【 相続預金を当然分割するとはしない最高裁判決 】

 以下は、2016/12/19と2017/4/6の掲題に関する以下HPからの一部抜粋。
http://www.motolaw.gr.jp/column/k-motohashi/ 2017年04月11日、2017年01月11日のコラム)


[ 2016/12/19最高裁判決 ]
 従前の判例では、相続預金は可分債権とされ、各相続人に当然分割するとされていましたので、各相続人は、法定相続分に応じた払戻しを請求することができるとされていました。
 金融機関実務においても、原則としては、相続人全員の合意による払い戻しが求められているものの、相続人全員の合意が難しい場合には、相続分に応じた払い戻しを認めることも多かったように思われます。
 しかしながら、本決定により、預金は可分債権ではないとされたため、今後は遺産分割なしには、払い戻しを行うことは難しいと考えられます。

 平成27年(許)第11号 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 平成28年12月19日 大法廷決定
 
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/354/086354_hanrei.pdf


[ 2017/4/6最高裁判決 ]
 信用金庫における定期預金、定期積み金についても、「共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。」との判決が示されました。
 上記平成28年12月19日の決定では、定期預金と定期積金については判断がなされていませんでしたが、この判決により、定期預金や定期積金についても、普通預金などと同様に、当然分割とはならないことが、新たな判決によって確認されました。

 平成28年(受)第579号 預金返還等請求事件 平成29年4月6日 第一小法廷判決
 
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/670/086670_hanrei.pdf


【 感想 】
 相続預金(普通預金、定期預金等)は相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない、とする最高裁判決が出されたため、金融機関でも今後は遺産分割(協議書)なしでの払い出しはしなくなるだろう。

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by tsuruichi1024 | 2017-06-05 08:00 | 最高裁判決 | Comments(0)


【 遺族補償年金の男女間の需給要件の違い 】

 2017/3/21、妻が一定の年齢に達していることは需給の要件とされていないが、夫は一定の年齢に達していることを需給の要件とすることは、合法であるとの最高裁判決が出た。以下は、判決文※からの大要の抜粋である。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/612/086612_hanrei.pdf


<根拠>
・男女間における生産年齢人口に占める労働力人口の割合の違い
・平均的な賃金額の格差及び一般的な雇用形態の違い等からうかがえる妻の置かれている社会的状況

に鑑み、妻について一定の年齢に達していることを需給の要件としないことは、合理的な理由を欠くものということはできない。

⇒ 憲法14条1項※※に違反するということはできない。

※※「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」


<感想>
 最高裁判決の内容も時代の変遷とともに、変化して行くことが想定される。(本件は夫が逆差別されているような内容)

 将来、男女間における、平均的な賃金額の格差や一般的な雇用形態の違いが解消されれば、妻においても(夫と同様、)一定の年齢に達していることが需給の要件となるよう、変更されるに違いない。


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by tsuruichi1024 | 2017-03-25 08:00 | 最高裁判決 | Comments(0)


【 令状のないGPS捜査 】

 
2017/3/15、最高裁判所は、令状のないGPS捜査は憲法35条に違反とする判断を示した。(判決文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/600/086600_hanrei.pdf


<憲法35条>

何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条※の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

 2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

※33条
 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。


<内容>

 1.憲法35条の保障対象には、「住居、書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのない権利が含まれるものと解するのが相当であり、

 2.個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所蔵品に密かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして、令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである、

 とされた。


 更に、3名の裁判官からは、「令状の発布が認められる余地があるとしても、そのためには、ごく限られた特別の事情の下での極めて慎重な判断が求められるといえよう。」との補足意見が付された。


<感想>

 最高裁の判決内容が、高裁と違って、至極まともなもので安心した。

 それにしても、何故、高裁は、令状もなく、警察は令状もなしで任意にGPS捜査ができると解釈したのだろうか。もし(一般の)個人のプライバシーより(組織的に違い)警察の捜査を優先する考えに基づいた下での解釈だとしたら恐ろしい。

 私たちの知らないところで、警察等から密かにプライバシーが侵害されないことを切に祈念する。


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by tsuruichi1024 | 2017-03-19 08:00 | 最高裁判決 | Comments(0)


グーグルに表示された犯罪履歴の削除申立て

 2017/1/31、最高裁は掲題削除申立てを棄却した。(全文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/482/086482_hanrei.pdf

<主文>
 本件抗告を棄却する


<比較衡量>
 以下1と2を比較衡量した結果、最高裁は「1<2」の判断を下した

1)プライベートに属する事実を公表されない法的利益
2)当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情


<逮捕理由の「児童買春」について>
 児童に対する性的搾取及び性的虐待との位置付け
 ⇒社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されている


<最高裁の判断内容>
 児童買春したとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は、今なお公共の利害に関する事項である

 本件事実を公表されない法的利益が優越されることが明らかであるとはいえない

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する


<感想>
 公表された場合の法的利益が優越するような犯罪を犯すと、一生、犯罪履歴が公開され続ける畏れがあることを認識して、斯種犯罪を犯してはならないことを改めて肝に銘じておく必要がありそうだ


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by tsuruichi1024 | 2017-02-17 08:00 | 最高裁判決 | Comments(0)