あれっ、是枝監督の変わらない考え?


【 是枝裕和監督:変わらない考え 】


 是枝裕和監督作品「万引き家族」が、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門のパルムドールを受賞した。以下は、是枝裕和著「映画を撮りながら考えたこと」(2016/6、ミシマ社)からの一部抜粋。


P144
「殺意や戦争といった自分の思考の外にあるものについて、その番組を見た人間が自分の中に想像としてきちんと立ち上げていくこと。そこへ向かわせる力を持った表現が、きっとテレビには欠けているんだと思う。そういうものと出会う場所を確保することが、最終的には共同体自体を豊かにすると思うし、個人を豊かにすると思っている。それがパブリックであるテレビの果たすべき役割だと思う。」『論座』2005年4月号

 この考えは十年経ったいまも変わりません。


P176
『誰も知らない』はカンヌ国際映画祭で80近い取材を受けましたが、いちばん印象的だったのは、「あなたは映画の登場人物に道徳的なジャッジを下さない。子どもを捨てた母さえ断罪していない」という指摘でした。ぼくはこのように答えました。

 映画は人を裁くためにあるのではないし、監督は神でも裁判官でもない。悪者を用意することで物語(世界)はわかりやすくなるかもしれないけど、そうしないことで逆に観た人たちがこの映画を自分の問題として日常にまで引きずって帰ってもらえるのではないだろうかーー。

 その考えはいまも基本的に変わりません。映画を観た人が日常に帰っていったときに、その人の日常の見え方が変わったり、日常を批評的に見るためのきっかけになったりしてくれたら、といつも願っています。


<感想>
 オリジナルの原案、脚本、監督をこなす是枝監督。
 1992年の「しかし…─ある福祉高級官僚 死への軌跡」(あけび書房)を読書中であるが、テレビ、映画と同様の考え方が伺える。
 当面、是枝作品から目が離せなくなりそうだ。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2018-06-07 08:00 | 是枝裕和 | Comments(0)