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【 国家・国民を犠牲にした法的正義 】


 2018/3/15付け「【小浜逸郎】国家的事業か法的正義か」と題する記事がネット上に掲載されていた。
https://38news.jp/economy/11716

 以下はその概要。


1.ゼネコン関係者の話

「JR東海は積算や設計をゼネコンに手伝わせていた。工法の研究対象が重ならないよう情報交換をしてもいけないのか」

「これが談合といわれるなら、もうリニアには手を出しづらくなる。大成と鹿島が徹底抗戦したくなる気持ちは分かる」

⇒ 記事によれば、受注業者決定のための談合ではなく、工法の研究対象が重ならないための情報交換を月に一度行っていたというにすぎない


2.検察幹部の話

「9兆円の国家事業でなれ合いをしていたことが信じられない。こんなことをしていたら社会が腐り、日本企業の競争力が損なわれてしまう」(産経ニュース2018.3.2)

⇒ 「企業の競争力が損なわれる」= 完全な競争至上主義(「社会が腐り」というのは抽象的で意味不明)

= ここには、取り締まる官庁の融通性のなさと、ヨーイドンの競争こそ最高善だとするアメリカ式新自由主義のイデオロギーとが重なり合っている


3.最近の傾向

・公取委や検察は、以前まで定着していた指名競争入札さえも違法視するようになってきた


⇒ 一般競争入札という単なる形式的な純粋性を守ろうとして、それに抵触するものは、何でも切り捨てようとする硬直した思想

< 指名競争入札のメリット >
・ある特定の事業に対して経験豊富で投資力も十分な企業に参加者を絞ることで、公共事業を迅速かつ円滑に進められるという大きなメリットあり

・リニア新幹線のような巨大な事業であればあるほど、受注企業間の緊密な連絡や話し合いの機会が必要になってくるはず

⇒ 日本列島全体の経済成長に結びつくこの事業に、せっかく大手ゼネコンが協力し合って取り組んでいるさなか、幼稚な正義感をタテに口ばしをはさんで協力関係を分断している


4.2017年4月の公取委の事例

< 東日本大震災後の農地復旧工事を舞台にした談合疑惑 >
・工事を発注した農水省東北農政局と、ゼネコン約二十社を立ち入り検査

[ 本来 ]
・災害で荒廃してしまった農地は、被害に遭った農家の方々のために一刻も早く復旧させなくてはならない

・工事を少しでも遅らせることは絶対禁物

・早く的確に着工にこぎつけるために、談合によって現地事情に詳しい適切な業者を絞り込む必要がある

[ 実際 ]
・この場合も、現地の事情を何も考えない取り締まり官庁のリゴリスティックな競争至上主義が見事に露呈(「話し合い」解決がただ法律の文言に多少抵触するからといって、どうして「法の正義」を振りかざす必要があるのか)

⇒ 農地復旧工事が遅延


5.一連の流れ(結論)

< 最近の官庁等による取り締まり >
・国家や国民生活にとって重大な意味を持つ事業に次々に水を差して、純粋正義派お坊ちゃま君を演じている

・物事の優先順位を完全にはき違えている

⇒ 日本国民のために仕事をするという、公共精神のかけらも見当たらない

⇒ 摘発するにも、現場の事情を斟酌するさじ加減というものがあることをまるでわきまえていない


<感想>
 本件は、日頃、何気なく見ているニュースの中に、実は本質的な部分を見過ごしている可能性を感じさせる内容であった。
 情報とは一方的に与えられるだけに留めずに、自ら考える必要性を改めて考えさせられた。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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by tsuruichi1024 | 2018-03-29 08:00 | 検察 | Comments(0)