<   2017年 01月 ( 30 )   > この月の画像一覧


民進党・蓮舫氏の代表質問に見る実質経済成長率


  以下は、蓮舫代表の2017/1/24の参院本会議で安倍総理の施政方針演説に対する代表質問(予定稿)からの一部抜粋(https://www.minshin.or.jp/article/110757/)。


『 【経済政策

 実質経済成長率で見ると、安倍内閣年平均1.3%我々の政権時年平均1.6%を下回っています。 』


国内総生産(支出側、実質:連鎖方式(旧基準)>
(出所:http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h26/h26_kaku_top.html

(単位:兆円)
2007/12 08/12 09/12 10/12 11/12 12/12 13/12 14/12 
 513.7  508.9  480.3  503.8  502.2  511.2 518.2  518.1



<結論>

 民進党は、前民主党時代の2009年9月から2012年12月まで、衆議院第一党として、日本の政権を担当

 2008年9月のリーマンショックの影響は大きく、2007/12に513.7兆円だったGDPは2009/12に480.3兆円まで落ち込んでおり、どん底を基準とする民主党時代の成長率が高いのは自明であり、蓮舫代表の発言には首を傾げざるを得ない。


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by tsuruichi1024 | 2017-01-31 08:00 | 民進党 | Comments(0)


トランプ大統領の貿易赤字に関する誤解


 以下は、2017/1/21付日本経済新聞朝刊大機小機からの一部抜粋。

『 米大統領の貿易観は間違いだ

 米国のトランプ新大統領は、中国、日本などとの貿易収支が不均衡(米国が赤字)であることを大きな問題と認識している。しかし、この考えには大きな誤りがある。

 そもそも一国の貿易収支の赤字を是正すべきだとする経済理論は存在しない。貿易収支の均衡を政策目標に掲げている先進国もない。「貿易収支が赤字だから、経済パフォーマンスが悪化する」という関係は全く見られないからだ。

 まして、米中・日米貿易収支のような2国間の不均衡を是正すべきだという経済理論などあるはずがない一国の輸出先国と輸入先国の構造は異なるのだから、2国間の収支が均衡しないのは当たり前である。


 例えば、日本は大量の石油を輸入しているが、これが途絶えたら経済は大混乱する。欲しいと思うから輸入しているのであり、いやいや輸入しているわけではない

 世界をリードする超大国の新しい指導者が誤った経済認識を持っていることは、世界にとって大きな懸念要因だ。これほど経済学的に間違った考えはないのだから、米国の経済学者は新大統領が認識を変えるように力を尽くしてほしい。(隅田川) 』(太字は筆者)


 一方、以下は、「財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済」(上念司著、講談社α新書)からの一部抜粋。

『 貿易赤字と黒字はまったく無意味

 「経常収支」=「貿易・サービス収支」+「所得収支」

 一方、「資本収支」とは、その国への資金の流出入を表す収支で、資金が流入するときは、黒字流出するときは赤字になります。よって外国から借金をすれば、海外から資金が流入することになるので、「資本収支」は黒字になります。逆に、日本から外国に投資する場合は、資金が海外に流出することになるので、「資本収支」は赤字になります。

 それからもう一つ大事なことがあります。「経常収支」が黒字なら、「資本収支」は赤字、反対に、「経常収支」が赤字なら「資本収支」は黒字、という関係が必ず成り立ちます(正確にいうと、「経常収支」に外貨準備高の増減を加えて、誤差や漏れを除くと一致するが、ここでは大雑把な理解で問題ありません)。

 また「対外資産」とは、外国に貸したり投資したりした金額から、自国が借りたい投資されたりした金額を差し引いたものです。外国に貸しているお金より借りているお金が多ければ赤字、その反対は黒字です。

 世の中には、国家と国家の間で経済をめぐって激しい戦争をしているという妄想があります。新聞記事などでは、貿易赤字は「転落」するものであり、貿易黒字は「獲得」「達成」するものだとかかれていますが、経済学的にはまったく無意味です。 』(太字は筆者)


<米国の経常収支と資本収支(2016年9月)>
(出所:https://www.bea.gov/iTable/iTable.cfm?ReqID=62&step=1#reqid=62&step=6&isuri=1&6210=1&6200=1

経常収支*      -112,958百万米ドル(赤字)
資本収支**      -207,945百万米ドル(黒字)
統計上の不一致*** -94,987百万米ドル


*  Current Account
** Net lending (+) or net borrowing (-) from financial-account transactions
*** Statistical discrepancy


<まとめ>

各国との貿易収支はその国の需給バランスにより決定され、国全体の貿易収支を含む経常収支の赤字資本収支の黒字で賄われる。

各国と公正な貿易が行われている限り、一国との貿易赤字の解消を図ることとその国の利益に繋がることとは無関係である。


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by tsuruichi1024 | 2017-01-30 08:00 | トランプ | Comments(0)


貿易統計速報(H28年分)

 2017/1/25、財務省より貿易統計(H28/12分及びH28年分速報、http://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htmhttp://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2016.pdf)が公表された。


2016年の国・地域別の貿易収支(内訳)>

     輸出額  輸入額   差引額
総額
   70.0兆円 66.0兆円 +4.1兆円
米国   14.1兆円  7.3兆円 +6.8兆円
自動車 4.4兆円  0.1兆円 +4.3兆円)
EU    8.0兆円  8.1兆円 ▲0.2兆円
アジア  37.1兆円 33.2兆円 +3.9兆円
中国   12.4兆円 17.0兆円 ▲4.7兆円)
中東    2.6兆円  6.5兆円 ▲3.9兆円
原油等   -   4.8兆円 ▲4.8兆円)


平成28年分貿易統計(速報)の概要

 平成28年分については、輸出は鉄鋼、自動車等が減少し、対前年比▲7.4%の減少となった。また、輸入は原粗油、液化天然ガス等が減少し、▲15.9%の減少となった。その結果、差引額は4兆741億円(6年ぶりの黒字)円となった。


トランプ新大統領就任演説>(出所:http://diamond.jp/articles/-/115158http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170121/k10010847631000.html

 貿易関連部分を一部抜粋してみた。

『 Every decision on trade, on taxes, on immigration, on foreign affairs, will be made to benefit American workers and American families.

 We must protect our borders from the ravages of other countries making our products, stealing our companies, and destroying our jobs. Protection will lead to great prosperity and strength.

 貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカの労働者とアメリカの家族を利するために下されます。

 ほかの国々が、われわれの製品を作り、われわれの企業を奪い取り、われわれの雇用を破壊するという略奪から、われわれの国境を守らなければなりません。保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながるのです。 』


>>対米の自動車の輸出等に関する、トランプ新大統領の今後の対応が注目されるが、そもそも、トランプ氏の考え方に誤りがないのか、明日以降、考えてみたい。


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by tsuruichi1024 | 2017-01-29 08:00 | 財務省 | Comments(0)


「ぼくらの哲学」(青山繁晴著、飛鳥新社)


 以下は掲題書の十三の章、十五の章からの一部抜粋。


『 十三の章 ぼくらの目的地はどこにある

 拠出金十億円の真相


 戦いが弱いからこそ外交上手の韓国は、アメリカの圧力が日本に対してもあるはずだと考え、NSC(国家安全保障会議)の谷内正太郎局長と李丙ぎ(王編に其)・韓国大統領秘書室長のソウルでの秘密折衝で(1)日本は国費から20億円を慰安婦への償いとして出せ(2)口頭で良いから「日本軍が関与して朝鮮女性を傷つけた」と岸田外相が明言せよ(3)そのふたつだけで韓国政府はもはや慰安婦問題を取りあげないと日本と国際社会に確約する――との「最終提案」を出した。

 日本政府内のすべての情報を総合すると、安倍総理の反応は「もう蒸し返さないというのは大きい」、「軍の関与と言うだけなら、韓国の言ってきた『日本軍は朝鮮女性を強制連行して性奴隷にした』という話とは違う」、「あくまで対等な外交交渉として妥結したという形にするために、外交の基本として話を半分にしよう。だから拠出金は半分の10億円だ」ということだった。「対等な外交交渉」とは、加害者と被害者という立場ではなく、という趣旨だろう。

 わたしは、このすべてに反対した。わたしごときの反対はどうでも良いが、政府内部で何人もの重要人物が反対した。わたしは「嘘を本当にしてしまえば、日本の子供たち、次世代だけではなく、韓国の子供たちにも致命的に有害だ」と総理サイドに強く申し入れた。

 それでも安倍さんは、迷った挙げ句、2015年12月27日の夜に踏み切った。外交が得意分野だからだ。イエスマンの岸田外相に最終的に妥結を指示したのである。視線の先にあったのは韓国よりもアメリカだった。「対等な日米」という本願に近づく一歩と見たのだ。



 十五の章 響き合う世界

 諸国の軍人らに伝えたのは「日本はいよいよ敗戦を乗り越え、新しい生き方を世界に示し、ほんものの平和国家に生まれ変わる」という哲学の提起である。

 安倍内閣は、国連の場(女性差別撤廃委員会)で初めて、韓国政府と日本のマスメディアが声高に主張し続けた「日本軍が朝鮮女性を強制連行、慰安婦とした」という話が、まったくの虚偽であることを説明した。安倍晋三総理が決断して西暦2015年末に成立した「日韓合意」で、「(日本)軍の関与の下で女性を傷つけた」と岸田文雄外相が公式に述べ、実質的に日本政府自ら嘘をついてことの埋め合わせだった。

 ところが実は国連での初説明は、口頭だけであり、文書に記録しない。それを水面下で国連や韓国、さらに中国とも摺り合わせたうえでの言いっ放しであった。

 そのために「慰安婦の多くは日本女性であり、日韓とも家庭の貧しさから親や親族に売られた女性が慰安婦となった」という客観事実は葬られたままになった。

 だから、そのあとに国連のこの委員会が出した日本政府への「勧告」なるものに「皇位継承を男性に限っているのは女性差別であるから皇室典範を改正しろ」という前代未聞の暴力的な内政干渉が、中国の対国連工作でやすやすと盛り込まれたのだ。

 さすがに安倍内閣の抗議でそこは削られ、「国連は戦争をなくす美しい組織ではない。日本を永遠に敗戦国にとどめようとする自称戦勝国が賄賂も使ってやりたい放題に工作する場だ」という冷厳な事実、わたしが長年、国連本部の近くのカフェで国連職員から聞いてきた真実を日本国民がすこしばかり知る機会になった。 』(太字は筆者)


>>韓国国際公約を違えるような動き、レームダックの朴槿恵大統領サムソンの凋落、日韓通貨スワップ協定の中止等を起因とする、韓国発の通貨危機が起こって日本がとばっちりを受けないことを祈念している


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by tsuruichi1024 | 2017-01-28 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


「ぼくらの哲学」(青山繁晴著、飛鳥新社)


 以下は掲題書の四の章、十一の章からの一部抜粋。


『 四の章 祖国の沖縄 その一

  異例の「公式発表」


 会談の表舞台を伝えた報道は、ほとんど意味がない。裏舞台というより、両者の本音をあえて忖度、すなわち他人の気持ちを推し測ることを交えて表現してみると、こうだ。

菅さん「あなたは自民党の沖縄県連幹事長まで務めて、その自民党時代にずっと長く、辺野古移設を進めてきたではないか。ほんとうは知事になりたいがために、沖縄の地元紙をはじめ声の大きなところに追従して反対に回ったのじゃないだろうか。そこが許せないから、官房長官の私も安倍総理もあなたに会わないできた。そろそろ互いに、何かの妥協点や歩み寄りを見出さないと、長年の沖縄政策が壊れてしまう

翁長さん「そうやって私を見くだすことをまずやめないと、話にならない。いつまでこの私を、自民党の一地方県連の幹事長とみているんだ。私は知事選で圧勝して、今は沖縄県知事だ。そもそも辺野古への移設は無理筋なんだよ。すでに地元の名護市長も反対派に替わったじゃないか。私はその現実を冷静に見ているのであって、追従しているんじゃない。私を見直せ。知事として丁重に扱え。そこからあなたも総理も出直せ」

 この会話は、ふたりが眼で伝え合った会話であって、実際にこのように口に出したのではない。しかし苦労人の菅さんは、この翁長さんの真意がよく分かった。

 だからこそ、「粛々という言葉は上から目線だと知事が仰ったので、もう使いません」という異例の「公式発表」をしたのだった。


 十一の章 沖縄から世界へ 日本の出番


  人のために生きる哲学

 わたしたちの古来の生きる哲学とは、人のために生きる哲学である。皇帝を筆頭に私利私欲で生きてきた中国に、この哲学は無い。ないからこそ、いかなる時に日本次といえども私利私欲が頭をもたげ、おのれ自身を支配するかを良く知っている。

 不当に軽視され、きちんと遇されていないと不満を持つ時がそれだ。中国は自民党沖縄県連の歴史を知悉し、幹事長まで務めた翁長さんが国政進出も知事立候補も認められていなかったことを徹底的に利用した。

 普天間問題に絡んで、翁長知事はしきりに「沖縄差別」を発言する。さらに国連の人権理事会という場違いな場に県民の費用で出張し、沖縄県民を知事みずから「先住民」と扱って「差別を受けている」と世界にアピールする恥さらしをやってのけた。

 この恥辱を本土と沖縄のマスメディアは「人権を守れと訴えた」と一斉に報じ、若き沖縄県民の我那覇真子さんが同じ場で「わたしたちは先住民ではない。日本国民として高度な人権が護られている」という趣旨を明快に訴えたことは、ほぼ無視した。

 翁長知事のこの言動は多くのひとにとって理解しがたい。あえて申したい。わたしには切実に、翁長さんの胸の奥深くが伝わってくる。

 翁長雄志さんは、実は沖縄県民のことを言っているのではない。ご自分のことを仰っている。「俺は中央から無視された」としきりに訴えているのである。

 そして、「沖縄をみごと独立させたら、初代の琉球王にしていやる」と言わんばかりの中国のささやきに陶然とする。

 まさかと思う人は、政治的人間ではない人である。


 わたしは共同通信政治部の記者の時代に、国会議員という名の政治的人間に接し、もっとも大きな政治的エネルギーのひとつが「俺は正当に評価されていない」というルサンチマン(怨念)だと知った。

 翁長さんは、その典型である


  哲学とは人間である

 翁長さんに知事選で破れた仲井眞さんは、選挙のあと、長く完全な沈黙を守ってきた。それは潔い。沖縄県民の審判を甘受して、敗軍の将、兵を語らずという古武士のごとき姿勢を貫いてきた。


 「そろそろ語られるべきではありませんか」。わたしは、ほとんどそれしか言っていない。


 仲井眞さんはリラックスされ淡々とした語り口で、辺野古移設に必要な海の埋め立てに当時の知事として許可を出したいきさつについて、「法的に瑕疵がないだけではなく、沖縄県から徹底的に中央政府に言うべきを言い、求めるべきを求めた結果としての埋め立て許可でした」という趣旨を語られ、翁長知事の許可取り消しを、初めて真正面から論破された。


 今のところ翁長さんは無視の構えだ。できればフェアに論争してほしい。たとえば沖縄タイムズは、不肖わたしの沖縄での講演内容を一面で詳報したこともある。公平であろうとする秘めた努力を感じる。その「沖タイ」が前知事VS現知事の対論を企画してほしいと思うのは、わたしだけだろうか。 』(太字は筆者)


>>翁長沖縄県知事辺野古移設許可取り消しを含めた(特に中国の関与を彷彿とさせる)各種言動についてウォッチして行きたい


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by tsuruichi1024 | 2017-01-27 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


「ぼくらの哲学」(青山繁晴著、飛鳥新社)


 以下は掲題書の三の章、六の章、十の章からの一部抜粋。


『 三の章 天皇陛下の語られる勅語をめぐって

 憲法四条の「天皇は、この憲法に定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する機能を有しない」という「天皇は政治に関与せず」の定めを今上陛下がいかに大切にされてきたかは、万人の知るところだ。


 日本の自称リベラルとはいったい何者なのか。その安穏とした奇妙な存在を許してきたのが、もう一度言う、わたし自身をも含めた敗戦後の日本社会なのだ。

 天皇陛下も人間でいらっしゃるから、その静けくも毅然とされたお姿は、わたしたち日本の民が築いてきた文化である。もはや右も左もなく、その原点を共に考えたい。


 六の章 祖国の沖縄 その三

  不幸な歴史を超克する契機に

 両陛下は、皇太子殿下と妃殿下の時代に「ひめゆりの塔」へ行啓された。そして、ひめゆり学徒隊は、沖縄県立第一高等女学校(一高叙と沖縄師範学校女子部というもっともエリートだった女学生の部隊だったから、記憶され、映画にもなり、そして観光地になっている。悲劇には変わないし、お土産を熱心に売る声が響く観光地になっていることが、ひめゆりの少女にとっていいことか分からない上に、他の二高女、三高女、そして私立の女学校、農学校の女子の学徒隊は合わせて八っつもあったにもかかわらず、ほとんど忘れられている。敷地の広い白梅の塔に、行幸啓をいただいて、そこにひめゆりを含めた九つの隊全部の生き残りのかたがたに集まっていただければ、敗戦後の不幸な歴史を超克していく契機になるのではないか。


 十の章 祖国の沖縄 その七

  両陛下が深々と頭を下げられた


 沖縄県庁の幹部が仲井眞知事をも裏切る妨害工作を密かに行い、話が漏れた。

 その県庁幹部もわたしは許し、説得し、宮内庁などにも繰り返し働きかけ直し、実現した「代替策」が、両陛下が沖縄に行幸啓されるとき本来は予定になかった休憩をしていただき、白梅学徒隊の生き残りのかたがたとお会いくださることだった。


 きくさんたちによると、両陛下の臨時のご休憩所となった部屋は狭く、両陛下と、わずか三人だけ許された白梅同窓生でいっぱいになった。


 宮内庁の侍従から、きくさんたちは、退去を促された。

 このままでは帰りたくない、十代のなかばで命を散らした同級生のために何かが足りないという気持ちを抑えて、退室しようとしたそのとき、皇后陛下が一歩、きくさんたちに近づかれた。

白梅の塔は、どちらの方角ですか

 首をわずかに傾げられ、そうお尋ねになった。

 あまりに自然なお声に、きくさんは緊張することもなく慌てることもなく、こちらですと、正確な方角をお示しした。

 すると両陛下は、まるで事前に入念なお打ち合わせを二人でなさっていたかのように、揃ってその方角に向かれ、深々と、永遠の時のように長く、頭を下げられた

 きくさんたち白梅同窓会のみなさんは「学徒隊がみな報われた」と感じ、心残りなく退出することができたという。


  人間の大切な本物の知性

 わたしは、この日のあと、少し時間を置いてから宮内庁の当局者にこの出来事を話し、「予定されたことでしたか」と聞いた。

 当局者は静かな眼をして「いいえ」と答え、「両陛下がすべてを呑み込まれて、おふたりで話し合われて、お決めになっていたのではないでしょうか」と言った。

 わたしは今、こう考えている。

 現実に妨害は行われた。しかし「白梅の塔への両陛下の行幸啓が実現して、それで良しとすべきではない」という天の意思ではないだろうか。

 天はすべてを知っている。


 沖縄戦の真実を求める試みをこれから続けよ。終わりにするな。白梅の少女のために、ひめゆりを含めてすべての学徒隊の少女のために、そして生き残ったすべての沖縄県民と、そこから生まれた現在の県民と、沖縄を護るために全国津々浦々から集結したすべての英霊のために、真実を共に問い続けよ。

 その意思を示すために、天が行幸啓の実現を先に延ばしたとも、わたしはごく自然に思慮している。

 忘れられた学徒隊は他にもまだ七つある。少女たちが報われるためには、広範なかたがたの関わりも必要だ。


 わたし自身も含めて、日本のただ一度の敗戦後に生まれたわたしたちはひとり残らず、きくさんたちとすべての英霊の献身によってこそ、現在の生を享受している。

 白梅の塔の存在を長年、ささやかに訴え続けて、マスメディアにもいくらか知られるようになった。すると白梅の塔の生き残りのかたがたを安保法正反対の象徴として利用しようとする動きも出てきた。「天の声」を僭称し続ける朝日新聞にも、その動きがある。

 永遠の少女たちを、日本国民をさらに分断するために利用させてはならない。

 わたしたち自身がどれほど深く、正確に、まっすぐに沖縄戦を理解するか。それにかかっている。 』(太字は筆者)


 >>我々が現在の生を享受できているのは、ひめゆり学徒隊を始めとする九つの女学校の方々やすべての英霊の献身によってこそであることを忘れてはなるまい


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by tsuruichi1024 | 2017-01-26 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)


同一労働同一賃金(その3)


 内閣府から、2016/12/16に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf)が、また、同12/20に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf)が公表された。


<ガイドラインに見る安倍政権の目的・戦略・戦術>

 目的 : 新たな第一の矢希望を生み出す強い経済」という強い大きな目標を掲げ、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」を実現し戦後最大の名目GDP600兆円を達成する

 戦略高齢者雇用の促進非正規雇用労働者の賃金改善を通じて賃金総額・可処分所得・消費支出の増大を図る

 戦術正規・非正規の不合理な格差を是正すべく、賃金決定能力と待遇の関連性を明確化したガイドラインを策定する


ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)(P6参照)」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/pdf/plan3.pdf#page=16


<企業法務ナビのレポート>
https://www.corporate-legal.jp/法務ニュース/訴訟・行政/9622)も踏まえて、「同一労働同一賃金ガイドライン」から一部を抜粋して、特に定年後の継続雇用について考えてみる。


『 2.有期雇用労働者及びパートタイム労働者

(注)無期雇用フルタイム労働者と定年後の継続雇用の有期雇用労働者の間の賃金格差については、実際に両者の間に職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の違いがある場合は、その違いに応じた賃金差は許容される。なお、定年後の継続雇用について、退職一時金及び企業年金・公的年金の支給、定年後の継続雇用における給与の減額に対応した公的給付がなされていることを勘案することが許容されるか否かについては、今後の法改正の検討過程を含め、検討を行う。 』(太字は筆者)


 定年後の継続雇用における年金等の支給を勘案する(=無期雇用フルタイム労働者と賃金格差を設ける)ことが許容されるか等については、今後の法改正に伴って検討すべき項目として、先送りされた。

 これら賃金等の処遇は、本来、労使交渉によって決定すべきものであろうが、相当の時間がかかるものと思われるため、政府主導により、企業の立証責任説明責任を含めた「同一労働同一賃金ガイドライン」を早期に確立する必要があるように思われる。


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by tsuruichi1024 | 2017-01-25 08:00 | 内閣府 | Comments(0)


同一労働同一賃金(その2)


 内閣府から、2016/12/16に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf)が、また、同12/20に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf)が公表された。


 政府が目指す「同一労働同一賃金」が実現しないのは、なぜか。

 八代尚宏先生のレポート(http://diamond.jp/articles/-/85778/http://diamond.jp/articles/-/112527?display=b)を踏まえて、考えてみる。


1.定年退職制の弊害

(1) 日本

 特定の企業内の限られた構成員の年齢と結びついた曖昧な能力を尊重

 ⇒ 年功賃金の傾きが大きな従業員1000人以上の大企業の93%60歳定年制を堅持(就労条件総合調査2014年)=年齢という客観的な基準で後進に道を譲ることは、公平な仕組みと見なされている

 (一方、中小企業では、仕事能力に見合った賃金であれば、企業の方から熟練労働者である高年齢者に辞めてもらうインセンティブは小さいため、定年制は65歳か、それ自体存在しない場合も少なくない)


(2) 欧米

仕事能力を規準として同一労働・同一賃金の原則下の米国欧州主要国では定年退職制は原則禁止

 ⇒ 個人の仕事能力にかかわらず年齢のみを根拠とする解雇は、人種や性別と同様に「年齢による差別」となるから


2.雇用の流動化が進んでいないこと

 過去の高成長期に成功した、大量の新卒採用者を企業内で時間をかけて訓練する雇用慣行を維持するのではなく、正社員と非正社員に共通した職務給を普及させて、雇用の流動化を図ることが必要


3.正社員の年功賃金カーブの存在

 企業への貢献度を上回る年功賃金が大きな負担になるため、定年制による一律解雇せざるを得ない

 ⇒ 過去の高い成長期大企業を中心に普及した年功賃金は、今日の低成長期には社員間の生産性に見合わない賃金格差の主因となる



<高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 : 第8~9条>(出所:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S46/S46HO068.html

『 (定年を定める場合の年齢)
第8条  事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。(以下、略)

(高年齢者雇用確保措置)
第9条  定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。

一  当該定年の引上げ

二  継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入

三  当該定年の定めの廃止 』(太字は筆者)


 そもそも、米国や欧州主要国では原則禁止されている「定年退職制」について、第8条で60歳定年制を所与とする考え方事態に問題があろう。また、正社員と非正社員間における同じ職種での賃金差の根拠を明確に示さない場合の罰則を謳うことも必要であるように思われる。

 日本でも個人の仕事の概念を明確化にして、職務給を普及させて、あいまいな人事評価を本格的に改めて、(1)定年退職制を原則禁止とし、(2)雇用の流動化を促進し、(3)正社員の年功賃金カーブを見直す、時期に来ているのではないか。


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by tsuruichi1024 | 2017-01-24 08:00 | 内閣府 | Comments(0)


同一労働同一賃金


 内閣府から、2016/12/16に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf)が、また、同12/20に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf)が公表された。


 以下の「企業法務ナビ」のレポート(https://www.corporate-legal.jp/法務ニュース/9477)を踏まえて、「同一労働同一賃金」について考えてみる。


同一労働同一賃金に関する裁判例

 労働契約法20条では、有期労働契約を締結している労働者について、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を課すことを禁止していますが、これまで同条違反を認めた判決はありませんでした。

 もっとも平成28年5月13日東京地裁判決においては、同条違反である事例として注目を集めました。

 この事件では、定年後嘱託従業員として再雇用されたトラック運転手が、定年前と同じ業務であるにも関わらず、賃金に格差が生じたことは違法であると主張しました。

 これに対し、「当該職務の内容及び配置の変更の範囲が無期契約労働者と同一であるにもかかわらず、労働者にとって重要な労働条件である賃金の額について、有期契約労働者無期契約労働者との間に相違を設ける」ことは、「その相違の程度にかかわらず、これを正当と解すべき特段の事情がない限り、不合理であるとの評価を免れないものというべきである。」とし、本事案においては「仕事の内容は正社員と同一と認められ、賃金に差があるのは労働契約法に反する」として、会社に対し正社員と同じ賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。 』(太字は筆者)


<平成28年5月13日東京地裁判決>(出所:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/349/086349_hanrei.pdf

『 本件において、嘱託社員と正社員との間に職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に全く違いがないにもかかわらず、賃金の額に関する労働条件に相違を儲けることを正当と解すべき特段の事情は認められない。
 
 以上によれば、本件相違は、労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理なものであり、労働契約法20条に違反するというべきである。 』(太字は筆者)


<労働契約法20条>(出所:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO128.html
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない
(太字は筆者)


>>本判決に見られるように、今後益々高齢化が進展する中、定年退職後の継続雇用時の賃金のあり方について、高度経済成長期から続く年功賃金を含めた抜本的な考え方の見直しが必要なように思われる。


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by tsuruichi1024 | 2017-01-23 08:00 | 内閣府 | Comments(0)


「小説 君の名は。」(新海誠著、角川e文庫)


『 あとがき

 この小説を書こうとは、本当は思っていなかった。

 こんなことを言ってしまうと読者の方々に失礼かもしれないと思うけれど、『君の名は。』は、アニメーション映画という形がいちばん相応しいと思っていたからだ。


 小説と映画で物語上の大きな違いはないけれど、語り口にはすこし差がある。小説版は瀧と三葉の一人称、つまり二人の視点のみで描かれている。彼らが知らないことは語られないのだ。一方、映画はそもそもが三人称――つまりカメラが映し出す世界である。だから、瀧と三葉以外の人々も含めて文字通り俯瞰で語られるシーンも多くある。どちらも単体で十分に楽しんでいただけると思うのだけれど、このようにメディアの特性として必然的に相互補完的になっている。

 小説は一人で書いたものだけれど、映画はたくさんの人の手によって組み立てられる構造物である。『君の名は。』の脚本は、東宝(映画会社です)の『君の名は。』チームと数ヶ月にわたり打ち合わせを重ねて形にしていったものだ。プロデューサーの川村元気さんの意見はいつもキレッキレで、僕は時折チャラいなあと密かに思いつつも(重要なことも軽そうに言う人なのです)、常に川村さんに導いてもらっていたと思う。


 それから、映画の音楽を担当してくれたRADWIMPSの楽曲たち。小説ではもちろんBGMは流れないけれど、RADWIMPSの歌詞の世界に、この小説も大きな影響を受けている。映画『君の名は。』においては音楽が担う役割は特に大きいのだけれど、それが映画・小説それぞれでどう演出されているか、確かめていただければ嬉しい(そのためには映画も観ていただく必要がありますね。ぜひ観てください!)。

 最初にこの物語は「アニメーション映画という形がいちばん相応しいと思っていた」と書いたけれど、それは映画版が、先に挙げたような多くの方々の才能による華やかな結晶だからだ。個人の能力をはるかに超えた場所に、映画はあると思う。

 それでも、僕は最後には小説版を書いた。
 
 書きたいと、いつからか気持ちが変わった。

 その理由は、どこかに瀧や三葉のような少年少女がいるような気がしたからだ。この物語はもちろんファンタジーだけれど、でもどこかに、彼らと似たような経験、似たような想いを抱える人がいると思うのだ。大切な人や場所を失い、それでももがくのだと心に決めた人。未だ出逢えぬなにかに、いつか絶対に出逢うはずだと信じて手を伸ばし続けている人。そしてそういう想いは、映画の華やかさとは別の切実さで語られる必要があると感じているから、僕はこの本を書いたのだと思う。

 手にとってくださって、読んでくださって、本当にありがとうございました。

   2016年3月  新海誠 』


>>一人称の視点の小説と三人称の映画。
  一人で書く小説と大勢で作る映画。

  音楽は聞こえない小説と音楽の役割が大きい映画。
  切実さで語られる小説と華やかな映画。
  
  新海誠監督が書かざるを得なかった小説もとっても良かった。
  

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by tsuruichi1024 | 2017-01-22 08:00 | 君の名は | Comments(0)