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あれっ、同一労働なのに、同一賃金でない?(その1)


同一労働同一賃金


 内閣府から、2016/12/16に「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会 中間報告」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000146064.pdf)が、また、同12/20に「同一労働同一賃金ガイドライン案」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf)が公表された。


 以下の「企業法務ナビ」のレポート(https://www.corporate-legal.jp/法務ニュース/9477)を踏まえて、「同一労働同一賃金」について考えてみる。


同一労働同一賃金に関する裁判例

 労働契約法20条では、有期労働契約を締結している労働者について、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を課すことを禁止していますが、これまで同条違反を認めた判決はありませんでした。

 もっとも平成28年5月13日東京地裁判決においては、同条違反である事例として注目を集めました。

 この事件では、定年後嘱託従業員として再雇用されたトラック運転手が、定年前と同じ業務であるにも関わらず、賃金に格差が生じたことは違法であると主張しました。

 これに対し、「当該職務の内容及び配置の変更の範囲が無期契約労働者と同一であるにもかかわらず、労働者にとって重要な労働条件である賃金の額について、有期契約労働者無期契約労働者との間に相違を設ける」ことは、「その相違の程度にかかわらず、これを正当と解すべき特段の事情がない限り、不合理であるとの評価を免れないものというべきである。」とし、本事案においては「仕事の内容は正社員と同一と認められ、賃金に差があるのは労働契約法に反する」として、会社に対し正社員と同じ賃金の支払いを命じる判決を言い渡しました。 』(太字は筆者)


<平成28年5月13日東京地裁判決>(出所:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/349/086349_hanrei.pdf

『 本件において、嘱託社員と正社員との間に職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に全く違いがないにもかかわらず、賃金の額に関する労働条件に相違を儲けることを正当と解すべき特段の事情は認められない。
 
 以上によれば、本件相違は、労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理なものであり、労働契約法20条に違反するというべきである。 』(太字は筆者)


<労働契約法20条>(出所:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO128.html
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない
(太字は筆者)


>>本判決に見られるように、今後益々高齢化が進展する中、定年退職後の継続雇用時の賃金のあり方について、高度経済成長期から続く年功賃金を含めた抜本的な考え方の見直しが必要なように思われる。


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by tsuruichi1024 | 2017-01-23 08:00 | 内閣府 | Comments(0)