【 マクロミルに見るベインの戦略 】


 2017/12/7、ベインキャピタルのアサツー ディ・ケイ(9747)へのTOBが成立した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171207432010.pdf

 今日は、先行事例として、マクロミル(3978)における、TOB(非上場化)⇒(出口戦略)IPO+株式相対譲渡に至る、大きな流れを確認してみたい。


< ベインによるTOB ⇒ IPO・相対譲渡 >

1.2014/2:TOB(非上場化)

(1)TOB総額
・約514億円(a)
(@786×65,367千株)

(2)2017/3のIPO前発行済株式数
・37,858,800株(b)

(3)ベインの取得簿価
・1,357円/株(c=a÷b)


2.出口戦略

(1)2017/3:IPO
・売出し
国内:15,722,200株
海外:9,295,000株
合計:25,017,200株(d)
総額:約467億円(e=d×引受価額@1,867.78円(f))

・売却益:約128億円(g=(f-c)×d)


(2)2017/12:株式相対譲渡
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171205431072.pdf

・譲渡株数:5,731,600株(h)
・手法:ToSTNeT-1
・相手先:大和証券(直ちに転売予定)
・売却益:約81億円(i=h×(@2,774.306(j)*- c))
・総額:約159億円(k=h×j)
*EDINET:マクロミルの大量保有変更報告書より

(3)売却後
・保有株数:5,975,900株(現発行済株式の15.4%)
・売却益総額:約209億円(g+i)
・売却総額:約626億円(e+k)> a+約112億円


<感想>
 TOBによる非公開化から、出口(約85%売却)のIPO・相対売却まで約3~4年。
 資金がファンドに流れる状況は今後も継続し、ファンドによるこの種の取組はまだまだ続くような気がする。

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by tsuruichi1024 | 2017-12-08 08:00 | 公募増資 | Comments(0)


【 資本金・資本準備金の仕訳 】


 2017/12/5、ダイフク(6383)の公募増資の発行条件が確定した。

1.発行価格等の決定に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171205430501.pdf

(1)払込金額の総額:13,929百万円
(2)増加する資本金の額:13,929百万円
(3)増加する資本準備金の額:ゼロ

⇒ よりフレキシブルに対応可能な「資本準備金」に半分計上するケースが大半だが、本件では全額「*資本金」に計上している

「*資本金」取り崩しには、(a)「株主総会の特別決議」と(b)「会社債権者保護手続き」が必要となるため、「資本準備金」の方が取り崩し易い点ではベター
(ご参考:
https://biz.moneyforward.com/establish/capital-stock-capital-reserve-capital-surplus/


2.資本金/資本準備金(2017/3期)

・資本金(Common stock):15,016百万円
・資本準備金(Capital surplus):15,915百万円

⇒ 海外比率が高い**ため、英文財務諸表上の「Common stock」(資本金)の額を増加(+13,929百万円。これまでの1.93倍)させたかったのではないか?
**四季報秋号:66%


3.会社法第445条

(資本金の額及び準備金の額)
 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。


<感想>
 会社の戦略の違いによって、調達資金の仕訳方法一つとっても会社毎に違ってくる。
 常に、全社的な視点で考える癖を付けて行く必要がありそうだ。

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by tsuruichi1024 | 2017-12-07 08:00 | 公募増資 | Comments(0)


【 ダイフクの公募増資・自己株式売出し 】

 2017/11/22、ダイフク(6383)は公募増資・自己株式売出しをプレスリリースした。


1.新株式発行及び自己株式の売出し並びに株式売出しに関するお知らせ
http://www.daifuku.com/~/media/daifukucom/ir/news/2017/pdf/20171122_1.pdf?la=ja-jp

・条件決定日:12/5~12/11(通常初日に決定)

(1)新株式発行
・募集株式:普通株式 248万株

(2)自己株式の売出し
・募集株式:普通株式 100万株

(3)株式売出し(オーバーアロットメント(OA)による売出し)
・募集株式:52万株(みずほ証券(主幹事)が株主から借り入れた株式を売出す)

(4)第三者割当増資による新株式発行
・募集株式:52万株

⇒(安定操作・)シンジケートカバー取引*(~12/22)で取得する株式数に応じて、みずほ証券は、発行会社宛グリーンシューオプションを行使して、最大52万株の第三者割当増資を受けることができ、割当られた株式で株主から借り入れた株式(OA分)を返済する(*がゼロの場合:52万株)
(ご参照:
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12327542233.html



2.資金使途
・国内外の設備投資等


3.株価推移
 2016/2/12 1,596円(2016年安値) (a)
 2017/1/18 2,338円(2017年安値) (b)
    11/21 6,290円
    11/22 6,410円(16:00にプレスリリース)
    11/24 6,300円(△1.72%)  (c)
        c÷a=3.9倍、c÷b=2.7倍


<感想>
 上記3の通り、2016年安値から3.9倍、2017年安値から2.7倍と、最近10年でも最高値圏(2017/11/13:6,520円)の株価水準にあるダイフクは、現状の株価水準でダイレクトに資本増強を図りたかったものと思われ、CBを選択せずに、公募増資+自己株式処分※を選択した。

 2017/9(第2四半期)末のROEは17.0%(260億円(2018/3期純利益予想)÷1,526億円(2017/9末純資産))と高く、純資産が今回※234億円(11/24終値6,300円×93%(引受手数料4%+ディスカウント率3%)×400万株)増加してもROEは14.8%(260億円÷1,760億円)と高位をキープできることも選択した理由の一つと思われる。

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by tsuruichi1024 | 2017-11-27 08:00 | 公募増資 | Comments(0)


【 公募増資に伴う第三者割当増資 】

 2017/11/10、コーセーアールイー(3246)が、第三者割当増資に関するプレスリリースを実施した。

 ここでは、プレスリリース(11/10⇒10/10⇒9/29)を遡って、公募増資の一連の流れを確認してみる。


1.第三者割当増資における発行株式数の確定に関するお知らせ(2017/11/10プレスリリース)
 
http://www.kose-re.jp/pdf/20171110-1.pdf

 (1)発行新株式数:26万株
 (2)払込金額総額:約318百万円(1,224.45円/株)
 (3)増加する資本金/資本剰余金:それぞれ約159百万円(上記(2)÷2)
 (4)払込期日:2017/11/15

 <概要>
 主幹事は、オーバーアロットメント(OA)*に伴う追加的な売出しをする際に大株主等から一時的に借りた株を、(1)第三者割当増資(株価推移>払込金額)、または、(2)シンジケートカバー(SC)取引(株価推移<払込金額)で返済する
 *
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/o/overallotment.html

 (1)第三者割当増資:払込金額(主幹事が発行会社に支払う金額):1,224.45円(a)
 (2)SC取引期間(2017/10/13~11/10)の株価:1,250円~1,350円(b)

 ⇒ (a)<(b)のため、主幹事は市場での買い付け(2)よりも、第三者割当増資(1)の方が安値で株式を入手可能


2.発行価格及び売出価格等の決定に関するお知らせ(2017/10/10プレスリリース)
 
http://www.kose-re.jp/pdf/20171010-1.pdf

 (1)公募による新株式発行 (一般募集)
 (a)発行(募集)価格:1,291円/株(10/10終値@1,331円の3.01%ディスカウント)
  = 投資家が証券会社に払い込む価格
  ⇒ 発行価格の総額:約2,246百万円

 (b)払込金額:1,224.45円/株(10/10終値の8%ディスカウント。引受手数料:5%)
  = 証券会社が発行会社に払い込む金額
  ⇒ 払込金額の総額:約2,130百万円
  ((2)-(1)の差額(約116百万円)が証券会社(引受人)の引受手数料

 (注)引受人は払込金額で買取引受けを行い、 発行(募集)価格で募集を行う


 (2)株式の売出し(OAによる売出し)
 (a)売出株式数:26万株
 (b)売出価格:1,291円/株
 (c)売出総額:約336百万円


 (3)第三者割当による新株式発行
 (a)払込金額:1,224.45円/株
 (b)払込金額の総額:上限約318百万円
  ⇒ 上限:SCの可能性あるため(本件:SCなし)


3.新株式発行及び株式の売出しに関するお知らせ(2017/9/29プレスリリース)
 
http://www.kose-re.jp/pdf/20170929-1.pdf

 (1)公募による新株式発行(一般募集)
 (a)募集株式の種類及び数:普通株式 174万株
 (b)払込金額:日本証券業協会の定める「有価証券の引受け等に関する規則*」第25条に規定される方式により、2017/10/10~10/13のいずれかの日に決定する
  ⇒ 通常は初日に決定される(本件:初日の10/10)

 *
http://www.jsda.or.jp/katsudou/kisoku/files/a038.pdf(P11:25
条「ブックビルディングによる



 (2)株式の売出し(OAによる売出し)
 (a)売出株式の種類及び数:普通株式 26万株

 なお、上記売出株式数は上限の株式数を示したもので、需要状況等により減少する場合、又は本売出しが全く行われない場合がある。売出株式数は需要状況等を勘案した上で、発行価格等決定日に決定する。


 (b)売出方法

 一般募集の需要状況等を勘案し、一般募集の主幹事会社であるSMBC日興証券株式会社が当社株主である諸藤敏一より借り入れる当社普通株式について追加的に売出しを行う。



<感想>
 SC取引は、主幹事証券にとって、需給関係の悪化を防止する観点から、株価が軟調に推移する際に、有用な制度である。
 本件では、株価が堅調に推移したため、SC取引は行われず、結果的に、第三者割当増資が行われた。

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by tsuruichi1024 | 2017-11-12 08:00 | 公募増資 | Comments(0)


【 青森銀行の新株式発行・売出しの中止 】


 2017/10/11、青森銀行(8342)が10/3に公表した「新株式発行・売出し」の中止を発表した。


1.青森銀行のプレスリリース

(1)2017/10/3(15:30):「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」
http://www.a-bank.jp/contents/cms/article/20171003002/attachment.pdf

(2)2017/10/11(15:45):「新株式発行及び株式売出しの中止に関するお知らせ」
http://www.a-bank.jp/contents/cms/article/20171011001/attachment.pdf

 [新株式発行及び株式売出し中止の理由](一部抜粋)

 本件新株式発行及び株式売出しの決議後、新株式発行等に係る風説が公表前から存在していた可能性があるなど、公正な株価形成に疑義が生じました。当行においても調査を行いましたが、その可能性を明確に払拭できない状況等を受け、主幹事証券会社である野村證券株式会社との協議の結果、投資家保護の観点から、本件新株式発行及び株式売出しの中止を決定いたしました。


2.株価推移(調整後終値。9/27に株式併合:10株⇒1株)

(1)2017/9/19以降の終値推移

  9/19〜22:@4,370、@4,270、@4,240、@4,210
  9/25〜29:@4,230、@4,210、@4,020、@4,025、@3,930
 10/ 2〜 6:@3,850、@3,840、@3,840、@3,495、@3,410
 10/10〜12:@3,435、@3,360、@3,740

(2)9/19から10/3までの株価下落率

 ▲12.1%((3,840-4,370)÷4,370)

 (その間の日経平均:+1.6%)


3.インサイダー取引規制

 以下は、「いまさら人には聞けないインサイダー規制のQ&A」*からの一部抜粋。
 *
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/securities/12062001securities.pdf

Q4:「会社関係者」から情報を伝えられた者も規制対象となるのか?
A4:「会社関係者」や「元会社関係者」から直接、「重要事実」を伝えられた者(いわゆる「第一次情報受領者」)も、インサイダー取引規制の対象となる。

(1)情報受領者について
○わが国のインサイダー取引規制においては、「会社関係者」や「元会社関係者」だけではなく、これらの者から直接、「重要事実」を伝達された者(いわゆる「第一次情報受領者」)も、規制の対象とされている(金融商品取引法166 条3項)。

○加えて、職務上、「重要事実」の伝達を受けた者が所属する法人における他の役職員などについても、「その者の職務に関し」、その「重要事実」を知った場合は、同様にインサイダー取引規制の対象とされる(金融商品取引法166 条3項後段)。


Q6:「重要事実」とは何か?
A6:投資者の投資判断に影響を及ぼす可能性のある上場会社等の業務等に関する事実である。会社の意思決定に関わる事実(新株発行など)、会社に発生した事実(災害に起因する損害など)、会社の決算に関わる事実(業績予想など)、その他の事実が、広範に定められている。

(1)「重要事実」とは
○「重要事実」とは、投資者の投資判断に影響を及ぼす可能性のある上場会社等の業務等に関する事実として、金融商品取引法及びその関連法令に規定されているもののことである。具体的には、次の8種類に分類されている(金融商品取引法166 条2項)。

1)上場会社等の決定事実(新株発行・自己株式処分、資本金の額の減少、自己株式の取得、合併など)
(以下、略)


4.過去のインサイダー取引事例

 以下は、「増資インサイダー問題、運用4社に課徴金へ 監視委勧告」記事**からの一部抜粋。
 **
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXNZO63420480Q3A131C1NN1000/


『 増資インサイダー問題は、野村証券の営業マンが10年、国際石油開発帝石の公募増資に関する情報を公表前に外部に提供したことがきっかけ。

 金融庁は昨年夏に野村証券に業務改善命令を出し、再発防止を図るため、重要情報を提供した側にも課徴金を課せるように金融商品取引法を改正し、来春施行する予定。 』




<感想>

 本件は、10/3の「新株発行(=公募増資)」の公表前に、「公募増資」の風説が存在(⇒「公募増資=希薄化」に伴う株価下落前に誰かが現物株/空売りを実施)していた可能性を明確に払拭できないとして、「公募増資」が中止された事案。

 「公募増資」の公表(ローンチ)前には、引受主幹事証券会社が、このような可能性の存在の有無を(引受)審査するが、審査の段階では問題なしと判断されていたもの。

 決定事実としての「重要事実」(新株発行)が公表される前のインサイダー取引規制に抵触した可能性がある中では、公募増資の中止は自明であろう。何がきっかけで(主幹事野村證券の審査でも問題なかった)風説を感知することになったのか、こちらはとても興味がある。

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by tsuruichi1024 | 2017-10-13 08:00 | 公募増資 | Comments(0)



公募増資と株価(時価総額)


 最近2つの公募増資案件を目にした。

 公募増資は、(インサイダー情報が存在しないタイミングで)取締役会決議で可能なため、会社側に「いつ実施するのが最適か」を選択する権利がある(既存株主は(希薄化に伴う株価下落を被る)受身の存在)。

 公募増資で調達した資金を、投資家の期待利回りを超える投資等に回すことが出来たならば、(少なくとも理論上は)「将来の株価>(公募増資発表前の)現在の株価」となり、調達金額を超える時価総額の増加となるのであろう(が、その結果が出るまでには時間がかかる)。


【みちのく銀行の事例】
プレスリリース:1月6日15:30
公募増資株式数:30,440千株(発行済株式数の20.2%)
1月6日終値:227円/時価総額34,254百万円
1月10日終値:200円(▲11.9%)/同36,268百万円

【ケンコーマヨネーズ】
プレスリリース:1月10日16:00
公募増資株式数:2,000千株(発行済株式数の14.1%)
1月10日終値:3,370円/時価総額47,891百万円
1月11日終値:3,190円(▲5.3%)/同45,333百万円

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