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あれっ、敵基地攻撃能力開発には世論の賛成が不可欠?


【 敵基地攻撃能力 】

 Yahoo! Japanで、「各社新聞名 社説 敵基地攻撃」で検索してみた。結果は以下の通り。(各社HPの社説にヒットしなかった、読売は出典ブログ内容を、日経は直近記事を掲載)

 
産経ニュース(2017.2.21 05:03更新)
【主張】 敵基地攻撃能力 国民守る方策を決断せよ
http://www.sankei.com/column/news/170221/clm1702210002-n1.html
『 自民党の高村正彦副総裁がNHKの番組で、外国からのミサイル攻撃を防ぐ敵基地攻撃能力の保有について、政府としての検討に前向きな考えを示した。日本維新の会の片山虎之助共同代表も同調した。
 北朝鮮の核・弾道ミサイル戦力は現実の脅威である。弾道ミサイル防衛の能力を高めることに加え、敵基地攻撃によって危機を回避する方策を考えるのは当然といえる。
 安倍晋三首相も1月の国会答弁で、検討に意欲を示した。いかにして国民を守り抜くかは、すべての政治家に課せられた責任だ。意欲を口にするだけでなく、導入を決断し、具体的検討を防衛省自衛隊に指示してもらいたい。
 安倍政権は平成25年に閣議決定した防衛計画の大綱の中で、「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」と、保有に含みを持たせてきた。
 しかし、これまで具体的な進展はなかった。その間にも、北朝鮮の核・弾道ミサイル戦力の強化が進んだ。北朝鮮が今回発射した新型弾道ミサイルは固体燃料で自走式車両から発射された。見つかりにくく奇襲的に運用できるため、脅威度は格段に増している。
 残念なのは同じ番組での公明党の山口那津男代表の発言だ。「敵基地攻撃能力は米国しか持っていない」と、自衛隊のミサイル防衛の整備しか言及しなかった。
 日本が攻撃能力を持つことへの拒否反応がある。だが、それはすべてを米国に依存しようという姿勢の表れともいえる。
 北朝鮮が近い将来、米本土への核攻撃能力を持ち、米国の対北姿勢が及び腰になったらどうするのか。自らの抑止力を考えておかなければ、有事の際の対処力は損なわれてしまう。
 敵基地攻撃能力や、将来的には「敵地攻撃能力」を整えることは日米同盟の抑止力を確かなものとする上でも欠かせないだろう。
 指摘しておきたいのは、安倍首相や高村氏らが、いまなお専守防衛を強調している点である。これは、軍拡に余念がない中国や北朝鮮を相手に、自らの抑止力に大きなブレーキをかける元凶だ。
 政府は耳に心地よい言葉として専守防衛を唱えてきた。だが、それでは平和を守りきれなくなっている。現実を国民に正直に説明すべきである。』


読売新聞(2017年04月06日) 
敵基地攻撃能力 新たな脅威へ的確に対応せよ
http://shasetsu.seesaa.net/article/448771844.html
『 北朝鮮の脅威は今、新たな段階にある。的確に対応できる防衛政策を本格的に検討する時だ。
北朝鮮がまた、日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。飛距離は60キロだが、固体燃料を使う射程2000キロの新型ミサイルとされる。
 昨年以降、核実験や様々なミサイルの発射を繰り返し、その技術は確実に進展している。在日米軍基地を標的に名指ししたのは看過できない。小型化した核の弾道ミサイル搭載にも警戒が必要だ。
自民党は先週、ミサイル防衛の「迅速かつ抜本的な強化」を提言した。陸上配備型イージスシステムなど新たな防衛装備の導入に加え、敵基地「反撃能力」の保有の検討を政府に促している。
 「攻撃能力」との表現を避けたのは専守防衛を強調したものだ。だが、政府は、憲法上、ミサイル攻撃が明白な場合の先制攻撃は「自衛の範囲」として認めている。最初から第一撃を甘受する「反撃」に限定することはあるまい。
ミサイル防衛の強化だけで十分か、という自民党の問題意識は理解できる。北朝鮮は、大量のミサイルを保持し、4発の同時発射など実戦能力を向上させている。
 すべてのミサイルを完璧に迎撃するのは容易でない以上、巡航ミサイルや、ステルス機による対地攻撃など、敵基地を攻撃する手段を確保することは理に適(かな)う。
従来、自衛隊は防衛に徹し、相手国への打撃力は米軍に依存してきた。今後は、その一部を補完するため、自衛隊が攻撃力を持つことを真剣に考えるべきだろう。
 防衛予算が限られる中、ミサイル防衛を偏重すれば、他の装備にしわ寄せが出て、防衛体系を歪(ゆが)めかねない。迎撃ミサイルは他の用途にほとんど使えないが、攻撃型兵器は離島防衛などの汎用(はんよう)性があり、抑止力も向上しよう。
費用対効果の観点も重視し、防衛の総合力を高めたい。
 無論、敵基地攻撃能力に過大な期待を持つことはできない。そもそも敵基地の位置の特定は、米軍の偵察衛星の情報に頼らざるを得ない。移動式発射台を攻撃する場合はさらにハードルが上がる。
 米海空軍の圧倒的な打撃力を活用しない、自衛隊単独の攻撃は非現実的だ。米軍と緊密に連携し、適切に役割分担することが敵基地攻撃能力保有の前提となる。
 北朝鮮の核・ミサイルに対する日米の共同対処能力を実質的に高めるには、どうすべきか。政府は、本腰を入れて議論し、米側と建設的な協議を進めねばならない。』


毎日新聞(2017年3月6日)
社説 敵基地攻撃能力 専守防衛を超える恐れ
https://mainichi.jp/articles/20170306/ddm/005/070/005000c
『 北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の進展を受け、攻撃される前に敵のミサイル基地などをたたく敵基地攻撃能力の議論が進んでいる。
 安倍晋三首相は検討に前向きな考えを示し、自民党の弾道ミサイル防衛に関する検討チームも議論を始めた。2019年度からの次期中期防衛力整備計画をにらんだ動きだ。
 敵基地攻撃能力を持つことが、憲法に反しないかどうかについて、政府は法理論的には可能としてきた。
 1956年に鳩山一郎内閣は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」として、攻撃を防御するのに「他に手段がない」場合に限り、ミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲」との見解を示している。
 さらに政府は、先制攻撃とは区別し、第一撃を受けたり、ミサイルに燃料を注入するなど敵が攻撃に着手したりした時点で、敵基地攻撃が可能になるとの見解も示している。
 しかし、こうした政府の見解はあくまで法理を説明したものだ。現実の状況をあてはめた時、数多くの問題点が浮上する。
 ポイントの一つは「他に手段がない」場合をどう考えるかだ。
 日米安全保障条約によって、米国は日本防衛の義務を負っている。
 米軍が「矛」としての打撃力を持ち、日本は憲法や専守防衛のもと「盾」である防御力に徹するという役割分担になっている。
 いざという時、在日米軍による報復攻撃という手段がありながら、自衛隊が敵基地攻撃をすることは、日米の役割分担の枠組みを超える。
 さらに大きいのが装備の問題だ。日本は専守防衛のもと攻撃的防衛力を持たないことを原則にしてきた。
 敵基地攻撃で考えられる装備には、精密誘導爆弾を搭載した戦闘機や、弾道ミサイル、巡航ミサイルなどがあるが、自衛隊はこうした装備を持っていない。
 敵基地攻撃をするためには、まず敵基地の場所を正確に把握し、次に敵の防空用レーダーの機能をつぶし、そのうえで敵基地をたたくわけで、それぞれに装備が必要だ。
 専守防衛の武器の体系を抜本的に変える必要が出てくるだろう。
 防衛費は大幅に増え、逆に安全保障環境を悪化させかねない。
 そもそも、移動式発射台や潜水艦から撃たれるミサイルの発射場所をどう把握し、正確にたたくことができるのか。実効性や費用対効果への疑問も尽きない。
 課題はあまりに多いのに、軍事的な対抗策に議論が偏り過ぎていないだろうか。そんな状況で首相が前のめりに検討する姿勢を示していることに懸念を覚える。』

朝日新聞DIGITAL(2017年3月31日05時00分)
(社説)敵基地攻撃力 専守防衛が空洞化する
http://www.asahi.com/articles/DA3S12868919.html
『 敵のミサイル基地をたたく敵基地攻撃能力の保有について、検討を開始するよう政府に求める──。そんな提言を自民党の検討チームがまとめ、安倍首相に提出した。首相は「しっかり受け止めていきたい」と応じたが、とうてい賛成できない。
 北朝鮮の核・ミサイル開発に対処は必要だが、敵基地攻撃能力を持っても問題の解決にはつながらない。一方で、憲法にもとづく専守防衛の原則を空洞化させる恐れがある。
 敵基地攻撃について、政府はこれまで法理論上は憲法に反しないと説明してきた。
 1956年に鳩山一郎内閣は、わが国に対し「攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」とし、攻撃を防ぐのに「他に手段がない」場合に限り、ミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲」との見解を示した。歴代内閣も踏襲してきた。
 だが、この見解はあくまで法理を説明したものであり、現実に目を向ければ問題が多い。
 まず「他に手段がない」とは言えない。日米安保条約に基づき、米軍が日本防衛の義務を負っているからだ。
 日本の安全保障は、米軍が攻撃を担う「矛」、自衛隊が憲法や専守防衛の下、守りに徹する「盾」の役割を担ってきた。この分担を壊し、日本が敵基地攻撃をすれば、自衛隊が戦争を拡大することになりかねない。
 また、敵基地攻撃には長距離巡航ミサイルのような攻撃的な兵器が必要だ。提言は敵基地の位置情報の把握や、それを守るレーダーサイトの無力化、精密誘導ミサイルなども例示しているが、従来の専守防衛に基づく装備体系を大きく逸脱する。
 59年の防衛庁長官答弁は「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」を持つことは憲法の趣旨ではないとしている。違憲の疑いが濃いと言わざるを得ない。
 これらを整備すれば、防衛費の大幅な増額も避けられない。そこまでしたとしても、移動式発射台や潜水艦からミサイルが撃たれれば、位置の特定も発射の兆候をつかむのも困難だ。
 敵基地を攻撃すれば反撃を受け、全面戦争への発展を想定する必要がある。原発が攻撃対象になる可能性も否定できない。
 むしろ日本は、北朝鮮への先制攻撃も視野に入れる米トランプ政権に対し、外交的な対応の強化を説くべき時ではないか。
 多くの問題をはらむなか、敵基地攻撃能力の検討に踏み込もうとする姿勢は危うい。』


日本経済新聞(2017/8/5付[有料会員限定])
敵基地攻撃能力 検討へ 防衛省、北朝鮮脅威受け 来夏メド結論
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS04H6G_U7A800C1MM8000/
『 防衛省は敵国の弾道ミサイル発射基地などを攻撃する敵基地攻撃能力(総合2面きょうのことば)の保有の是非をめぐり、近く議論を始める。来年末にも予定する防衛大綱の見直しに合わせ、北朝鮮の核・ミサイルへの抑止力として将来導入できないかを検討する。近隣諸国の反発だけでなく、国内でも議論を呼ぶ可能性が高い。(関連記事総合3面に)
 敵基地攻撃能力は、巡航ミサイルなどで敵国の基地をたたく装備。護衛艦などから発射する米国の巡航ミサイル「トマホーク」や、戦闘機から地上を攻撃する空対地ミサイルなどがある。「専守防衛」を掲げる日本は戦後、他国を攻撃する装備を持ったことはない。
 専守防衛は「攻撃を受けたときに、初めて防衛力を行使し、その力は自衛のための必要最小限にとどめる」ことを指す。
 ただ1956年、鳩山一郎首相は「(我が国に)攻撃が行われた場合、座して自滅を待つことを憲法は規定しない」と答弁。政府は、攻撃を防ぐため「他に手段がない場合」は、敵基地を攻撃することは自衛の範囲内、との見解を示してきた。
 政府は過去の国会答弁でも、敵国が日本に対し攻撃の意思表示をしたり、ミサイル攻撃の準備・兆候が判明したりした場合に敵基地攻撃は認められる、と説明してきた。とはいえ、防衛省が公式に検討を始めれば、国内外から「専守防衛方針を超えるのでは」と議論を呼ぶ可能性が高い。
 政府・与党内では、具体的な装備として米国の「トマホーク」の配備を求める声が上がっている。その場合は米国が価格や納期に主導権を持つ「対外有償軍事援助(FMS)」契約を使う。
 防衛省が検討を急ぐ背景には核・ミサイル開発を進める北朝鮮の存在がある。北朝鮮は今年に入り大陸間弾道ミサイル(ICBM)や、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を地上配備型にした新型ミサイルを発射。核の小型化も進めている。
 これを受け、自民党安全保障調査会は3月、敵基地攻撃能力の保有を政府に提言。政府に「ただちに検討を開始すること」を求めた。同提言を主導したのが、今月3日に防衛相に就任した小野寺五典氏だった。防衛省は同提言を参考に、小野寺氏の下で具体的な課題を整理する見通しだ。
 安倍晋三首相も3日、北朝鮮への懸念の高まりを受け、小野寺氏に防衛大綱の見直し検討を指示した。政府は2018年末に新たに中期防衛力整備計画(中期防)をつくる予定。中期防は5年、防衛大綱は10年程度の方針を定める。防衛省は中期防にあわせて大綱を見直し、敵基地攻撃能力保有の明記を目指す。
 大綱見直しの方針は19年度予算に反映させるため、防衛省は18年夏の概算要求までに敵基地攻撃能力の保有の是非の結論を出す考えだ。
 小野寺氏は4日、日本経済新聞社などのインタビューで「北朝鮮のミサイル技術が進展している」と強調。敵基地攻撃能力に関しては「弾道ミサイル防衛にいま何が必要なのかを突き詰める」と述べた。自民党の提言についても「しっかりと検討状況を聴取する。問題意識と危機感をもって検討を進める」と話した。』


<感想>
 敵基地攻撃についての姿勢はいつも通りだが、推進するためには世論の賛成が不可欠。国民(世論)に絶大な影響のあるテレビを中心としたマスコミで前向きな取り組みに期待したい。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2017-08-06 08:00 | 自衛隊 | Comments(0)