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あれっ、回転寿司業界での提携⇒縮小する国内市場への対応?


【 スシローと元気寿司の資本業務提携 】

 以下は、2017/9/30の日経新聞電子版記事*からの一部抜粋。
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https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&n_cid=DSMMAA13&ng=DGXLZO21729380Z20C17A9LKA000&scode=3563&ba=1


『 神明、海外に成長託す 傘下の元気寿司、スシローと統合 日本食、アジア積極出店 コメ卸と相乗効果狙う

 コメ卸最大手の神明(神戸市)がすしなど日本食の海外展開に弾みをつける。29日、傘下の元気寿司と回転ずしチェーン最大手、あきんどスシローの経営統合について協議すると発表した。神明は水産や青果の企業を買収する一方、香港の外食大手と合弁会社を設けるなど海外販路を開拓してきた。財務などのリスクを抱えつつも、水産品などとの相乗効果を生かして成長市場に攻め込む。 』


 以下は、スシローグローバルホールディングス(3563)(「SGH」)のIR情報*からの概要。
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http://www.sushiroglobalholdings.com/financial/


[ SGH、神明及び元気寿司の資本業務提携に関するお知らせ ]
SGH:「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」を使命として、国内では「スシロー」ブランドにて直営方式による回転すし店を中心に展開

神明:「私たちはお米を通じて、素晴らしい日本の水田、文化を守り、おいしさと幸せを創造して、人々の明るい食生活に貢献します。」の企業理念のもと、基幹事業である米穀卸売事業、パックご飯や炊飯米等の加工米飯事業、国内外での外食事業に加え、近時では青果物や水産品を含めた「川上から川下までの食のバリューチェーン」構築に向け積極的に展開

元気寿司(神明の連結子会社):「回転寿司を超える寿司レストランの創造」を基本方針に掲げ、「元気寿司」、「魚べい」等のブランドにて、回転レーンをなくし、タッチパネルと三段の高速レーンを設置したオールオーダー型店舗「回転しない寿司」を展開


[ 資本業務提携の背景 ]
低価格回転寿司業態は他の国内外食産業と比較して高い成長性を見込むことのできる業界であるものの、
1.依然として消費者の節約志向は根強く、また、
2.少子高齢化による労働力減少や人件費の高騰、業種・業態の垣根を越えた顧客獲得競争の激化など、経営環境は厳しさを増している


1.長期的には成熟が見込まれる国内市場では強固な事業基盤・調達力・店舗網を構築し、量・質ともに圧倒的な規模の企業へと成長すること
2.有望なホワイトスペースが広がる海外市場では競合他社に先行した展開を行うこと
が、事業価値の最大化を図ることができる戦略であるとの認識にもとづき、協議を進めてきた

⇒SGHと神明の子会社である元気寿司の間の経営統合に関する協議を開始することを目的とした本資本業務提携を行うことに合意


[ SGH:資本金の額の減少に関するお知らせ ]
目的:今後の資本政策の機動性及び柔軟性を図ること
資本金の推移:現状1億円⇒CEIのWT行使後1,814,900,571円⇒資本金減少後1億円


[ CEIの大量保有報告書より ]
年月日 株券等の種類  数量   割合  市場 取得/処分 単価
2017/2/1 新株予約権 1,019,655 3.58% 市場外 取得 1,606.98円
2017/3/30 普通株式 18,923,900 66.45% 市場外 処分 *3,434.72円


[ SGHの沿革(概要) ]
2008/9
ユニゾン・キャピタル・グループに属する投資ファンドにより設立されたエーエスホールディングス株式会社は、2008年9月に旧株式会社あきんどスシローのマネジメント・バイ・アウト(MBO)を発表

2012/9
ペルミラ・ファンド*に異動するにあたり、ペルミラ・ファンドにより設立されたCEILジャパン株式会社は、201/9/2に前株式会社あきんどスシローの全株を取得し、同社を子会社化
*親会社であるCEIの株式の過半を間接的に保有

2015/3
株式会社あきんどスシローは単独株式移転により、株式会社あきんどスシローホールディングスを設立し、持株会社体制に移行(2015/10に商号をSGHに変更)

2017/2
SGHはIPO(売出価格*3,600円)し、CEIは所有株式の一部を売出し(15,331千株×3,434.72円(*の▲4.6%)=約527億円)

2017/10
第1取引:神明は、CEIから売出しにより当社普通株式5,400,000株を取得(@4,000円/株)(総額216億円)

第2取引:CEIが保有する当社普通株式2,539,459株及びCEIがその保有する当社の新株予約権を行使することにより取得する当社普通株式1,553,576株の合計4,093,035株を、CEIから取得(@4,000円/株の場合⇒約164億円)

⇒神明の議決権比率は19.67%(第1取引)⇒32.72%(第2取引)


<感想>
 今回の資本業務提携は、SGH株主(CEI)のIPO(2017/3)に続く出口戦略であるが、(1)縮小する国内市場での効率的展開と、(2)拡大する海外市場での積極的展開の両面を追求しようとする企業戦略でもある。今後もこの種の動きは加速して行くものと思われる。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
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by tsuruichi1024 | 2017-10-02 08:00 | M&A | Comments(0)