2017年 07月 19日
あれっ、投資の基本は期待値とIRR?
「生涯投資家」(村上世彰著、文藝春秋)
以下は掲題書(第2章「投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス」)からの一部抜粋。(その2)
『 2.私の投資術ーー基本は「期待値」、IRR、リスク査定
私の投資スタイルは、割安に評価されていて、リスク度合いに比して高い利益が見込まれるもの、すなわち投資の「期待値」が高いものに投資をすることだ。投資判断の基本はすべて「期待値」にある。いろいろな投資案件において、きわめて冷静に分析や研究をして、自分独自の「期待値」を割り出している。たとえば、100円を投資する場合の「期待値」の計算方法は、次のようになる。
・0円になる可能性が20%、200円になる可能性が80%であれば、期待値は1.6(0×20%+2×80%=1.6)
期待値1.0を超えないと、金銭的には投資する意味がない。この「期待値」を的確に判断できることが、投資家に重要な資質だと私は考えている。
私の場合はすべてが「期待値」による判断なので、0円になる確率が5割を超えていても、勝率が1勝4敗でも、トータルリターンが1.0を大きく超えるかどうかで判断する。0円になる可能性が70%であっても、700円になる可能性が30%あれば、期待値は2.1となるのだ。この期待値を的確に判断するには、投資対象の経営者の資質の見極め、世の中の状況の見極め、経験に基づく勘など、実に様々な要素が含まれる。まずは現場における「期待値」を導き出し、その「期待値」を少しでも上げるために、外部要因や将来予測などを冷静に見極めながら、様々な戦略を立てていくのである。
この期待値という観点から割り出すと、宝くじは0.3、公営ギャンブルは0.75、カジノは0.9強となる。これらは期待値1.0を下回っているので次回は私は手を出さないことにしている。
「期待値」のほか、私が投資判断を行うにあたって重視している指標がIRR(内部収益率、Internal Rate of Return)だ。手堅く見積もっても、IRRの数字が15%以上であることが基準となる。
私は資金循環こそが将来のお金を生み出す原動力だと信じている。 資金循環が期待できる案件では、必然的にIRRが高くなる。
<感想>
著者は、「期待値」とIRRにリスクの査定を加味した三点から投資の判断を行うと言う。オーソドックスな指摘ではあるが、実際には実行できていないことを痛感している。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
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