あれっ、株価への影響を抑えた新株予約権を活用した資金調達手法?


【 IBJ:株価への影響を抑えた新株予約権の活用 】


 2018/2/26、IBJ(6071)が、第三者割当による新株予約権(「WT」行使価額修正条項付)の発行を開示した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120180226478131.pdf


1.WTの概要
(1)WT発行数:総計32,144個
(第3回WT17,858個、第4回WT14,286個)

(2)発行価額:総額29,765,394円
(第3回WT:1,026円/WT1個⇒10.26円/株
第4回WT:801円/WT1個⇒8.01円/株)

(3)潜在株式数:3,214,400株(100株/WT1個)
(発行済株式の7.9%)

(4)行使価額(2/23終値:1,163円)
第3回WT:当初行使価額1,400円。但し、条件決定日の直前取引日の終値(「条件決定基準株価」) > 1,400円 ⇒ 当初行使価額は条件決定基準株価の100%
下限行使価格:当初行使価額の100%
上限行使価格:なし

第4回WT:当初行使価額1,750円。但し、条件決定基準株価>1,750円 ⇒ 当初行使価額は条件決定基準株価の100%
下限行使価額:当初行使価額の100%
上限行使価額:なし

(5)第三者割当先:UBS AG London Branch


< 当社グループ >
これまで:
婚活事業やライフデザイン事業におけるサービス強化や積極的なM&A及び資本・業務提携を通じて、事業規模や多角化の面で急速な変化を遂げきた
⇒ 18/12期の成婚組数は、日本国内全体の約1%を実現する見通し

今後:日本国内における成婚組数の3%を目指す(22/12期までの本中期経営計画:
http://www.ibjapan.jp/pdf/ir/ir-data/plan/20180226.pdf)

1)婚活事業:全国に配置する結婚相談所ネットワークを更に拡大する
2)ライフデザイン事業:婚活事業とシナジーの高い領域を拡大
3)更に、人工知能(AI)を活用した新たなサービスの開発、シニア層向けの婚活マーケットや国際結婚マーケットへの積極的な進出も開始


[ 定量目標 ]
売上高300億円、営業利益50億円
(18/12期予:同106.2億円、同17.5億円)

⇒ 今後、大規模なM&A及び資本・業務提携も視野に


[ M&A、資本・業務提携の対象 ]
1)既存事業とのシナジーを重視し、それらに関連した企業、また既存事業との直接的な事業シナジーを生じさせる企業
2)当社会員ネットワークの拡大に繋がる個人顧客データベースを保有する企業
3)当社サービスの技術的な補完や新たな技術サービスの提供が可能なIT企業を想定


< 資金調達方法の選択理由等 >
(1)資金調達手法の概要
・当社がUBSに対しWTを割り当て、WTの払込金額に加え、UBSによるWTの行使に伴って当社が資金を調達する仕組み

・WTの当初行使価額:発行決議基準株価を上回る1,400円(第3回)及び1,750円(第4回)又は条件決定基準株価の100%に相当する金額の高い方の金額>「2/23終値1,163円」

・行使価額修正条項付き
⇒ 株価上昇時:行使価額を上方修正
株価下落時:下限行使価額が当初行使価額の100%に相当する金額(行使価額が当初行使価額より下方には修正されない)


< WTの仕組み >
1)行使指定
・原則:通常WT
⇒ 株価>行使価額 ⇒ WT行使が進行

[ 機動的な資金調達を希望時 ]
一定の条件に従ってWTを行使すべき旨及び行使すべきWTの数を当社が指定(「行使指定」)可能
⇒ 割当予定先は、かかる行使指定に従って一定の条件・制限の下で、指定された数のWTを20取引日の期間中に行使することをコミット

2)行使停止指定
当社は、割当予定先に対して、WTの全部又は一部につき、行使できない期間を指定可能
⇒ 当社の自主的な判断により、当社の資金需要、株価動向・希薄化の進展等を総合的に判断した上で、柔軟な資金調達が可能

3)買戻義務 (当社は、2020/3/20に、残存WTを発行価額と同額で買い取る義務あり)

4)譲渡制限WTの譲渡(当社の取締役会の承認が必要)

5)180日間のロックアップ


2.他の調達手段が適さないと判断した理由
(1)公募増資
・新株の発行は、資金調達が一時に可能となるが、同時に1株当たり利益の希薄化も一時に引き起こす
⇒ 株価に対する直接的な影響が大きい

(2)第三者割当増資
・当社の株主構成及び会社経営・支配権に割当先からの影響を及ぼされること、また上記(1)同様、即時の株式発行を伴うものであり、1株当たり利益の希薄化を一度に引き起こす
⇒ 株価に対する直接的な影響が大きい

(3)MSCB(転換価額修正条項付転換社債)
株価に連動して転換価額が修正されるMSCBは、発行条件・転換条件等は多様化しているが、一般的には、転換の完了まで転換により交付される株式総数が確定しない
⇒ 希薄化率が大きく変化し、株価に対する直接的な影響が大きい

(4)WT無償割当による増資(ライツ・オファリング)
・コミットメント型ライツ・オファリング
⇒ 国内で実施された実績が乏しく、未成熟なため、引受手数料等のコストが増加することが予想される

・ノンコミットメント型ライツ・オファリング
⇒ 割当先である既存株主の参加(WT行使)率が不透明で、十分な額の資金調達を実現できるかどうかが不透明

(5)社債又は借入れ
・調達金額が全額負債となるため、当社の財務健全性が低下し、今後の借入れ余地が縮小する可能性がある


<感想>
 本件は、WTを活用して、時価を超える株価での資金調達を企図するもの。
 株価の動きを見ながら、発行会社のオプションで、WT行使をストップされることやWT行使をコミットされることが可能なため、公募増資やCBよりも発行会社にとってはメリットがある枠組とも考えられる。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
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by tsuruichi1024 | 2018-02-28 08:00 | 新株予約権 | Comments(0)