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【 ステムリム上場:初値は930円 】


 2019/8/9、ステムリム(4599)が東証マザーズに上場した。
 以下は、2019/8/9の日経電子版の記事から。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48427120Z00C19A8000000/


1.ステムリムの冨田会長「調達不調でも計画達成できる」

初値:930円(公募・売り出し価格▲7%)
終値:951円
⇒ 時価総額は498億円(会社側が当初の仮条件で想定していた平均発行価格で計算した時価総額は約1500億円)

──当初想定していた株価や時価総額を大幅に下回りました。どう評価しますか。
冨田会長「投資家の評価は受け入れざるを得ない。ここから出発する。現時点で(バイオベンチャーの企業価値を評価する)公式に当てはめるとこうした数字になったということだ。ただ、公募価格を決める際の機関投資家からの評価は、当社が持つ可能性について否定的なものはなかった。再生誘導医薬のリーディングカンパニーとして地歩を固めるために、調達した資金で事業を進める」

──仮条件を大幅に下げた理由を教えて下さい。
岡島正恒社長「日本のバイオベンチャー、特に赤字段階で投資できる機関投資家の層が薄かった。機関投資家に一定額を買ってもらわなければならないという状況もあり、株式公開のプロセスも含めて厳しかったと実感している」

──仮条件段階での価格レンジはどのような経緯で設定したのですか。
冨田氏「当社側と証券会社側、双方(が妥当だと思う水準)だ」

──冨田氏は保有株の売り出しをやめました。
「理由は単純だ。(公開価格を)引き下げた形での仮条件が決まった。中期経営計画の達成に向けて会社が調達する金額が減ってしまいそうなので、会社が売り出す株に振り替えた。今後の売却については現時点では特に考えていない」
「当初200億円以上を調達するはずだったが3分の1になった。それでも知恵を使えば中期計画は達成できる。私も70歳でどれだけ役立つか分からないが、死ぬまでという気持ちでお手伝いする」


2.株価終値(安値〜高値)推移
8/ 9 951円(900円〜1,010円)
8/13 985円(961円〜1,055円)


<感想>
 赤字のバイオベンチャー企業のIPOに対する、機関投資家の層の薄さが仮条件の大幅な引き下げに繋がった。
 上場後の株価は、IPO価格の1,000円を挟んだ値動きになっており、妥当な設定だったと思われる。
 同じ証券会社に勤務していた岡島COOの活躍に期待したい。

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by tsuruichi1024 | 2019-08-14 08:00 | IPO | Comments(1)


【 ステムリム:IPO価格決定 】


 2019/8/1、ステムリム(4599)のIPOの発行・売出が仮条件(1000〜1700円)の下限1000円で決定した。


1.発行・売出価格決定の経緯
< 仮条件 >
当初:2370〜3730円(平均3050円)
修正後:1000〜1700円(同1350円)

< 発行・売出価格決定 >
1000円(修正後仮条件の下限)


2.冨田会長CEOコメント
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48064810R00C19A8000000/

「米国など海外に比べて、日本は赤字のバイオベンチャーに投資できる機関投資家の層が非常に薄い。目標とする金額に届かなかった」

< 冨田憲介最高経営責任者(CEO) >
これまでに東証マザーズ上場の新興バイオ企業、アンジェスエムジー(現アンジェス)とオンコセラピー・サイエンスの社長を務めた


3.大阪大学玉井克人教授
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48058380R00C19A8DTB000/
大阪大学の玉井克人寄付講座教授の研究成果をもとに「再生誘導医薬」という独自の治療薬を開発

< 目論見書 >
上位株主2人の所有割合(除自己株式)
玉井克人(大阪府)19.78%(含む新株予約権1.7%)
玉井桂子(青森県)10.17%


<感想>
 本件は、IPO仮条件を大幅に引き下げ後、発行・売出価格が引き下げ後の下限で決まった事例。
 8月9日上場日の値動きに注目したい。

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by tsuruichi1024 | 2019-08-03 08:00 | IPO | Comments(0)


【 ステムリム:IPO仮条件の引き下げ 】



 2019/7/24、ステムリム(4599)のIPO仮条件が大幅に引き下げされた。
 以下は有価証券届出書の訂正届出書等より。


1.訂正理由
(1)仮条件
 2370〜3730円(平均3050円)
 ⇒1000〜1700円(同1350円)

(2)公募株数
 600万株⇒810万株

(3)売出株数(OA除く)
 240万株⇒30万株
 (冨田会長:210万株⇒ゼロ)

(4)OA(オーバーアロットメント)
 126万株(変更なし):(810+30)万株×15%
 (貸株人は冨田会長)


2.日経記事より
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL25H8T_V20C19A7000000/

 8月9日に東証マザーズ市場に上場する大阪大学発のバイオベンチャーのステムリム(4599*J)が24日、発行価格の仮条件を当初想定よりも大きく引き下げた。結果として、新規株式公開(IPO)による手取り額は計画よりも約4割減る見通しだ。投資家の需要が計画に届かなかったことが条件変更の理由だが、背景には新薬開発や商品化動向が見通しづらいバイオ株の企業価値評価の難しさがある。

 ステムリムは24日、日経QUICKニュース社の取材に対し、今回の想定価格変更の理由について「機関投資家などへの調査の結果、需要が想定を下回った」(経営管理部)と答えた。


<感想>
 本件は、IPO仮条件を大幅に引き下げた事例。
 記事によれば、2000年以降のIPO事例では、03年3月にジャスダック市場に上場したサン・ジャパン(当時)の30.8%以来の低さという。
 主幹事証券と会社の落とし所を探るやり取りがとても気になる。

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by tsuruichi1024 | 2019-07-31 08:00 | IPO | Comments(0)


【 ソフトバンク:IPOプライシング等 】


2018/11/30、ソフトバンクのIPOに絡む有価証券訂正届出書が提出された。以下はその概要。

< 仮条件:レンジなしの1本値 >
ブックビルディング方式による仮条件は、引受証券会社から通常レンジでの価格帯で提示されるが、本件は1,500円の1本値のみの提示
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ka/karijouken.html

一方、2018/12/3、日経電子版に、『ソフトバンク上場、異例の値決め 「配当利回り5%」死守』なる記事が掲載されていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38460990T01C18A2000000/

以下はその「異例の値決め」部分の概要。


1.仮条件:1,500円の1本値(上記の内容)
配当利回り:5%ありき
75円(*1)÷1,500円(*2)=5%
*1:目論見書から予想される年間配当金(配当性向85%)
*2:仮条件


2.引受手数料率:販売先/手法で格差
対面:2.5%
ネット証券:1.75%
機関投資家:1.5%
⇒ 年末間際のメガ・ディールは資本市場の実験場的側面も有している
(普通社債では、個人向けと機関投資家向けの引受手数料で格差を付けるのは一般的)


3.売出し概要
(1)総売出株式数:1,603,693,700株
国内売出し1,427,287,400株
海外売出し176,406,300株

(2)オーバーアロットメント:160,369,400株
国内売出しの需要状況等を勘案し、野村證券がソフトバンクグループジャパンから160,369,400株を上限として借り入れる株式の日本国内における売出し

(3)合計:約1,764百万株×1,500円≒2兆6,460億円

(4)スケジュール
ブックビルディング:〜2018/12/7
売出価格決定日:2018/12/10


<感想>
本件は、国内最大規模のソフトバンクの新たな手法を取り入れたIPO。

思い返せば、普通社債でも、平成7年に国内市場で社債管理会社不設置社債(財務代理人方式)を初めて発行したのもソフトバンクだった。

12/4に、総務省が端末安売りでソフトバンクを行政指導する中でのIPOが、このまま予定通り、進むのか。来週以降の株価推移を含めた、午後の動きに注目して行きたい。

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by tsuruichi1024 | 2018-12-06 08:00 | IPO | Comments(0)


【 新設分割による子会社上場 】


 2017/12/25、ABホテル(6565)(東祥(8920)の連結子会社)がJASDAQと名証2部に上場した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171221439960.pdf


1.IPO概要

・IPO価格:1,500円(a)

(1)公募増資
・株数:260千株(b)
・OA:108千株(c)(貸株人:親会社・東祥(8920))(GSO:第三者割合増資)

(2)売出し
・売出人:東祥
・株数:460千株(d)

< 合計 >
・828千株(e=b+c+d)

(3)増資勘案後の東祥グループ所有比率
・発行済株式数:7,088千株
・東祥G所有:6,260千株(88.3%)

(4)上場形式要件(一部)
・株式等の分布状況:上場株式数の10%
(JASDAQ・名証2部とも)


2.12/25(上場初日)~12/28の株価推移

(1)12/25
・初値:3,060円(13:23)(a×2.04)
・安値:3,035円(13:25)
・高値:3,760円(13:44)
⇒ 制限値幅の上限(ストップ高水準)のまま取引終了
・出来高:1,774,900株(f)
⇒ IPO株式の回転率:2.1倍(f÷e)

(2)12/26
・ストップ高:4,460円(9:27)(a×3.0)
・出来高:206,900株(ストップ高比例配分)
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/su/stop.html

(3)12/27
・ストップ高:5,160円(15:00)(a×3.4)
・出来高:17,600株(同上)

(4)12/28
・始値:5,660円( 9:12)
・安値:5,040円(12:36)
・高値:6,060円(10:33)
・終値:5,740円(a×3.8)
・出来高:3,023,200株(g)
⇒ IPO株式の回転率:3.7倍(g÷e)

(5)各種指標
< 前提 >
・18/3期当期純利益(予想):681百万円
・純資産:4,055百万円(17/9末3,547+増資分508)

< 各種指標 >
・EPS:96円
・PER:1,500円で16倍/5,740円で60倍
・ROE:16.8%
・時価総額:407億円(@5,740)


3.沿革・グループ戦略

(1)沿革
 2014/10:東祥から新設会社分割。資本金1億円
 2017/11:ABホテル17店舗を展開中


(2)グループ戦略
http://www.to-sho.net/news/file/20171120154819_1.pdf

a)上場の目的

・目標:年間5店舗以上の新規ホテルを開発

⇒ 上場企業として多様な資金調達手段・取引先からの信用を得ることが可能
⇒ グループの企業価値向上に資すると判断

b)株式保有方針

・連結子会社として50%超の株式保有割合を維持


(3)東祥の時価総額等
< 前提 >
・12/28終値:@3,640
・18/3期当期純利益(予想):4,000百万円
・17/9末純資産:25,298百万円

< 各種指標 >
・EPS:104円
・PER:35倍
・ROE:15.8%
・時価総額:1,394億円(除、自己株式)
(ABホテル株式の東祥G所有時価総額:359億円)


<感想>
 本件は、親子上場における子会社IPOの事例。上場日初値を付けた後の13:44以降、翌々日までストップ高が続いた。

 上場により、(1)会社:当面借入(レバレッジ)を活用してアセットを増やせる、(2)レンダー:株式時価総額をベースとした(担保)評価がし易くなる等、両者にとってメリットがある。

 将来、業界が成熟化した際に、少数株主の存在により、思い切った(損失を伴う)戦略が打てなくなることもあり得ようが、それはかなり先の話という整理で問題ないように思われる。

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by tsuruichi1024 | 2017-12-30 08:00 | IPO | Comments(0)


【 みらいワークスのIPO 】


 2017/12/19、みらいワークス(6563)が東証マザーズに上場し、初日は取引が成立せず、翌日にIPO価格の3.3倍で初値が付いた。
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08217/8525ea93/81e8/4cd2/a90d/fd4ea21f2ed8/140120171219438204.pdf


1.IPO概要

・IPO価格:1,840円
・引受価額:1,692.8円(引受手数料8%)

(1)公募増資:170千株

(2)OA:25.6千株(GSO:第三者割当増資)

(3)売出し:44千株(個人等3名)

⇒上記(1)~(3)計:239.6千株(発行済株式数(下記3(b))の20%)


2.ビジネスモデル等

(1)ビジネスモデル
・5,700人を超える独立プロフェッショナルの中から、最適なメンバーを選定してプロジェクト・チームを組成し、クライアントの業務、IT、組織などの経営課題を解決する

(2)経営理念
・日本の未来の為に挑戦する人を増やす

(3)ビジョン
・プロフェッショナル人材が挑戦するエコシステムを創造する


3.各種指標等(IPO後)

・当期利益:98百万円(18/9期予想)(a)
・発行済株式数:1,195.6千株(前提:シンジケートカバー取引なし)(b)
・純資産:526.9百万円(17/9末+上記1(1)+(2))(c)

(1)EPS:82.0円(d=a÷b)
(2)PER 1:22.4倍(IPO価格÷d)
   PER 2:74.2倍(12/20初値6,080円÷d)
   PER 3:80.5倍(同終値6,600円÷d)
(3)ROE:18.6%(a÷c)


4.上場初日の初値決定前の気配運用について
http://www.jpx.co.jp/news/1031/20171218-01.html

⇒ 上場初日は取引成立せず(買い気配:4,325円)


5.規制措置(初値決定日まで)
http://www.jpx.co.jp/news/1030/20171219-01.html


6.上場翌日(12/20)の株価

(1)初値(10:23)時点のスクリーンショット
・初値:6,080円(IPO価格の3.3倍)
・高値:6,080円
・安値:5,870円
出来高:222,500株(上記1の239,600株の92.9%)

(2)全日
・高値:6,700円
・安値:5,420円
・終値:6,600円
出来高:585,500株(同2.4倍)


7.IPOの売出しでなく市場内で売却した事例
(ロックアップの対象外)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171220439148.pdf


<感想>
 初値時点(10:23)の出来高はIPO株式数に近いため、受渡株式の大半が約定されたもとの思われる。
 初値はIPO価格(今期の予想PER の22倍)の3.3倍(同74倍)だったため、会社・売出人にとってはIPO株数を抑えた方が良かったかもしれないが、流動性(上記1:流通株20%)的には、止むを得なかったように思われる。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2017-12-21 08:00 | IPO | Comments(0)