【 シャープ:C種種類株式を譲渡承認 】


 2017/12/29(19時)、シャープ(6753)が2016/8に鴻海精密工業(「鴻海」)宛てに第三者割当した、C種種類株式の譲渡を開示した。
www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2017/171229-1.pdf


1.2016/8の鴻海宛第三者割当増資:C種種類株式

(1)発行概要
・株式数:11,363,636株(株式併合前)
・単価:8,800円/株(同上)
・総額:1,000億円

(2)取得条項(株式併合前)
・当社(シャープ)は、2017/7/1以降、C種種類株式1株当たりにつき、100株の普通株式の交付と引換えに、C種類株式の全部又は一部を取得することができる。

(3)譲渡制限
・C種種類株式を譲渡による取得するには、当社の取締役会の承認を受けなければならない。


2.2017/12プレスリリース:C種種類株式の譲渡
(1)譲渡の概要(C種種類株式全て)
・株式数:1,136,363株(2017/10/1の株式併合(10株→1株)に伴うもの)
 ⇒ 付与割合は1:10(上記1(2)。株式併合後)のため、普通株式11,363,630株に相当
 ⇒ 発行済株式数(49,831,656株)の22.8%に相当
・譲渡価格:310,192円/株(普通株式ベース:*3,101.92円/株)
・総額:3,524.9億円
・譲渡方法:市場外取引
・譲渡日:2018/1/30(予定)
*12/29終値3,870円の約20%ディスカウント


(2)譲渡の理由(プレスリリースより)
・鴻海によれば、そのグループ企業(「鴻海グループ」)の役員・従業員で構成された持株会社である ES Platform LPに対して譲渡し、同社において、鴻海グループの役員・従業員に対するインセンティブ・プログラムを構築する、とのことです。当社としては、これにより鴻海グループの役員・従業員が当社企業価値及び株式価値向上に対してインセンティブを持つことになることから、取締役会において譲渡を承認しております。

(3)C種類株式に関する譲渡総額/譲渡益・含み益
・投資期間:約1.5年
(a)鴻海の譲渡総額/譲渡益:約3,525億円/約2,525億円(投資元本:千億円)
(b)ES Platform LPの含み益:約935億円(2018/1/5終値@3,925ベース)

3.2016/8の鴻海等宛て第三者割当増資:普通株式
(1)発行概要
・株式数:3,281,950,697株(株式併合前)
・単価:88円/株(同上)
・総額:2,888.12億円

(2)当該普通株式に関する時価総額・含み益
(a)時価総額:1兆2,882億円(投資元本:2,888億円)
(b)含み益:9,994億円(1/5終値@3,925ベース)

<感想>
 2016/8にシャープ宛て総額3,888億円(普通株式(2,888億円)、C種種類株式(千億円))を出資して、シャープのリスクを取った鴻海(等)。


 第三者割当時の価格@880(株式併合(10株→1株)勘案後)は4.5倍の@3,925(1/5終値)になり、投資期間約1.5年で既にC種種類株式の譲渡だけでその90%超(3,525億円/3,888億円)を回収した。(報道によれば鴻海の益出しニーズがあった模様)


 更に、普通株式の含み益は約1兆円(+上記2(3)の含み益(約935億円))で、リスクを取った場合のリターンは絶大であることが理解できる。


 C種種類株式の潜在株比率(普通株式転換後)は発行済株式数の22.8%に相当し、鴻海グループの役員・従業員に対するインセンティブ・プログラムとしての規模の大きさも日本の常識では考えられないもの。(益出しのための受け皿として特別だった可能性あり)


 本件開示後の株価推移(12/29:3,870円、1/4:3,895円、1/5:3,925円)を見る限り、C種種類株式の普通株式への転換後の希薄化は織り込まれていないように思われ、今後の株価動向が注目される。

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by tsuruichi1024 | 2018-01-06 08:00 | シャープ | Comments(0)


【 東証1部指定のための流通株式比率 】


 2017/11/13、シャープ(6753)の大株主が株式譲渡の契約を締結した。


1.第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関するお知らせ
 
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2017/171113-1.pdf

 譲渡の理由:当社株式の流動性向上を図るため*(2017/6/30に、東証1部指定申請中。現在東証2部)

 譲渡人:SIO Int’l Ltd.(「SIO」。親会社・鴻海精密工業の郭・董事長が実質的に支配している会社)
 譲渡人:大和PIパートナーズ
 譲渡株数:540万株
 譲渡価格:約190億円(@3,514.5円)
 方法:市場外取引

 差金決済契約:原則として、当社株式の出来高に鑑み当社株式の株価へ大きな影響を与えない様に配慮した方法により、本契約に定める一定期間経過後、本契約に定める条件に従い可能な限り速やかに、本株式を株式市場にて売却する予定。SIOによる本株式の再取得に関する合意は存在しない


 *2017/11/13日経電子版記事(一部抜粋)
『 シャープ株、鴻海系が1%売却 1部復帰へ流動性確保
 シャープは13日、親会社の鴻海精密工業グループが同日付でシャープの発行済み株式1.1%を売却したと発表した。申請中の東証1部復帰には市場に流通する株数が発行済み株式数の35%以上必要なため。鴻海グループの出資比率は66%弱から64.8%に下がった。』


2.主な東証1部指定基準(2部⇒1部)
 
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/

(1)株主数(上場時見込み):2,200人以上

(2)流通株式(上場時見込み)
 a.流通株式数 2万単位以上
 b.流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上(2部は30%以上)

(3)時価総額(上場時見込み):250億円以上


3.第三者割当増資の簿価/売却益

(1)第三者割当増資
 ・2016/8 @88円/株(×約32.82億円≒2,888億円)
  内、SIO宛て4.2億株

(2)株式併合
 ・2017/9 株式併合 10株→1株
  ⇒ 簿価@880円

(3)売却益(グロス)
 ・540万株×(3,514.5円-880円)≒142億円


<感想>
 本件の株式譲渡は、シャープの現在の東証2部から1部指定要件となる流通株式比率(35%以上)充足を目指すもの。売却利益の最大化目的ではないとすれば、(VWAPギャランティ等の)価格固定(@3,514.5円)ではなく、価格変動分を別途支払うような契約の可能性もあり得る(と思われる)。

 本件は、ハイリスク・ハイリターンの典型例とも言える。鴻海に代わる出し手はいなかったのか。(後講釈で恐縮ながら)売却利益が海外に流出することも含めて、残念な事例である。

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by tsuruichi1024 | 2017-11-15 08:00 | シャープ | Comments(0)