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【 紙の手形・小切手サービス:2026年に廃止へ 】

 


 2024/3/18、日経電子版に、「紙の手形・小切手サービス、大手銀廃止へ 発行停止も議論」の記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB151YU0V10C24A3000000/

 

 以下は、2021年11月の一般社団法人日本貿易会 策定 「約束手形の廃止に向けた自主行動計画」からの一部抜粋。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/koudoukeikaku/trade.pdf


「*成長戦略実行計画(令和3年6月18日閣議決定) 第10章 足腰の強い中小企業の構築 3.大企業と中小企業との取引の適正化における

 

「(3)約束手形の利用の廃止 
本年夏を目途に、産業界及び金融界による自主行動計画の策定を求めることで、5年後の約束手形の利用の廃止に向けた取組を促進する。まずは、下請代金の支払に係る約束手形の支払サイトについて 60 日以内への短縮化を推進する。さらに、小切手の全面的な電子化を図る。」

 

との要請を受け、本自主行動計画を策定するもの
*https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/ap2021.pdf

 


1. 本計画の背景・目的

・約束手形の利用を全面的に廃止するには、個社の意向や努力だけでは状況を大きく変え難く、サプライチェーン全体での足並みを揃えた取組みや新たな決済手段への移行を推進する官民一体となった環境整備が不可欠

 

・成長戦略実行計画を受けて、電子的決済サービスの普及促進等金融機関の取組みも大きく進められようとしていることは約束手形の廃止に向けた環境整備の大きな一歩

 

・こうした取り組みに貢献すべく、本自主行動計画を策定

 


2. 本計画の期間

・2021年11月~2026年11月まで

 


3. 約束手形の利用廃止

・5年後の約束手形による支払の廃止に向けて以下の取組みを行う

(1) 可能な限り、現金払(振込)、あるいは電子記録債権等への移行を進めることとし、約束手形の利用を希望する取引先に対しては、他決済手段への移行を提案する

 

(2) また、現金振込や電子記録債権等への移行における課題が確認された場合には、必要に応じて、政府や金融業界に対する提言・要望を行う

 


ご参考)全銀協のパンフレット
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news341018.pdf

 


<感想>
コスト削減(印紙代)、事務負荷軽減(手形の振出・保管)及びリスク低減(紛失・盗難)の観点から、支払企業・受取企業双方にとって、紙の手形・小切手の全面的な電子化はメリットがある。

 

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# by tsuruichi1024 | 2024-03-19 08:00 | 金融 | Comments(0)

 

【 日銀が3月にマイナス金利を解除する理由 】

 


 2024/3/13、楽天証券の愛宕伸康氏が、「日銀が3月にマイナス金利を解除する理由とその後の政策運営」について、解説された。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/44552

 以下は、その概要。(その2)

 


< 追加利上げには慎重な姿勢 >

「深刻なあるいは大きな不連続性が発生するような政策運営は、現在みている経済の姿からすると、避けられるのではないかというふうにみております。」

 

 つまり、植田総裁の頭に中に追加利上げがあることは明らかですが、追加利上げを行っていくとしても、そのペースは緩慢なものになるということが、上の発言から読み取れます。内田副総裁も2月8日の講演で、同様の発言をしています(下記)。

 

「仮にマイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになると思います。」

 

 このように、日銀が追加利上げに対して慎重であることは間違いないわけですが、注意しなければならないのは、それを3月のマイナス金利解除時に強調し過ぎると、為替が円安に振れる可能性があるということです。

 かといって、追加利上げの可能性を匂わせると長期金利が不安定化する恐れもありますので、日銀はかなりデリケートなコミュニケーションを迫られることになりそうです。

 


< 重みを増す「多角的レビュー」~柔軟で機動的な政策運営への転換~ >

そもそも「物価安定の目標」の実現が「十分な確度をもって見通せる状況になった」と宣言してしまって大丈夫なのでしょうか。

 

植田総裁ならずとも、今の段階で2%実現が見通せると宣言することには、ためらいを感じるのではないでしょうか。

 

しかし、そもそもインフレーション・ターゲティング(物価目標)という金融政策手法は、インフレ率を特定の数値にピンポイントで誘導するような厳格なものではありません。金融政策運営の柔軟性や機動性を担保するため、目標値にある程度インプリシットな幅を持たせ、柔軟に捉えるのが普通のやり方です。

 

日銀でも、現在のようなガチガチな運営から、インフレーション・ターゲティング本来の柔軟な運営に移行する必要があります。そうした運営の下でなら、2%実現が見通せると宣言するハードルは高くないですし、金融政策の柔軟性・機動性も回復、市場の副作用も軽減することになります。


以前から指摘している通り、そうした柔軟な運営へ移行するための仕掛けが「多角的レビュー」ではないかとみています。多角的レビューとは、現在日銀が行っている、これまで長年にわたって行ってきた非伝統的金融政策に対する検証のことで、昨年12月に1回目のワークショップが開催され、今年5月に2回目のワークショップが開催される予定です。

 

そこで、消費者物価上昇率が2%に収束する蓋然(がいぜん)性や、物価安定の目標「2%」の政策運営における位置付けなどが議論され、その結果をもって、その後の金融政策運営を柔軟な本来のインフレーション・ターゲティングに移行することが、現時点で想定され得るベストシナリオだと考えています。

 


<感想>
マイナス金利解除後については、愛宕氏の言うように、物価安定の目標「2%」を「2%プラスマイナス1%」という柔軟なものに切り替えた上で、利上げの余地をより大きく残しておくことが望ましいものと思われる。

 

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# by tsuruichi1024 | 2024-03-18 08:00 | 日銀 | Comments(0)


【 日銀が3月にマイナス金利を解除する理由 】


 2024/3/13、楽天証券の愛宕伸康氏が、「日銀が3月にマイナス金利を解除する理由とその後の政策運営」について、解説された。

 以下は、その概要。(その1)


「日米金利正常化カレンダー」予想(2024年前半)

日銀・金融政策決定会合:3月(18-19日)マイナス金利解除(政策金利0~0.1%)、4月(25-26日)現状維持、6月(13-14日)利上げ(0~0.2%、当座預金への付利0.2%)

米国FOMC:3月(19-20日)、5月(4/30-5/1日)、6月(11-12日)、いずれも現状維持

 


< 3月にマイナス金利が解除されると予想する背景 >

 

1.日銀による春闘を強調した積極的な情報発信

 

内田眞一副総裁(奈良県金融経済懇談会、2024年2月8日)

・好循環を確認したうえで、2%を見通せるようになったというふうに判断する かどうか、・・・当然ですけれども、春季労使交渉の状況というのは、重要なファクターの一つになるというふうに思っています。

・賃金と物価というのが、きわめて重要なファクターであり、その中にあって 春闘というタイミングで賃金の部分が確認できるということはですね、これは重要なイベントであろうというふうに思っています。


高田創審議委員(滋賀県金融経済懇談会、2024年2月29日)

・私自身としては、現在の日本経済について、不確実性はあるものの、2%の「物価安定の目標」実現が漸く見通せる状況になってきたと捉えています。

・今日のきわめて強い金融緩和からのギアシフト、例えば、イールドカーブ・ コントロールの枠組みの解除、マイナス金利の解除、オーバーシュート型コミットメントの在り方など、出口への対応も含め機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要と考えています。


中川順子審議委員(島根県金融経済懇談会、2024年3月7日) 
・わが国経済は、高水準の企業収益に支えられ、賃金と物価の好循環が展望できると考えています。

 


2.春闘の賃上げ率が4%を超える可能性が高いこと→実際は5.28%!(3月15日)

3月15日の第1回回答集計結果(連合):初回集計5.28%(5%超は1991年以来33年振り)

 


3.為替:円安加速→インフレ助長

春闘が強い結果→3月MPMで動かない→ 再び円安が大きく進むリスク→インフレ助長→実質所得目減り→消費ますます抑圧(「これでも日銀は弱いと見ているのか」と市場に受け取られる)

 


4.その他
(1) 「展望レポート」は政策判断に優先しない
「展望レポート」が出るという理由でマイナス金利解除は4月という声あり→展望レポートが政策決定に優先することはない(展望レポートは重要なコミュニケーション・ツールの一つだが、金融政策の判断は展望レポートが出る出ないにかかわらず、MPMごとにその時の指標や情勢に基づいて下されるのが原則)

 

(2) 4月まで判断を持ち越すケース

春闘要因を打ち消す何か、例えば景気の急変とか自然災害といった突発的な事象が生じた場合と考えられる

 


< マイナス金利解除後の政策金利:0~0.1% >

異次元緩和が開始される直前まで設定していた、無担保コールレート(オーバーナイト物)「0~0.1%程度」に戻される

 

内田副総裁の2月8日の講演(下記)もそれをサポートする内容

 

「マイナス金利の導入前には、日本銀行の当座預金取引先の超過準備に0.1%の金利を付利し、取引先でない金融機関との裁定取引が行われる結果、短期金融市場では、無担保コールレートが0~0.1%の範囲で推移していました。
仮にこの状態に戻すとすれば、現在の無担保コールレートは-0.1~0%ですので、0.1%の利上げということになります。」

→ 政策金利を0~0.1%にするのであれば、超過準備に対する付利も0.1%に一本化するのが最も自然

 


<感想>
3月15日の第1回春闘賃上げ率の回答集計結果(連合)は5.28%(5%超は33年振り)で、マイナス金利解除の可能性が高まってきた。3月18-19日の金融政策決定会合の結果が待ち遠しい。

 

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# by tsuruichi1024 | 2024-03-17 08:00 | 日銀 | Comments(0)

 

【 同性婚を巡る札幌高裁判決 】



 2024/3/15、日経朝刊に『「同性婚訴訟」札幌高裁の判決要旨』が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79260610U4A310C2CT0000/

 

 以下は記事抜粋。

 


同性婚を巡る訴訟で、14日に言い渡された札幌高裁判決の要旨は次の通り。


【性的指向】
同性愛者は婚姻が許されていないため、社会生活上の不利益を受け、アイデンティティーの喪失感を抱いたり、社会的な信用、評価、名誉感情などを維持するのが困難になったりするなど、人格が損なわれる事態となっている。

 

性的指向は生来備わる人としてのアイデンティティーで、個人の尊重に関わる法の保護は同性愛者も同様に享受されるべきだ。同性愛のみならず、愛する対象が異性と同性の双方の場合、性を自認できない場合なども同じように考えられる。

 


【憲法14条1項】
憲法14条1項は法の下の平等を定め、差別的な取り扱いを禁止する趣旨だ。立法府の裁量権を考慮しても、取り扱いの区別に合理的な根拠が認められない場合は同項違反と判断すべきだ。

 

性的指向と婚姻の自由は重要な法的利益だが、同性婚は許されていない。それにより同性愛者は制度的な保障を享受できず、著しい不利益を受けている。性的指向の区別は合理的根拠を欠いており、憲法14条1項に違反する。

 


【憲法24条】
憲法24条1項は、人と人の自由な結び付きとしての婚姻をも定める趣旨だ。同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障していると理解できる。憲法制定当時は同性婚が想定されておらず、両性間の婚姻を定めているが、文言のみにとらわれる理由はなく、個人の尊重がより明確に認識されるようになったとの背景のもとで解釈するのが相当だ。

 

24条2項は、婚姻や家族に関する立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきだと定めている。憲法上の権利に至らない国民の人格的利益をも尊重し、婚姻が事実上不当に制約されないことにも十分に配慮した法制定を要請している。

 

同性婚を許さず、これに代わる措置を一切規定していないのは、憲法24条の規定に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っていると認めるのが相当で、24条に違反している。

 


【国民世論】
国民に対する調査でも同性婚を容認する割合はほぼ半数を超えている。否定的な意見を持つ国民もいるが感情的な理由にとどまっている。啓蒙活動によって解消していく可能性がある。同性婚を可能とする国・地域は30を超えている。同性婚について法制度を定めた場合、社会的な影響も含め、不利益・弊害が生じることはうかがえない。

 


【付言】
同性婚を許さない規定は、国会の議論や司法手続きで違憲だと明白になっていたとは言えず、制度設計についても議論が必要だ。だが違憲性を指摘する意見があり、国民の多くも同性婚を容認している。社会の変化を受け止めることが重要だ。

 

同性婚を定めることは国民に意見の統一を求めることを意味しない。個人の尊厳を尊重することであり、同性愛者は日々の社会生活で不利益を受け、喪失感に直面しており、対策を急いで講じる必要がある。喫緊の課題として、異性婚と同じ制度の適用を含め、早急に真摯な議論と対応が望まれる。

 


< 憲法 >
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 


<感想>
1)同性婚を容認する社会の変化、2)価値観や家族観などの多様化を受けて、司法判断も時代と共に変化する。国会での早期立法措置を期待したい。

 

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# by tsuruichi1024 | 2024-03-16 08:00 | 憲法 | Comments(0)

 

【 孤高の国母 貞明皇后 】


 先日来、『知られざる「昭和天皇の母」孤高の国母 貞明皇后』(川瀬弘至著、産経新聞出版)を読んでいる。

 

 以下は、一部抜粋。

 


 この間、悲壮な決意の昭和天皇が、どうしても会っておきたかった人がいる。
 13日、宮相の石渡荘太郎に言った。

 

「16日に大宮御所へ行きたい」

 

 事態は切迫しており、石渡は延期を願ったが、昭和天皇は重ねて言った。

 

「私の身はどうなるか判らない、だからこれが最後と思つて一度お目にかかつておきたい・・・・・・」

 

 そして8月15日正午、終戦を告げる玉音放送ーー。

 

 国民は慟哭した。
 秩父宮邸でラジオを聞いていた勢津子妃は、たまたま訪れていた喜久子妃と声を上げて泣いた。

 

 だが、大宮御所の貞明皇后は泣かなかった。
 そして言った。

 

「これで皇室は明治維新前に戻ります」

 

 貞明皇后には、これから始まる過酷な占領政策が見えていたのかもしれない。

 

 5日後、新たな試練に備えるため、軽井沢へ移転した。

 


ご参考)大日本帝国憲法 1989年2月
https://www.kodomo.go.jp/yareki/archive/archive_05.html#:~:text=

 

第四条では天皇は、「元首」であり、「統治権の総覧」者であること、第十条では、天皇には官僚を任じたり辞めさせたりできる権利が記されています。さらに天皇は陸海軍を率いる統帥権(とうすいけん)を持つこと(第十一条)や、戦争を始めたり、講和したりする権利を持つこと(第十三条)の定めもあり、陸海軍は内閣からも独立して天皇に直属していました。このように天皇が国家を治める権利の全てを握ることが記されていました(天皇大権)。

 


<感想>
天皇が国務上の大権を持たれたのは、大日本帝国憲法下の僅か60年弱の話であり、玉音放送直後に、貞明皇后が狼狽えることもなく言われた「皇室は明治維新前に戻ります」という言葉が皇紀2600年の皇室の歴史には極めて相応しいと思われた。

 

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# by tsuruichi1024 | 2024-03-15 08:00 | 皇室 | Comments(0)