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あれっ、成長の追及に代わる、紛争解決を通じた新たな平和の構築?


『国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」』 (篠田英朗著、講談社)


 以下は掲題書(「むすびに-現代世界の紛争と日本」)からの一部抜粋。

『 日本は世界的な規模の格差社会のなかで、植民地化された ことのない非欧米国として、独特の位置づけをもつ。二十世紀前半の日本は、自国の内部の巨大な格差社会の矛盾に苦しみ、いわば矛盾を解消するために破局的な戦争へと向かっていった。戦後の日本は、劇的な改革をおこなうチャンスを活かして、社会構造の変革を進めて格差社会の構造を是正した。

 しかし戦後七十年が経ついま、格差忌避社会として日本社会の性格は変わり、人びとの考えかたもまた大きく変わった。格差社会の問題は、今後の日本社会のありかたを占う大きな意味をもちはじめている。

 そして格差社会を是正するためには、単純に成長を追い求めるだけの方策では十分ではないかもしれない。成長に限界があるとすれば、やみくもに成長しうる領域を開拓しようとするだけではなく、まさに成長の限界と折りあいをつけていく姿勢が求められるのかもしれない。資本主義の行き詰まりが、日本において顕在化しているのだとすれば、日本は安定的な国際社会の枠組みを維持しながら、成長の限界を受け止める方法を示す使命をもっているとも言えるだろう。

 本書は、冒頭において、人間の社会における複数の目的をめぐる矛盾の顕著が、紛争であるという視点を紹介した。紛争解決とは矛盾の解消であり、平和構築とは矛盾の管理である。しかし解決したり管理したりするためには、どのような矛盾が存在しているのかを分析しなければならないのである。』


<感想>
 確かに、戦後七十年経過した今日の資本主義社会においては、単純な成長の追及に代わる、紛争解決(特に、短期的には北朝鮮との、中長期的には中国との)を通じた新たな平和の構築を目指す必要があろう。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2017-08-07 08:00 | 国際情勢 | Comments(0)