【 青森銀行の新株式発行・売出しの中止 】


 2017/10/11、青森銀行(8342)が10/3に公表した「新株式発行・売出し」の中止を発表した。


1.青森銀行のプレスリリース

(1)2017/10/3(15:30):「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」
http://www.a-bank.jp/contents/cms/article/20171003002/attachment.pdf

(2)2017/10/11(15:45):「新株式発行及び株式売出しの中止に関するお知らせ」
http://www.a-bank.jp/contents/cms/article/20171011001/attachment.pdf

 [新株式発行及び株式売出し中止の理由](一部抜粋)

 本件新株式発行及び株式売出しの決議後、新株式発行等に係る風説が公表前から存在していた可能性があるなど、公正な株価形成に疑義が生じました。当行においても調査を行いましたが、その可能性を明確に払拭できない状況等を受け、主幹事証券会社である野村證券株式会社との協議の結果、投資家保護の観点から、本件新株式発行及び株式売出しの中止を決定いたしました。


2.株価推移(調整後終値。9/27に株式併合:10株⇒1株)

(1)2017/9/19以降の終値推移

  9/19〜22:@4,370、@4,270、@4,240、@4,210
  9/25〜29:@4,230、@4,210、@4,020、@4,025、@3,930
 10/ 2〜 6:@3,850、@3,840、@3,840、@3,495、@3,410
 10/10〜12:@3,435、@3,360、@3,740

(2)9/19から10/3までの株価下落率

 ▲12.1%((3,840-4,370)÷4,370)

 (その間の日経平均:+1.6%)


3.インサイダー取引規制

 以下は、「いまさら人には聞けないインサイダー規制のQ&A」*からの一部抜粋。
 *
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/securities/12062001securities.pdf

Q4:「会社関係者」から情報を伝えられた者も規制対象となるのか?
A4:「会社関係者」や「元会社関係者」から直接、「重要事実」を伝えられた者(いわゆる「第一次情報受領者」)も、インサイダー取引規制の対象となる。

(1)情報受領者について
○わが国のインサイダー取引規制においては、「会社関係者」や「元会社関係者」だけではなく、これらの者から直接、「重要事実」を伝達された者(いわゆる「第一次情報受領者」)も、規制の対象とされている(金融商品取引法166 条3項)。

○加えて、職務上、「重要事実」の伝達を受けた者が所属する法人における他の役職員などについても、「その者の職務に関し」、その「重要事実」を知った場合は、同様にインサイダー取引規制の対象とされる(金融商品取引法166 条3項後段)。


Q6:「重要事実」とは何か?
A6:投資者の投資判断に影響を及ぼす可能性のある上場会社等の業務等に関する事実である。会社の意思決定に関わる事実(新株発行など)、会社に発生した事実(災害に起因する損害など)、会社の決算に関わる事実(業績予想など)、その他の事実が、広範に定められている。

(1)「重要事実」とは
○「重要事実」とは、投資者の投資判断に影響を及ぼす可能性のある上場会社等の業務等に関する事実として、金融商品取引法及びその関連法令に規定されているもののことである。具体的には、次の8種類に分類されている(金融商品取引法166 条2項)。

1)上場会社等の決定事実(新株発行・自己株式処分、資本金の額の減少、自己株式の取得、合併など)
(以下、略)


4.過去のインサイダー取引事例

 以下は、「増資インサイダー問題、運用4社に課徴金へ 監視委勧告」記事**からの一部抜粋。
 **
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXNZO63420480Q3A131C1NN1000/


『 増資インサイダー問題は、野村証券の営業マンが10年、国際石油開発帝石の公募増資に関する情報を公表前に外部に提供したことがきっかけ。

 金融庁は昨年夏に野村証券に業務改善命令を出し、再発防止を図るため、重要情報を提供した側にも課徴金を課せるように金融商品取引法を改正し、来春施行する予定。 』




<感想>

 本件は、10/3の「新株発行(=公募増資)」の公表前に、「公募増資」の風説が存在(⇒「公募増資=希薄化」に伴う株価下落前に誰かが現物株/空売りを実施)していた可能性を明確に払拭できないとして、「公募増資」が中止された事案。

 「公募増資」の公表(ローンチ)前には、引受主幹事証券会社が、このような可能性の存在の有無を(引受)審査するが、審査の段階では問題なしと判断されていたもの。

 決定事実としての「重要事実」(新株発行)が公表される前のインサイダー取引規制に抵触した可能性がある中では、公募増資の中止は自明であろう。何がきっかけで(主幹事野村證券の審査でも問題なかった)風説を感知することになったのか、こちらはとても興味がある。

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by tsuruichi1024 | 2017-10-13 08:00 | 公募増資 | Comments(0)



公募増資と株価(時価総額)


 最近2つの公募増資案件を目にした。

 公募増資は、(インサイダー情報が存在しないタイミングで)取締役会決議で可能なため、会社側に「いつ実施するのが最適か」を選択する権利がある(既存株主は(希薄化に伴う株価下落を被る)受身の存在)。

 公募増資で調達した資金を、投資家の期待利回りを超える投資等に回すことが出来たならば、(少なくとも理論上は)「将来の株価>(公募増資発表前の)現在の株価」となり、調達金額を超える時価総額の増加となるのであろう(が、その結果が出るまでには時間がかかる)。


【みちのく銀行の事例】
プレスリリース:1月6日15:30
公募増資株式数:30,440千株(発行済株式数の20.2%)
1月6日終値:227円/時価総額34,254百万円
1月10日終値:200円(▲11.9%)/同36,268百万円

【ケンコーマヨネーズ】
プレスリリース:1月10日16:00
公募増資株式数:2,000千株(発行済株式数の14.1%)
1月10日終値:3,370円/時価総額47,891百万円
1月11日終値:3,190円(▲5.3%)/同45,333百万円

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by tsuruichi1024 | 2017-01-16 08:00 | 公募増資 | Comments(0)