【 東芝無担保社債 】

 2017/6/7、日経新聞朝刊19面に、表題『東芝債、個人向け利回り急低下 特約発動 担保付きに プロ向けと安全性に格差』とする記事が掲載されていた。

 担保付社債に切り替わったのは何故か?

1.社債管理者設置債か不設置(財務代理人)か
 東芝が発行する社債には社債管理者が設置されているものと不設置のものと2種類ある

(1)会社法第702条
 各社債の金額が1億円以上かその他法務省令(会社法施行令第169条)で定める以外は社債管理者の設置が必要
令169条:ある種類の社債の総額を当該種類の各社債の金額の最低額で除した数が50を下回る場合とする(≒投資家が最大49人まで)

 ⇒(東芝の場合)各社債の金額が1億円未満の個人投資家向けにだけ「社債管理者」を設置している(それ以外(機関投資家向け)の各社債の金額は1億円)

(2)同704条第1項・2項
 社債管理者は、公平かつ誠実な社債の管理と善良な管理者の注意をもって社債の管理を行う義務を負っている

 ⇒社債管理者(第57回債:三井住友銀行、第60回債:みずほ銀行)がメインバンクを兼ねるケースも多く、「利益相反状態」に陥ることを前提に善管注意義務等を課して、社債権者の権利保全を図る建てつけになっている

(3)同710条第2項
 社債管理者は、社債デフォルト前後3ヶ月以内に担保の供与を受けた場合等、社債権者に連帯して損害賠償する責任を負う


2.担保(社債間同順位特約付)

(1)第57回債
 三井住友銀行の定期預金300.93億円(年利0.62%の半年分の利払含む)

(2)第60回債
 みずほ銀行の定期預金300.18億円(年利0.4%の1.5年分の利払含む)

 
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/stock/pdf/tepub20170428.pdf


3.担保付の前後

(1)社債利回りの低下
 担保設定により安全性が高まった結果、社債利回りが低下
 ⇒流動性が高くないため、利益を得た人は限定的か

(2)社債格付の引き上げ
 R&I:(Bー)格下げ方向→(BB)格下げ方向
 
https://www.r-i.co.jp/jpn/body/cfp/news_release_A/2017/05/news_release_2017-A-0418_01.pdf

<感想>
 社債要項を熟知して担保付に切り替わることを予測して、(低い流動性ながらも)利益を得た人がいたとしたら素晴らしい

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2017-06-08 08:00 | 東芝 | Comments(0)