2018年 04月 08日
あれっ、米国の対中政策が明らかに変化?
【 アメリカ中枢部の世界認識の変化 】
2018/4/3付けで「対中幻想の終わり? 貿易戦争のゆくえ」(from 柴山桂太) と題する記事が掲載された。https://the-criterion.jp/mail-magazine/20180403/
以下はそのポイントの列記。
1.米中関係に変化の兆し
トランプ大統領は、米企業の知的財産や技術が盗まれているとして対中貿易制裁の発動を宣言。中国も対抗措置として、アメリカ製品の輸入関税引き上げを決定
⇒ 今の時点では、この対立があるところで収まるのか、それとも「貿易戦争(trade war)」にまで発展するのかは不明。ただ、アメリカの中国への態度が、トランプ政権になって明らかに変わってきた
2.『フォーリン・アフェアーズ』の論文
タイトル:「対中幻想に決別した新アプローチを ー中国の変化に期待するのは止めよ」
(https://www.foreignaffairsj.co.jp/theme/201804_campbell/。著者の一人は、カート・キャンベル前国務次官補)
アメリカはこれまで、中国を国際社会に迎え入れれば、その行動を(アメリカにとって好ましい)方向に変化させられると考えてきた。しかし、それは完全な誤りだったと認めなければならない
本当は、もっと以前に対中戦略を見直すべきだったが、アメリカの政策担当者はイスラム過激派の問題に目を奪われてしまったため、そのタイミングが遅くなってしまった。中国に対する、根拠のない希望的観測を捨て去らなければならない
(1)アメリカ:中国のWTO加盟を後押し
中国経済をさらなる開放に向かわせようとする歴代政権の試みは全て失敗に
(2)中国の国有企業の管理体制:強化される一方
外国企業に国内企業と対等の競争環境を提供すべしという国際ルールを守る気配なし
(3)中国の政治:民主化に向かう気配は少しもなし
情報技術革命による海外情報の流入は、インターネット空間にファイアーウォールを張り巡らせるなど、監視体制強化によって抑え込まれている
(4)中国独自の国際秩序:新たに構築
北京政府は、米主導の既存秩序に参加することより、AIIBや「一帯一路」など独自の国際秩序を新たに構築
3.日本への影響
中国の対米輸出には、日本のサプライヤーもかなり入っている(日本企業が中国に工場をつくり、アメリカ向けに輸出している)ので、対中制裁関税は回り回って日本企業にも打撃を与える
⇒ 世界の二大経済大国が貿易戦争に入ると世界貿易が縮小するため、グローバル企業も予期せぬ混乱に見舞われる
4.方向性
アメリカが、対中貿易制裁に向かう可能性は決して小さくない
(1)トランプの支持基盤へのアピール
(2)アメリカ中枢部の世界認識に変化の兆しが見られるため
⇒ WTOが出来たのが1995年。それから約四半世紀が経過し、世界経済の秩序はふたたび再編の時期を迎えたと考えるべき
<感想>
対中貿易制裁に端を発した米中間での貿易摩擦が、商品価格を下落しているという。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29053260V00C18A4MM8000/
日本経済に与える影響も小さくないように思われ、株式市場を含めて大ごとにならないことを祈念している。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/
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