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あれっ、株主への悪影響を回避するためのMBO?


【 フジコー:株主への悪影響を回避するためのMBO 】


 2019/11/1、フジコー(2405)が、「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を発表した。
http://www.fujikoh-net.co.jp/wp-content/uploads/2019/11/b75cc27caf7451954882a07cade8f07f.pdf


1.本公開買付け(TOB)の背景等
・1972年2月:創業者である桑原光雄氏が東京都台東区にて主に家屋害虫の駆除工事を行う事業として創業し、1974年2月に設立された株式会社

・2004年7月:産業廃棄物処分事業者として、初めて株式を東証マザーズに上場

・2015年11月:東証二部に株式を上場

・『住まいと環境を守る』という経営理念のもと、廃棄物処理事業者としてバイオマス(生物資源)のリサイクル及びエネルギー活用を主とした事業活動等を展開


< 当社を取り巻く事業環境 >
・公開買付者の代表取締役である小林直人氏(「小林氏」)は、当社が掲げる取組みは、 中長期的に見れば現状維持又は低位ながら相応の成長が見込まれるものの、当社の主要セグメントである建設系リサイクル事業は外部環境による大きな影響を受ける事業構造であり、自らが市場の創造や付加価値の創出等を行う製品製造業等とは異なっており、何らかの理由で排出者側が廃棄物を発生させない限り、需要が生まれない産業であると考えている

・現状の首都圏における建設系廃棄物処理に関する事業環境は、東京オリンピックの開催に加え、東京都中心地区の再開発工事等により需要過多の状況ではある一方で、中長期的には少子高齢化の進展や持続的な人口減少という環境下では、住宅着工戸数の減少等、建設系廃棄物の発生数量の大きな伸びは期待できず、現状の事業形態では持続的な成長と飛躍は難しいと考えている

・また、仮に、世界的な経済情勢の急激な変動により、リーマンショック時のような建設不動産業界の不況が一時的であっても発生した場合は、現状の事業形態では、他の業種に比して外部環境の変化の影響を受けやすいことから、当社の業績は急速に悪化し、企業価値が毀損される可能性も否定できず、当社株式の株価に悪影響を及ぼす等の不利益を当社の株主に与えるおそれがあるものと考えるに至った


< MBOの検討 >
・そのため、小林氏としては、安定的かつ継続的に当社の企業価値を向上させるためには、(i)外部環境の影響を受けにくい事業形態への変革、(ii)新規事業・新規設備への投資、(iii)これらを実現するための中長期的な視点に立った上で機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築し、当社が一丸となって事業の拡大と経営基盤の強化を推進することが必要であると考えるに至ったとのことであり、2019年3月下旬より、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により、当社株式を非公開化することについて具体的な検討を開始したとのこと

・公開買付者は、本取引により、当社を非公開化し、迅速な意思決定及びそれに基づく機動的な事業の再構築を可能とする経営体制を構築し、短期的な利益確保を重視する既存の戦略を推進するのではなく、中長期的な企業価値向上の観点から、それを阻害するあらゆる要因を検証し直し、新たな戦略を採用・推進することが必要と考えている

・また、公開買付者は、当社における株式の上場を維持するために必要な費用 (有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する費用、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用等)は増加していることから、株式の上場を維持するために必要なコストが当社の経営上のさらなる負担となる可能性があると考えている

・公開買付者としては、当社は、2004年のマザーズ市場への株式上場以来、社会的な信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保及び取引先の拡大等、上場企業として様々なメリットを享受してきており、非公開化によりこれらのメリットに影響が生じる可能性があると考えられるものの、現状の事業活動を継続するために必要な資金は確保できている現在の財務状況及び現下の間接金融における低金利環境等に鑑みると、当面はエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれず、上記のような上場維持コストの上昇を踏まえると、今後も継続して当社株式の上場を維持することに意義を見出しにくい状況にあると考えている

・上記のような事情を勘案し、小林氏は、当社が上記各施策を実施するにあたっては、MBOの手法により当社を非公開化することが、当社の株主に対して発生するおそれがある悪影響を回避し、かつ中長期的な視点から抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速かつ果敢に実践するために最も有効な手段であるという結論に至り、 2019年8月下旬、当社に、本取引の実施に向けた協議・交渉の申し入れを行った

・その後、公開買付者は、TOB価格を含む本取引の諸条件等の検討を進め、2019年9月30日にTOB価格を1株当たり545円とする当社のMBOを正式に提案する旨の提案書を提出した

・そして、当社から、2019年10月11日にTOBの再検討の要請を受け、TOBの再検討を行い、 2019年10月29日に当社に対してTOB価格を1株当たり600円とする旨の再提案を行うなど、公開買付者は、当社との間で、複数回に亘り協議・交渉を続けてきた

・かかる協議・交渉の結果を踏まえ、公開買付者は、2019年11月1日、TOB価格を600円としてTOB実施を決定した


< TOB後の経営方針 >
・本取引は、いわゆるMBOに該当し、小林氏は、TOB終了後も継続して当社の代表取締役社長として経営にあたることを、また上竹智久氏は、本取引後も継続して当社又は当社の子会社の取締役としてその経営にあたることを、それぞれ予定している

・また、スクイーズアウト手続の完了後、本株式交換を行う予定とのことであり、これにより、上竹智久氏を含む不応募株主が公開買付者の株主となる予定


2.株価終値推移
10/31  550円、11/1  537円
11/5 598円、11/6  597円


<感想>
 本件は、株主への悪影響を回避し、抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速かつ果敢に実践するために最も有効な手段としてのMBOを選択したもの。
 今後も斯の種のMBOが増えていくように思われる。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuru1.blog.fc2.com/ 
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by tsuruichi1024 | 2019-11-07 08:00 | MBO | Comments(0)