【 牧野フライス製作所:ユーロCBの130%コールオプション行使 】

 2017/12/8、牧野フライス製作所(6135)が、ユーロ円CBの130%コールオプションを行使した。


1.2018年満期ユーロ円CBに係るコールオプション条項の権利行使に関するお知らせ
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171208432655.pdf

(1)繰上償還する銘柄 牧野フライス製作所2018年満期ユーロ円CB
(2)繰上償還対象総額 残存CB全部97億円(額面)(2017/12/7現在)
(3)転換請求最終日 2018/1/12
(4)繰上償還期日  2018/1/17
(5)繰上償還金額  CB額面金額の100%


2.130%コール(繰上償還)オプションの概要
http://ke.kabupro.jp/tsp/20130228/140120130220089352.pdf

・株価が転換価額の130%以上(パリティ:130円以上)に上昇した場合に、発行会社がCBの所持人に対し、額面金額(@100)で繰上償還できる条項

[ 狙い ]
・株式への早期転換促進による資本増強を期待

[ CB投資家の行動 ]
・130円以上の価値があるのに100円で償還(上記1(4)の1月17日に)されたくはない

⇒通常、株式に転換(上記1(3)の1月12日までに)した上で株式を市場売却して差益を得る


3.エクイティ/デット目線からの望ましい着地(一般論)

(1)エクイティ:株式投資家目線
・CBが株式に転換されることなく、CB(デット)のまま償還して欲しい
⇒転換による株式希薄化は望まない(デットのレバレッジ享受を望む)

(2)デット:レンダー目線
・CBが株式に転換されて、CB償還が不要になって欲しい
⇒既存レンダー宛て返済可能性確率がその分上昇する(現預金が維持され、財務基盤(自己資本)も強化される)


4.発行会社の選択肢(オプション)

[ 2017/9末時点 ]
(2012/12末時点)
・現預金:537億円
(367億円)
・純資産比率:51.4%
(47.7%)
・純資産1,332億円
(899億円)÷総資産資産2,592億円(1,886億円)


(1)コールオプションを行使する
・当初CB発行金額120億円の内、現在97億円が未転換のまま

(a)早期の純資産比率向上(⇒財務基盤の強化)
(b)投資家が転換請求し忘れることを期待(⇒株式へ転換されることなくCBを@100で償還)

(2)コールオプションを行使しない
・約3ヶ月後の償還期日(2018/3/19)を待つ

(c)数ヶ月程度早期に純資産比率を向上する必要なし(上記(a)との比較)
(d)投資家が転換請求し忘れてCBのままでの償還(@100)を期待(上記(b)との比較)


<感想>
 純資産比率50%超/現預金527億円(総資産対比20%超)の当社にとって、これ以上の純資産比率向上のニーズはなく、現預金での償還が本当はベストなようにも思われる。
 メインのシナリオにはなり得ようもないが、上記4の(b)と(d)の比較において、「発生確率が(b)>(d)」という判断も多少はあったのではなかろうか。


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by tsuruichi1024 | 2017-12-11 08:00 | CB | Comments(0)


【 中国電力のユーロ円CB 】

 2017/11/21、中国電力(9504)が2本建のユーロ円CBをローンチした。



1.ユーロ円CBの発行(2年債・4年債)について
 [ ローンチ時 ]
 
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171120422025.pdf
 [ 条件件決定時 ]
 
http://www.energia.co.jp/press/2017/10838.html

 金額:500億円・500億円
 年限:2年・4年
 利率:どちらもゼロ・クーポン
 募集価格:102.50%・100.50%
 転換価格:どちらも1,429円(11/21終値@1,243円対比のアップ率15.0%。11/22終値は@1,215円、前日比▲2.25%)

 主な付帯条項

(1)130%ソフトコール条項:株式への転換促進を企図
・株価が転換価額の130%以上(パリティ:130円以上)に上昇した場合に、発行会社が額面金額(@100)で繰上償還できる条項(2年CB:2019/7/1~。4年CB:2020/7/1~)

⇒ 投資家は、繰上償還(@100)に先立ち、株式に転換することで利益(グロスで額面30円以上)を確定させることができる。


(2)転換価格修正条項
 a)下方修正条項:株式への転換を促す⇒自己資本の増強
・2年債・4年債:2018/12/3・2020/7/1の前日までの30連続取引日の終値の平均値(*1)が、転換価額を下回る場合には、*1に修正される(下限修正価額:1,144円(当初転換価額の80%))

 b)任意下方修正条項:将来の会社の状況に応じて下方修正可能⇒転換促進を図る
・2年債・4年債:2019/7/1・2020/11/1以降のうち当社が選択する日の前日までの、15 連続取引日の終値の平均値(*2)が、その時点の転換価額を下回る場合には,当社は、その選択により、*2に修正することができる(下限特別修正価額:1,001円(当初転換価額の70%))


(3)4年債の転換制限条項:制限期間内の株式への転換を抑制
・約2年半の転換制限条項を付与


[ 主な目的 ]

1.株式への転換促進を企図した付帯条項を付与
・株式への転換を目指す(ソフトコール・下方修正)

⇒ 自己資本の増強が期待される


2.任意下方修正条項を付与

・将来の事業環境の変化や財務体質の状況に応じて行使
⇒ 株式への転換促進を図る


3.株式への転換
・主に、将来の株価上昇など、株主価値が向上する局面で進捗するものと想定
⇒ (結果的に)転換に伴う1株あたり価値の希薄化抑制が図られる

・加えて、4年債は約2年半の転換制限条項を付与
⇒ 転換時期の平準化も図られる


4.既発CBの買入消却

 https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171120422012.pdf

 買入対象:2018年満期ユーロ円CB*(上限500億円)
 買入方法:Nomura Int’l plc(単独ストラクチャリング・コーディネーター)を単独ディーラー・マネージャーとするCB権者に対する買入オファー(@100)による
 転換価格:1,993円
 *
http://www.energia.co.jp/press/2015/694.html

⇒ 既発CB*投資家は、多少のコスト(募集価格-額面金額:2年債:2.5%、4年債:0.5%)を払って新発CBに乗り換えれば、転換価格を28.3%(1-1,429円÷1,993円)引き下げられる(期限も延長)


<感想>

 本件は、既発CBの買入消却の投資家宛てオファーを含めた「ストラクチャリング・コーディネーター」という役職を設けたユーロ円CB。投資家と太いパイプがないとアレンジは難しいように思われる。

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by tsuruichi1024 | 2017-11-23 08:00 | CB | Comments(0)


【 ユーロ円CBのプットオプション行使事例 】

 2017/11/10、リゾートトラスト(4681)が、ユーロ円CBのプットオプションが行使されたとのプレスリリースをした。
 
https://www.resorttrust.co.jp/ps/qn3x/guest/news/dldata.cgi?CCODE=2&NCODE=154


 <2021年満期ユーロ円CBの一部繰上償還のお知らせ>

1.繰上償還予定日: 2017/12/1
2.償還理由:CBの社債要項に定める社債権者のプットオプションの行使による
3.ご参考
 償還前残存額面総額:300億円
 今回の繰上償還の金額:3億円
 今回の繰上償還後の発行残高:297億円
4.その他
 本償還は、2014/11/13付当社リリース文*のCBの概要に記載された「7.社債に関する事項、(ロ)本社債の繰上償還、⑥本新株予約権付債権者の選択による繰上償還」に基づくもの

 *
https://www.resorttrust.co.jp/ps/qn3x/guest/news/dldata.cgi?CCODE=2&NCODE=66


 <ユーロ円CBの概要>

 発行金額:300億円
 期間:7年
 クーポン:0%
 転換価格:3,343円*(a)(ローンチ日2014/11/13終値2,572円の約30%アップ)
 転換制限条項:最後の半年間を除いて、各四半期の30連続取引日の終値が転換価格×120%(4,012円)を超えていない限り、転換することができない
 プットオプション :投資家は2017/12/1に発行会社宛て繰上償還(@100)を請求することができる

 *
https://www.resorttrust.co.jp/ps/qn3x/guest/news/dldata.cgi?CCODE=2&NCODE=67


< CB投資家の選択肢(除、デルタ・ヘッジ*)>
 *
http://www.jpx.co.jp/learning/basics/derivatives/options/nlsgeu000001y8xq-att/delta.pdf


1.プットオプションを行使する

 11/10終値:2,288円(b)
 パリティ*:68.4円(c)(b÷a×100) 
 *
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ha/parity.html


2.(セカンダリー)市場でCBを売却する

 市場価格はオーバーパーを付けているようだが、流動性は低い模様
(⇒ 3億円の売却は流動性的に売却不可能だった?)


3.償還まで社債として保有し続ける

 クーポンが0%なので、通常の金利がマイナスにならない限り、この選択肢は取り得ない


4.CBを株に転換して株を売却する

 「今後の転換可能性」次第

 <今後の転換可能性>

(1)今後3年半
・120%の転換制限条項(@4,012)が存在する⇒株価が11/10終値(b)の76%アップ(4,012÷b-1)以上となるか

(2)最後の半年間
・転換価格(@3,343)
 ⇒ 株価が同47%アップ(3,343÷b-1)以上となるか


<感想>
 今後、(1)(セカンダリー)市場での売却か、(2)株に転換して株を売却、できる可能性が低いと考えた本件のCB投資家は、上記選択肢の中でプットオプションの行使を選んだものと思われる。

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by tsuruichi1024 | 2017-11-13 08:00 | CB | Comments(0)


【 ユーロ円CB発行事例 】


 2017/10/31、HIS(9603)がユーロ円CBを発行した。


1.2024年満期ユーロ円CB発行に関するお知らせ
https://www.his.co.jp/material/pdf/n_co_20171031_1.pdf

(1)発行金額:150億円
(2)期間:7年
(3)クーポン:0%
(4)主幹事:SMBC Nikko Capital Markets Ltd.
(5)募集(発行)価格:103.0%(引受手数料2.5%は投資家負担。手取りは100.50%)
(6)転換価格:5,616円(10/31終値3,795円。アップ率47.98%)
(7)転換修正条項:下記2の(注)ご参照
(8)資金使途:電力販売事業、テーマパーク事業の設備投資、システム投資及び株主還元の充実及び資本効率の向上を目的とする自己株式取得のための資金50億円


2.CB発行の狙い

(1)ゼロ・クーポンかつ払込金額が社債額面以上で発行されるため、金利コスト及び資金調達コストの最小化を図った調達である

(2)時価を上回る転換価額を設定することで、発行後の1株当たり利益の希薄化を抑制する効果が期待される

(3)転換制限条項(注)を付与しており、普通株式への転換可能性を抑制し、既存株主に配慮した負債性の高い設計となっている

(4)自己株式の取得を行うことで、株主還元の充実に加え、株主資本利益率(ROE)や1株当たり当期純利益(EPS)など資本効率の向上を図り、企業価値・株主価値の向上が期待される

(注)株価が転換価額の一定水準を一定期間上回らない限り、投資家による転換ができないこととする条項。原則として2024/8/15まで(当初6年9ヶ月間)は、各四半期の最終20連続取引日において、当社普通株式の終値が当該四半期の最終取引日において適用のある転換価額の130%を超えた場合に限って、翌四半期において転換することができる

⇒ 転換制限が解除されるのは最後の3ヶ月のみ


3.ToSTNeT-3による自己株式取得結果

(1)取得株数: 846,000株(上限1,317,500株/50億円相当)
(2)取得総額:3,210,570千円(10/31終値@3,795)

⇒ (a)そもそもCBアービトラージの投資家が少なかったか、(b)借株が十分に手当てできなかったか、のどちらかか?


4.ローンチ後の市場価格等

(1)CBの市場価格
 ・105. 70-106. 20(>募集価格103.0)

(2)ローンチ翌日(11/1)の株価終値
 ・3,920円(前日比+125円、+3.29%)

(3)潜在株式数(CB転換に伴う)
 ・4,452千株(発行済株式68,523千株の6.5%)


5.転換制限条項に関するメリットやデメリット

(1)CB投資家のデメリット
 ・最後の3ヶ月間を除いて、株価が転換価格×130%(現状7,300円超。11/1終値の約1.86倍)にならないと株式への転換はできない ⇒ オプション価値は小さくなる

(2)発行会社のメリット(上記2(3))
 ・当面、株式への転換を抑制できる ⇒ ゼロ金利での調達蓋然性アップ


6.業績(利益)下方修正の発表日時

・10/27 15:00(売上+150億円、営業利益▲45億円、経常利益▲36億円)

⇒ CBのプレスリリース(10/31 16:30)まで丸2営業日あり、株価に充分織り込まれたとの判断があったものと思料(結果的には株価は上昇)


<感想>
 本件は、調達資金の一部が自己株式取得に使われる、いわゆるリキャップCB。(1)CB発行条件(オーバーパー発行、転換制限条項、アップ率)、(2)ローンチ後のCB価格、(3)翌日の株価、どれを取っても三方(発行会社、投資家、主幹事)良しのディールだったと言えよう。

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by tsuruichi1024 | 2017-11-02 08:10 | CB | Comments(0)


【 ユーロ円CB発行事例 】



 2017/10/30、三栄建築設計(3228)がユーロ円CBを発行した。



1.2022年満期ユーロ円CB発行に関するお知らせ
 
http://san-a.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/20171030_4.pdf


(1)発行金額:100億円
(2)期間:5年
(3)クーポン:0%
(4)主幹事:Nomura Int’l plc
(5)募集(発行)価格:102.5%(引受手数料2.5%は投資家負担)
(6)転換価格:3,000円(10/30終値2,676円。アップ率12.11%)
(7)下方修正条項:2019/1/22までの30連続取引日終値平均が転換価格を下回る場合はその価格に修正される(下限価格(フロア):80%(現状2,400円))
(8)資金使途:分譲戸建住宅に係る土地仕入資金・建築資金



2.CB発行の狙い


(1)ゼロ・クーポンで発行されるため、低コストでの資金調達が可能となる


(2)海外市場からの資金調達となるため、従来の国内市場からの調達に加え、資金調達源の多様化を図ることができる


(3)時価を上回る転換価額の設定により、発行後の一株当たり当期純利益の希薄化を抑制する効果が期待される


(4)下方修正条項を付与することにより、一定の条件下において株式への転換を促進し、自己資本増強を図ることができる



3.ローンチ後の市場価格等


(1)CBの市場価格
 ・102.95-103.95(>募集価格102.50)


(2)ローンチ翌日(10/31)の株価終値
 ・2,518円(前日比▲158円、▲5.9%)


(3)潜在株式数(CB転換に伴う)
 ・3,333千株(発行済株式21,218千株の15.7%)



4.下方修正条項に関するメリットやデメリット


(1)CB投資家のメリット
 ・株式への転換の可能性が大きくなる ⇒ オプション価値は大きくなる


(2)株主のデメリット
 ・下方修正に基づいてCBが株式に転換された場合 ⇒ 希薄化がより進む(=発行株数がより多くなる)


(3)発行会社のメリット(上記2(4))
 ・株式への転換を促進する ⇒ 自己資本増強を図ることができる



<感想>
 株価の上昇(4/14年初来安値1,462円、10/27年初来高値2,699円。約85%アップ)や投資家需要を考慮して、発行会社も納得した上で下方修正条項を付与したものと思われる。
 エクイティ・ファイナンス(含むCB)では、常に、発行会社と投資家の利益が相反する中でプライシング(条件決定)する必要がある。双方の理解を得られる落とし所を見出すことができるか、主幹事の力量が試される。


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by tsuruichi1024 | 2017-11-01 08:00 | CB | Comments(0)


【 国内CBの上場廃止基準 】

 2017/10/24、共立メンテナンス(9616)が、国内CBの上場廃止をプレスリリースした。

1.第3回無担保転換社債型新株予約権付社債(「CB」)の上場廃止に関するお知らせ
http://www.kyoritsugroup.co.jp/ir/press/pdf/2017/171024.pdf

(1)発行残高:2.82億円(平成 29 年 10 月 20 日現在。当初150億円)
(2)転換価格:1,934 円 60 銭
(3)上場廃止日:平成29年11月25日
(4)クーポン:0%
(5)償還期日/償還価格:平成30年12月28日/@100円

ご参考:
(a)平成25年12月発行時プレスリリース
 
http://www.kyoritsugroup.co.jp/ir/press/pdf/2013/131202.pdf

(b)東証のCB上場廃止に関するニュース等
 
http://www.jpx.co.jp/news/1021/20171024-01.html
 http://www.jpx.co.jp/equities/products/cb/listing/


2.CB保有者の選択肢(以下の3つ)

(1)CBのまま市場売却
 (a)市場価格:@179円(*10/25 12:47時点)
 (b)パリティ:約184円(10/25終値3,560円÷1,934.6円×100)
  *
http://quote.nomura.co.jp/nomura/cgi-bin/qsearch.exe?TEMPLATE=nomura_tp_cb_11&KEY1=96169.3&KEY2=T

(2)CBを株式に転換して株式を売却
 ・空売り(借株売却)しない場合は、CB転換請求(T日)から株式受領(**T+5営業日)までの価格変動リスクあり
  **ご参考:
http://www.jasdec.com/download/finance/CB20011015.pdf の(5)ページ

(3)償還時点まで継続保有
 ・クーポン0%で、来年末に@100円で償還されるため、この選択肢はない


<感想>
 倒産リスクが低い銘柄であれば、低金利下におけるCB(ゼロクーポンでも)は魅力的な投資対象であると言えよう。

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by tsuruichi1024 | 2017-10-26 08:00 | CB | Comments(0)


【 CBのプット・オプション 】


 2017/10/19、アルデプロ(8925)が以下内容のプレスリリースをしていた。


1.プレスリリース概要
http://www.ardepro.co.jp/files/ir/press/2017/1019.pdf

『 第 3 回無担保転換社債型新株予約権付社債(「CB」)の一部繰上償還に関するお知らせ

 発行金額:40億円
 繰上償還額:5億円
 発行日:2014/12/29
 償還日:2017/12/29
 繰上償還予定日:2017/11/20
 繰上償還金額:各社債の金額100円につき金100円
 クーポン:0%
 転換価額:174.1 円(発行決議日前日終値の▲1.1%)
 第三者割当先:EVO FUND(アジア株を中心に運用を行うファンド)
 プット・オプション :本社債権者(CB保有者)は、終値が転換価額を下回った場合、2016/12/30以降、20営業日~30営業日の事前の通知を行うことによ り、その保有する本社債の全部又は一部を額面 100 円につき金 100 円で繰上償還することを当社に対し請求することができる 』

⇒ 繰上償還後のCB残存額:6億円(昨年12月以降、継続的にプット・オプションが行使された)

(発行時プレスリリース:
http://www.ardepro.co.jp/files/ir/press/2014/1212_02.pdf


2.投資家(割当先)の3つの選択肢(:以降は個人的感想)

(1)償還時まで継続保有:×
・10/20終値:105円(パリティ:約60円。年初来高値:3月9日175円)
⇒ 転換による差益の可能性がない中、ゼロクーポンで継続保有する意味はない

(2)市場売却:×
・債券的価値分のディスカウントの差損を出してまで売る意味はない(非上場で流動性もない⇒相対の投資家がいない可能性も)

(3)プット・オプション行使:○
・これしか選択の余地なし


3.プット・オプション (野村證券のHPより)
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/o/opusyon.html

・プット・オプション:「ある決められた日」に(までに)「ある決められた価格」で、原資産を売却する『権利』

・アメリカンタイプ:オプションの存続期間中いつでも行使可能なタイプ


<感想>
 期間3年の第三者割当CB発行に当たって、2年後以降、投資家に付与されたプット・オプション (@100)を行使したもの。プット・オプションは投資家側にメリットがあるスキーム。CBの発行条件(クーポン、発行価格、各種オプション等)は、発行会社と投資家間の受給バランスで決定される。

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by tsuruichi1024 | 2017-10-21 08:00 | CB | Comments(0)

あれっ、ANAHDがCB発行?


【 ANAHDのCB 】


 2017/9/1の日経新聞朝刊に、以下内容の記事が掲載されていた。

『 ANAHD、CB発行1400億円調達 機体購入や自社株買いに

 ANAホールディングスは31日、ユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行し、1400億円を調達すると発表した。調達資金は今後購入する航空機の支払いのほか、700億円を上限とする自社株買いに充てる。同CBは株式交付に上限を設けているのが特徴。低コストで資金を調達しながら、希薄化を懸念する既存株主にも配慮した。』


[ 発行概要(交付株数上限付CB)]

(出所:
http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20170901_115351291_yb3z50550t1klp45l1kcyb55_0.pdf

 発行金額:総額1,400億円(700億円×2本)
 年限:5年/7年

 クーポン:0%
 転換価額:518円(8/31終値@407.8円対比のアップ率27.02%)/ 510円(同25.06%)

 CB転換に伴う交付株数の上限(注):67,568千株/ 68,627千株(700億円÷(転換価額×2))
 資金使途:航空機購入資金700億円+自己株式取得700億円

 9/1の自己株式取得結果: 取得株式数 32,726千株(8/31終値@407.8円)


[ 交付株数上限付CBとは ]

 上記(注)の通り、予めCB転換時の交付株数に上限を付した枠組で、本件では以下の算式とされている。
交付上限株数:(額面金額の総額)÷(最終日転換価額×200%)


<感想>
 本件は、昨年スズキが発行したCB※と同種の仕組み。※
http://www.suzuki.co.jp/ir/news/pdf/20160307news02.pdf

 CB転換時には、取得した自己株式を充当するため、希薄化することなく、ゼロクーポンで700億円調達したと言えるが、ローンチ日翌日のTostnet-3では(投資家(ヘッジファンド等)が充分な借株を手当て出来ずに)目標の19%程度しか取得できなかった。(http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20170901_013909584_qfnndc45ipoxs3551mmir545_0.pdf

 ゼロ金利下でのCB発行の意義を疑問視する見方はあるものの、翌営業日の株価も下落することなく、まぁ許容範囲のあり得る手法と考えらよう。

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by tsuruichi1024 | 2017-03-24 08:00 | CB | Comments(0)


ゼロクーポン・ユーロ円CB


  2017/3/14、2件の大型のゼロクーポンCB(転換社債型新株予約権付社債)がユーロ市場でローンチした。

<三菱ケミカルHD(4188)>
  金額 750億円/同左
  年限 5年/7年
  募集価格 103%/同左(引受手数料2.5%)
  転換価額のアップ率 42%/40%
  資金使途 借入(M&A等)返済、設備投資等 1,200億円、自己株式取得 300億円(⇒3/15にToSTNeT-3で取得済)
  2017/3/15終値 869.5円(前日比▲3.28%)

<九州電力(9508)>
  金額 750億円/同左
  年限 3年/5年
  募集価格 102%/同左(引受手数料2%)
  転換価額のアップ率 15%/18%
  資金使途 借入返済、設備投資 1,000億円、社債償還 500億円
  2017/3/15終値 1,147円(前日比▲8.01%)


<感想>
  両者のアップ率の違いは、株価のボラティリティの違いを反映したもの。

  なお、自己株式取得の有無が、ローンチ翌日の株価下落の差にも(多少は)影響したものと思われる。


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by tsuruichi1024 | 2017-03-17 08:00 | CB | Comments(0)