2017年 11月 23日
あれっ、中国電力のユーロ円CBは2年債と4年債?
【 中国電力のユーロ円CB 】
2017/11/21、中国電力(9504)が2本建のユーロ円CBをローンチした。
1.ユーロ円CBの発行(2年債・4年債)について
[ ローンチ時 ]
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171120422025.pdf
[ 条件件決定時 ]
http://www.energia.co.jp/press/2017/10838.html
金額:500億円・500億円
年限:2年・4年
利率:どちらもゼロ・クーポン
募集価格:102.50%・100.50%
転換価格:どちらも1,429円(11/21終値@1,243円対比のアップ率15.0%。11/22終値は@1,215円、前日比▲2.25%)
主な付帯条項:
(1)130%ソフトコール条項:株式への転換促進を企図
・株価が転換価額の130%以上(パリティ:130円以上)に上昇した場合に、発行会社が額面金額(@100)で繰上償還できる条項(2年CB:2019/7/1~。4年CB:2020/7/1~)
⇒ 投資家は、繰上償還(@100)に先立ち、株式に転換することで利益(グロスで額面30円以上)を確定させることができる。
(2)転換価格修正条項
a)下方修正条項:株式への転換を促す⇒自己資本の増強
・2年債・4年債:2018/12/3・2020/7/1の前日までの30連続取引日の終値の平均値(*1)が、転換価額を下回る場合には、*1に修正される(下限修正価額:1,144円(当初転換価額の80%))
b)任意下方修正条項:将来の会社の状況に応じて下方修正可能⇒転換促進を図る
・2年債・4年債:2019/7/1・2020/11/1以降のうち当社が選択する日の前日までの、15 連続取引日の終値の平均値(*2)が、その時点の転換価額を下回る場合には,当社は、その選択により、*2に修正することができる(下限特別修正価額:1,001円(当初転換価額の70%))
(3)4年債の転換制限条項:制限期間内の株式への転換を抑制
・約2年半の転換制限条項を付与
[ 主な目的 ]
1.株式への転換促進を企図した付帯条項を付与
・株式への転換を目指す(ソフトコール・下方修正)
⇒ 自己資本の増強が期待される
2.任意下方修正条項を付与
・将来の事業環境の変化や財務体質の状況に応じて行使
⇒ 株式への転換促進を図る
3.株式への転換
・主に、将来の株価上昇など、株主価値が向上する局面で進捗するものと想定
⇒ (結果的に)転換に伴う1株あたり価値の希薄化抑制が図られる
・加えて、4年債は約2年半の転換制限条項を付与
⇒ 転換時期の平準化も図られる
4.既発CBの買入消却
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171120422012.pdf
買入対象:2018年満期ユーロ円CB*(上限500億円)
買入方法:Nomura Int’l plc(単独ストラクチャリング・コーディネーター)を単独ディーラー・マネージャーとするCB権者に対する買入オファー(@100)による
転換価格:1,993円
*http://www.energia.co.jp/press/2015/694.html
⇒ 既発CB*投資家は、多少のコスト(募集価格-額面金額:2年債:2.5%、4年債:0.5%)を払って新発CBに乗り換えれば、転換価格を28.3%(1-1,429円÷1,993円)引き下げられる(期限も延長)
<感想>
本件は、既発CBの買入消却の投資家宛てオファーを含めた「ストラクチャリング・コーディネーター」という役職を設けたユーロ円CB。投資家と太いパイプがないとアレンジは難しいように思われる。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
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