e4f/9903/843d4c9bfd26/140120170629420352.pdf

【概要】
 タイプ:ノンコミットメント型の株主割当新株予約権(以下「WT」)
 割当対象者:2017/7/12時点の株主(権利付最終日:2017/7/7)
 割当WT個数:223,136,600個(WT1個当たり普通株式1株)
 割当価格:無償
 WT行使価格:39円(2017/7/12終値43円)
 最大行使総額:約87億円
 WT行使可能期間:2017/7/13(WT上場日)~9/12
 WT売買可能期間:2017/7/13~9/5
 感謝配当:1.65円(基準日9/30)


【投資家のオプション】
 1.WT行使(~9/12):会社宛てに39円(/WT1個)払込⇒普通株式1株(/WT1個)受領(+普通株式売却)
 2.WT売却(~9/5):市場で売却


【7/13の株価とWT価格】
 1.株価:41円~43円(終値42円)、出来高6,551,400株
 2.WT株価:2円~3円(終値2円)、出来高21,494,900個


【会社の希望(想定)】
 WTの市場売却に終わることなく、できるだけ多くのWT行使(⇒会社の資金調達)を望んでいると思われる


【田中社長の行動(想定)】(出所:7/13提出の大量保有報告)
 所有株式数:4,845万株
 担保差入等:2,585万株
 売却可能数:2,260万株

1.普通株式2,260万株を39円以上で売却⇒8.8億円以上(売却益に伴う譲渡益課税は考慮せず)
2.WT2,260万個行使(8.8億円:田中社長から会社へ移る)⇒田中社長の持株比率は変わらず


<感想>
 今後、田中社長の変更報告書(大量保有)で、普通株式売却+WT行使の内容をフォローしてみたい。

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by tsuruichi1024 | 2017-07-14 08:00 | 上場会社 | Comments(0)


「ファストリ柳井会長、変革急ぐ 敵は非衣料 アマゾンも」

 以下は、2017/7/5付日経新聞朝刊の表題記事からの一部抜粋。

『「グローバル化とデジタル化が進んだ時代。どこからどんな相手が出てくるかわからない」。柳井氏は周囲にまだ見ぬ敵をも警戒するよう説く。アジア工場で大量製造し先進国で売る製造小売業を構築したファストリも「古い産業になっていく」。目指すのは「情報製造小売業」への脱皮だ。』


<感想>
 この記事で思い出すのは、30年以上前のゼミで学んだレビット博士。
(出所:
http://marketing-campus.jp/lecture/noyan/066.html

『その例として一時は米国を代表する大企業を輩出しながら急速に衰退していった鉄道を挙げ、鉄道会社は自らを人や貨物の輸送業者だと定義せず、鉄道業者と定義してしまい、それが理由で旅客や貨物などの市場が急拡大する中で、それらをトラック、バス、飛行機など鉄道以外の輸送機器を使う後発の企業に奪われて衰退していった』

 私のいる銀行も金融業者と定義してしまっては、将来危ういことに陥ってしまうに違いない。

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by tsuruichi1024 | 2017-07-13 08:00 | 上場会社 | Comments(0)


テンプスタッフ創業者(篠原欣子名誉会長)の株式売出し


 2017/2/17、テンプホールディングス(「会社」)は、創業者の篠原欣子名誉会長(「会長」)が最大2800万株(2435万株+OAに伴う追加売却時の365万株)を売出すと発表。17日の終値(2030円)での試算では約568億円。

 会社は同時に、ToSTNeT-3による187万5000株、30億円を上限とする自己株式取得(21日 or 22日)も発表。会長が当該取得に保有株式を売却した場合、その分は売出し株式数を減少させる。



<スケジュール>
2/13   第3四半期決算発表
 17   自己株式取得・売出し 発表
21-22 自己株式取得
27-3/1   売出し価格決定


 会社や売出し人が、未公表の重要事実を保有していると、金商法のインサイダー取引規制上、自己株式取得や株式の売却等はできない

 今回のスケジュールは、四半期決算発表(当期利益を減額修正)後のインサイダー・フリーのタイミングでの実施を目指したものと思われる。

 (重要事実の)自己株式取得については、創業者の(ネガティブに受け取られる可能性のある)売出し情報を(20-21日の)マーケットに織り込んだ上での取得日程(21-22日)が組まれている。


自己株式取得(ToSTNeT-3)での売却と売出しの比較

1.ToSTNeT-3
 前日終値で8時45分に会社が自己株式を取得する手法。申込株数が取得予定株数を上回った場合は按分比例となるため、(他の株主を含めた)申込が取得予定株数を超過した場合は、当初予定数量の売却は出来なくなる(デメリット)。

 また、前日終値での実施となるため、価格のディスカウントはなく、引受手数料を差し引かれることもない(メリット)。

2.売出し
 引受証券会社が、投資家の需要を積み上げて、ディスカウント率(通常3~5%)を決定(通常3%)して、条件決定(本件:2/27~3/1、通常初日に決定)するもの。証券会社の引受手数料(通常4%)も加味すると通常、投資家は7%の負担が必要(デメリット)。

 なお、会社から見れば、希薄化を伴うことなく、流動性や(個人)株主数の増加が見込まれる(メリット)。



<まとめ>

 株式を売却する人にとっては、売出しよりもToSTNeT-3の方がメリットがありそうだ。



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by tsuruichi1024 | 2017-02-20 08:00 | 上場会社 | Comments(0)


日本版フェア・ディスクロージャー・(「FD」)ルール
 

 2016/12/2 開催の金融審議会 市場ワーキング・グループ「FDルール・タスクフォース」(第3回)において、タスクフォース報告(案)が、公表された。


FDルール・タスクフォース報告(案)


 一昨年来、未公表の情報等を受領したアナリストが当該情報を提供して買付けの勧誘を行なったことを事由として、金融庁は以下行政処分(業務改善命令)を実施したため、日本においてもFDルールの導入へ向けた検討を行うことが提言(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20160418-1.html)された。

クレディ・スイス証券(2016/4/25)http://www.fsa.go.jp/news/27/syouken/20160425-1.html

ドイツ証券(2015/12/12)


 欧米で導入済みのFDルールが日本に導入されるもので、17年の通常国会で金商法の改正案提出、18年4月までに日本版FDルールが施行される見通し。

 投資判断に影響するような重要な(インサイダー取引規制で列挙されている重要事実より幅広い)情報をフェア(公正・公平)に開示する趣旨のFDルールの導入により、上場会社側の負担が増えるように思われる。(なお、従来のEDINET及びTDnetに加えて、発行者のホームページによる公表も認められる予定。)


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by tsuruichi1024 | 2017-02-13 08:00 | 上場会社 | Comments(0)


ライザップの戦略


『 戦略的に考えられるということは、「目的⇒戦略⇒戦術」の順番で、大きいところから考えられるようになるということです。決して具体的で発想しやすい戦術から考えないということです。目的戦略が定まらない限り、戦術に費やす時間は無駄になる可能性をはらんでいるのです。 』(太字は筆者)
(出所:「成功を引き寄せるマーケティング入門 USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」(森岡毅著、角川書店)


<ライザップ(RIZAPグループ(2928))の目的・戦略・戦術>

 目的 : 「自己投資産業グローバルNo.1ブランド」となって、人々の健康に貢献する

 戦略ライザップの支援により成長が見込まれる(=上場を維持しつつ(担保見合いとなり得る)レバレッジ(借入の調達等)可能となるような)更なるM&Aを実施してグループ力を強化する

 戦術 : 時価よりもディスカウントした価格での(1)TOB(公開買付)、(2)第三者割当、により、上場会社等のM&Aを継続する


<上場会社の子会社化を通した戦術>

 2013/ 8 イデアインターナショナル(3140): 第三者割当増資(▲10%)6億円

 2013/12 ゲオディノス(現、SDエンターテイメント)(4650): ディスカウントTOB(▲49%)8億円

 2015/ 2 夢展望(3185): 第三者割当増資(▲68%)7億円

 2016/ 4 パスポート(7577): ディスカウントTOB(▲57%)11億円

 2016/ 4 マルコ(9980): ディスカウントTOB(▲70%)28億円

 2017/ 1 ジーンズメイト(7448): ディスカウントTOB(▲23%)+第三者割当増資(▲10%)24億円


 ライザップ傘下に入るプレスリリース後、いずれも株価は上昇/急騰(ジーンズメイトは翌日ストップ高:209円⇒289円に)しており、ライザップの目論見通りに市場が反応していることが分かる。


<有利子負債と株主資本>

       有利子負債 / 株主資本
 2006/3期   ゼロ  /  2億円
 2013/3期   49億円 / 25億円
 2014/3期  119億円 / 51億円
 2015/3期  182億円 / 61億円
 2016/3期  238億円 / 102億円
 2016/9期  388億円 / 135億円

 ⇒ 直近の(M&A等に充当するための)レバレッジ金額は半端ない


<結論>

 ライザップは、ただのパーソナルトレーニングジムにあらず


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by tsuruichi1024 | 2017-01-20 08:00 | 上場会社 | Comments(0)



東芝のプレスリリース


 以下は、ここ数ヶ月の東芝のプレスリリースの抜粋。


2016/8/12 「Chicago Bridge & Iron社からのWECに対する訴訟について

 ウエスチングハウス(WEC)が買収したCB&Iストーン&ウェブスター社(S&W)の買収に係る買収完了後の価格調整手続きに関して、S&Iの売却元であるCB&I社からWECに対して提訴が提起されている。
 
 想定運転資本額(1,174百万米ドル)と実際の運転資本額との差異に応じて買収価格を調整する手続きが規定されている。
現時点では、約87百万米ドル相当ののれんの計上を想定している。


2016/11/8 「業績予想の修正に関するお知らせ

 2016年度通期(単位:億円)
 売上高54,000(+3,000) 営業利益1,800(+600) 当期純利益1,450(+450)


2016/12/5 「CB&I社のWECに対する差止請求の棄却について

 2016/8/12付の提訴が棄却


2016/12/27 8:55 「CB&Iの米国子会社買収に伴う業績影響に関する一部報道について

 現在、S&W社の買収に伴う1000億円単位ののれんの計上や減損テストの実施等につい検討をおこなっており、その結果、減損損失を計上する可能性があります。これに関し、本日開催の取締役会において取得価格配分手続き状況について報告、審議を行う予定であり、取締役会終了後に、開示すべき内容については速やかにお知らせいたします。


2016/12/27 16:00 「CB&Iの米国子会社買収に伴うのれん及び損失計上の可能性について

 取得価格配分期限である12月末間近のこの段階で、のれんが数十億米ドル規模(数千億円規模)にのぼり、当該のれんの一部又は全額減損を実施することで、当社業績への影響を及ぼす可能性が判明したことから、影響額は未確定ではありますが、決算発表の期日を待たずに本日お知らせします。


<まとめ>

 11/8時点業績を上方修正しており、この時点では8/12時点で見積もられていたのれん87百万米ドル修正していない

 この1ヶ月半で、何故、のれん87百万米ドルが数十億米ドルに増えたのか?

 買収自体は2016/1/5完了(その段階でのれん87百万米ドルの計上を予定)しており、11/8の時点で既に11ヶ月が経過している。

 取得価格配分手続で、承継した資産と負債の公正価値を評価する中で、コストの大幅な増加により資産価値が当初の想定を大幅に下回った結果だと言う。

 ウエスティングハウス側の資産負債の評価体制評価後の報告体制に欠陥があったものと思われる。

 東芝連結ベースの体制自体に問題があるとすれば、早期の抜本的な構造改革が必要である。

 
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by tsuruichi1024 | 2017-01-02 08:00 | 上場会社 | Comments(0)