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あれっ、GHQ民生局25人の素人が日本国憲法を作成?


【 大直言(青山繁晴×百田尚樹) 】


 以下は、「大直言」(青山繁晴・百田尚樹著、新潮社)第1章「憲法を議論する」からの一部抜粋。


『  憲法のとんでもない成り立ちを知るべき


百田 最初、日本人につくらせたんですが、出来上がった草案は気に入らなかった。

 そこで占領軍が自分たちで草稿をつくろうということになり、GHQの民生局が、職員を25人集めて、「今からお前たち、日本国憲法の草案をつくれ」と命じた。

 しかし、そこにいたのは素人ばかりですわ。法律家は3人しかいない。弁護士が三人いただけで、その弁護士も憲法の専門家でも何でもないんです。メンバーの中には、22歳の女性のタイピストまでいたくらいです。

 結局、そういう人たちで一週間でつくった。国家の憲法を素人集団が一週間でつくった。しかも、どうやってつくってええかわからへんから、東京の図書館に行って、スターリン憲法とかワイマール憲法とか、あるいはアメリカの独立宣言文とかから、「この文を使おう」「こっちもいいな」という感じで取りまくって、つくった。そう言うと、世界中のいいとこばかり集めた理想の憲法のように見えますが、出来上がったものは、日本という国家観も民族観も何もありません。

 この憲法ができてから、約40年近く経った時に、憲法学者の西修先生が、アメリカに行って、憲法草案を作成した当時の民生局のメンバーにインタビューしています。かなりの方は亡くなっておられたんですが、それでも十何人かが生き残っていた。それで、その中の8人に、あの時はどうやってつくったんですか、こういう細かいところはどういう経緯ですか、と質問した。

 すると、その彼らは一様に、

「えっ!君ら、まだあの憲法を使っているのか」

 と言ったそうです。つまり、彼らは、あくまでGHQが占領統治している間の暫定憲法だというくらいにしか思っていなかった。そら当たり前です。憲法の素人である自分たちが、たったの一週間でつくった憲法を、まさかその後40年も一字も変えていないなんて、思ってもみなかったでしょう。

 でも、その西先生の調査からもうすでに30年経ってるんです。それなのにいまだに一文字も変えられていない。

青山 これは本質的なお話ですよね。実は、西先生が体験なさったのと近いことをぼくも体験したことがあります。元のGHQ士官に会った時に、ぼくが彼に聞いたのは、実は憲法96条のことでした。向こうはぼくが天皇陛下の条項や、9条のことを聞きたいのかと思ったようですが、ぼくは96条のこと、すなわち憲法改正のハードルがなぜあそこまで高いのか、ということを聞いたのです。

 すると、彼は、こんな話をしてくれました。

「天皇陛下の存在をどうするか、また帝国陸海軍をどうするか、といったことについては皆、徹夜で議論をした。わたしたちなりに平和な世界をつくりたいという考えをもとに議論をしていたんだ。そのことは信じてほしい。ただ、96条については自分の知る限りでは議論していない。誰かがタイプしたんだろう」

 タイプしたのは、ひょっとしたら、あの女性かもしれないと、名前を言ってました。

百田 ベアテ・シロタさんか。彼女は日本育ちだったので、日本語ができました。ロシア出身のユダヤ人で有名なピアニスト、レオ・シロタの娘です。ちなみに都内の図書館から各国の憲法を借りてきたのも彼女です。


  憲法を変えるのは「ぼくらの問題」

青山 あとで調べたところ、議論をしていない、というおは本当でした。彼は、
「イオウジマ(本当はイオウトウですが、こう言ったのです)や沖縄での戦いで、日本人がどれほど誇り高い人々かはよくわかっていた。わたしたちがつくった憲法はあくまでも占領下の間だけで、いずれ自分たちで変えるだろう、つくるだろう、と思っていた。アメリカには日本を占領し続けようという領土的野心はなかったのだから」
 とも話していました。

 この領土的野心がなかったというのは本当でしょう。アメリカにそれがあればカナダやメキシコも存在していないでしょうから。別にアメリカ人を褒めているのではなく、カウボーイとはそういうものです。彼らは牧場を広げることよりも、孫の成長が大切な人種なのです。

「日本が独立を回復したら、at that night(その夜のうちに)全部変えるだろうと思っていた。ただし、わたしたちも平和を願ったんだということを思い出してほしいから、最初のハードルを高めにつくっただけで、それを変えないのは、わたしたちじゃなくて、君たちの問題だ」

 とも話していました。彼は、お別れが近づくとこう言いました。

“Ask your people, ask your administration”(君の同胞、君の内閣に聞くべきだ)

 これは百田さんの話と一致する話で、大事なことです。


  国民を分断しない議論を

青山 翌日、もう一回、ドイツ国防省に行った時に、またその彼とコーヒーブレイクで話をした。今度はぼくはこんな風に言いました。

「ドイツ人が賢くて、日本人が馬鹿だということではありません。あなたの国は戦争で負けて、負けて、負けて、また、負けてやっと勝とうと思って、ナチスをつくったら、もっと負けた。しかし日本は、モンゴル帝国の侵略を跳ね返した歴史をはじめ、ずっと自国の領土を一度も侵されたことがない唯一の主要国だった。1945年に初めて負けたから、負けた時にどうするかを知らなかった。勝った時じゃなくて、負けた時にどうするかを訓練されてなかっただけのことです。だから、1911年にハーグ陸戦条約を批准していても、その意味がよくわかっていなかった」

 最後の発言を補足説明しておくと、ハーグ陸戦条約の中には、勝った国は負けた国の法律を原則いじるなと明記されているわけです。

「だから、日本人は馬鹿なんじゃなくて経験がなかっただけだから、これからやるんだよ」

 そう言って、日本に帰ったんです。でも、それからずいぶん幾つも内閣が代わり、それでも憲法は変わりません。

 やはり、ask your peopleの精神で、わたしたち国民同士で考えるべきです。ただし、安倍総理はじめ政治家にお願いしたいのは、こういう改憲派、護憲派と分断しない話、立場の違いを乗り越えられる話をもっともっと提起してもらいたい。(※青山註 この対談当時、僕自身の選挙出馬はカケラも考えていませんでした)』


日本国憲法
第九章 改正
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。


<感想>
 憲法の成り立ちを含め、戦後一度も改正されていない憲法に疑問を持つような教育が今こそ必要なのではないだろうか。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2017-09-17 08:00 | 青山繁晴 | Comments(0)