【 廣済堂MBO:会社 vs 創業家・監査役の争い 】



 2019/2/19、廣済堂(7868)が、「当社監査役の MBO に対する反対の意見表明について」と題するプレスリリースを実施した。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01383/b54cb83f/5823/4794/80e3/af4dcedafe40/140120190219479220.pdf

 以下はその概要。


1.中辻監査役と創業家株主の反対理由


(1)TOBによって当社の企業価値が向上するか否かが不明であり、企業価値を毀損するおそれがあること

(2)公正な手続を通じた株主への配慮がないこと


2.上記(1)・(2)に対する会社の反論、論点のすり替え

(1)TOBを主導するベインキャピタルは、当社の事業に対する十分な理解の下で、

ア)国内の印刷事業は上流工程、所謂マーケティング領域からの一気通貫の展開により、

i)付加価値と高収益性を生むためのベインキャピタルの保有する既存ポートフォリオの紹介

ii)それらと当社グループの協業を推進し、「インクを紙に落とす」という従来型の印刷(製造部分)の基盤を維持しつつも価格競争ではなく、印刷物(成果物) がもたらす価値を共に共有できるパートナーシップの構築を目指すこと

イ)印刷事業以外の事業(主に人材事業)についても、将来的な海外人材紹介事業の成長を見据えた上で、例えば海外現地企業とのパートナーシップ構築の支援や、M&Aを通じた 高成長セグメント事業への進出・拡大の支援といった様々な具体的な施策を提案していること

⇒ 当該施策の実行は企業価値の向上や当社の持続的な成長につながるものと評価


(2)中辻監査役への攻撃に終始

ア)中辻監査役に対しても、TOBに関して、2019/1/17開催の取締役会に先立って、当日、他の監査役に共有していた内容と同程度の内容について説明を行い、TOBの意義・内容について十分に理解いただけたものと認識していること

イ)実際に中辻監査役は、当該取締役会においてTOBへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対してTOBへの応募を推奨する 旨の決議を行うことに対して、異議がないことを明示した上で、決議の直後に、「成立に向けて頑張って下さい」と述べて、改めて異議がないことを示すとともに、他の取締役を激励する発言をしていること

⇒ 当社としては、TOBに関する手続について、公平性・公正性に欠けるところはないものと考えている


ウ)中辻監査役の、TOBの真の目的は、当社の現経営陣らの自己保身と、公開買付者による当社の廉価買収である可能性があるとの推測は、以下の通り該当せず

i)取締役の具体的な人数、時期及び候補者等については現時点では未定であること

ii)土井氏及びベインキャピタルの当初提示額である550円/株から610円/株にまで引き上げ、また、第三者委員会も合計11 回開催し、価格の最大化に向けて尽力

⇒ 廉価買収を企図したとの事実はない


エ)創業家株主の代理人を務め、かつ、自身が当社の株式を相当数有する株主でもある者が中辻監査役の顧問弁護士に就任した(なお、中辻監査役の顧問弁護士として名を連ねているその他の弁護士も全て当該弁護士と同じ法律事務所に所属しており、かつ、創業家株主の代理人を務める)として、当社の内部情報を複数記載した通知書が、突如、当社に届いた

⇒ 会社法第381 条第2項に基づく報告請求として、TOBに関する報告の要請あり

⇒ 中辻監査役の上記(2)イ)の言動と反し、明示的に異議を述べなかったに留まるとの主張


< 会社の強い疑念 >

 その報告先として、創業家株主の代理人を務め、かつ、自身が当社の株式を相当数有する株主でもある中辻監査役の顧問弁護士の所属法律事務所が指定されていたことから、当社としては、当該報告要請は、監査役としての職務遂行の目的ではな く、一部の特定の当社株主(の代理人)が当社の内部情報を取得する目的のために行われたものなのではないかとの強い疑念を持つに至った


< 会社の回答 >

1)取締役会での中辻監査役の言動について事実と異なる記載がされているのか理解に苦しむ

2)当社に対して善管注意義務を負う当社取締役としては、創業家株主の代理人を務め、かつ、自身が当社の株式を相当数有する株主でもある者に対して当社の内部情報を報告することには応じかねる


3)創業家株主にTOBの意義を理解いただけるよう、引き続き努力したい


3.株価終値推移

 1/17 419円、1/18 499円、1/21 579円、1/22 609円
 2/1 688円、2/5 731円、2/6 792円、2/22 711円


(ご参考)
 http://tsuru1.blog.fc2.com/blog-entry-642.html


<感想>

 本件は、廣済堂のMBOを巡る、会社側と創業家・監査役の争い 。

 予め、筆頭株主(9.6%保有)である創業家と相談することのない、敵対的TOBの変形(一形態)のようにも見える。

 株価は、TOB価格610円を上回って推移してきるため、TOBでの取得株式数は下限の66.7%を下回る可能性大。

 TOB期間終了日は3月1日。今後のTOB価格引き上げを含めた、MBOの行方を注視していきたい。

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by tsuruichi1024 | 2019-02-24 08:00 | MBO | Comments(0)


【 エヌ・デーソフトウェア:MBO 】


2019/2/7、 エヌ・デーソフトウェア(3794)が、MBOを発表した。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3794/tdnet/1671605/00.pdf

以下はその概要。


1.MBO

マネジメント・バイアウト(MBO):公開買付者が、対象者の役員の依頼に基づき公開買付け(TOB)を行い、対象者の役員と利益を共通にする公開買付け

当社の代表取締役社長である佐藤廣志氏(「佐藤氏」)は、自身が議決権の100%を所有する資産管理会社である森の学校(所有割合:20.03%)が、TOB成立後、公開買付者に出資することを予定。また、佐藤氏は本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定


2.公開買付者

株式会社ジェイ・ケイ・イー:
ジェイ・ウィル・パートナーズ(「JWP」)が運営管理する合同会社ジェイ・ヴイ・エー100%出資のSPC(2018/12/20に設立)

目的:当社株式の全てを取得・所有し、当社の事業を支配・管理すること

【 JWP 】
2003年4月に設立された独立系の投資ファンド運営会社。資金運用は累計3,500億円超。主に国内の地方都市を中心とし、約170件の投資実績有り

投資哲学:国内の投資家に健全な利と意義を提供することに責任を持ち続けること
⇒能動的な事業・財務支援を通じて投資先企業が本来発揮すべき価値を具現化

投資ファンドの資金の出し手:日本国内の金融機関や年金基金等を中心とする機関投資家等

主な投資実績:
2015年5月 江守グループホールディングス(福井県福井市)
2015年3月 三洋テクノソリューションズ鳥取(鳥取県鳥取市)における親会社(三洋電機)からの独立支援

< ヘルスケア(介護施設、医療機関等)領域 >
2008年8月 ボンセジュール(東京都港区)
2012年10月 生活科学運営(東京都新宿区)

ノウハウ:ヘルスケア領域・IT領域で多数の投資実績・経営支援ノウハウ等を有する

⇒ JWPのノウハウ・ネットワークを活用し、経営戦略の実行力を強化し、実現性を高めることが望ましいと考えた


3.MBOの背景

以下(a)〜(c)を考慮の上、株主には現在の市場株価に対してプレミアムを付した価格でのTOBによる売却の機会を提供し、当社が非公開会社となった後に企業成長に向けた施策を進めることが妥当であるとの結論に至る

(a)i.次世代システムの開発・導入、ii.事業領域の更なる深化・拡大の推進は、中長期的に見れば事業成長や収益安定化が見込まれるものの、 直ちに会社の利益には貢献しない可能性が相応に高く、大規模なシステム開発・導入投資、人材採用・育成の強化、新製品や技術開発のための研究開発等、経営基盤を強化するための投資の実行には相当程度の事業リスクを伴うことが想定されること

(b)アプリケーションソフトの開発・導入を推進するに当たり、従来の主力商品で あるパッケージソフトと収益構造が異なるため、業績が一時的に不安定になる可能性があること

(c)周辺事業者との連携やM&A等、当社の経営課題を早期に解決するために必要な施策について積極的に取り組んでまいりたいと考えているところ、このような非連続的成長の実現過程においては一時的に当社の収益を悪化させる可能性もあること等によって、一時的な財務状態の悪化等により当社の市場株価が下落若しくは不安定化するリスクも懸念され、安定的な収益向上を期待される当社の株主へ不利益をもたらす可能性が相応に予想されること


4.MBOの概要

TOB価格:1,700円(2/6終値1,320円に対して 28.8%のプレミアム)
TOB期間:2019/2/8〜3/25(30営業日)


5.株価終値推移
2/6 1,320円、2/7 1,321円、2/8 1,621円(ストップ高比例配分)、2/12 1,701円


<感想>
本件は、ジェイ・ウィル・パートナーズと組んだMBO。
MBOの背景にある通り、合理的な内容であるように思われる。

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by tsuruichi1024 | 2019-02-13 08:00 | MBO | Comments(0)


【 廣済堂:MBOによる非公開化 】


 2019/1/17、廣済堂株式(7868)に対する公開買付け(TOB)の開始に関するお知らせが発表された。
 https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01383/41aa4c68/e5e7/45c9/ac36/614b613de988/140120190117460766.pdf
 (訂正)
 https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01383/eec3c565/cf7b/470d/aed1/89d7cf2be6c3/140120190118460820.pdf

 以下はその概要。


1.TOB(MBO)に至る背景
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01383/f871a065/11bc/48a9/86e0/0660ecd1a5ac/140120190109457983.pdf

(1)経営環境の変化

・当社グループを取り巻く経営環境、とりわけ当社グループのコア事業である印刷事業の経営環境は、コミュニケーションツールの紙媒体から電子媒体への移行等に伴う需要低下や競争激化に伴う更なる受注採算の悪化が想定より急速に進んでいる

・また人材事業についても、HRテック(テクノロジーの活用で採用活動等人事領域の業務効率改善を行うソリューションを指す「Human Resources Technology」の略語)の台頭により、今後、従来型の求人媒体に対する需要が減少して行くことも想定され、当社グループの経営環境は更に厳しくなることが懸念されている


(2)ベインキャピタルの協力

・事業構造改革についての取り組みは、中長期的に見れば大きな成長が見込まれる機会であったとしても、それらの施策がすぐに当社グループの利益に貢献するものであるとは考えにくく、計画どおりに事業が展開しない事業遂行上の不確定リスクに加え、短期的には収益性が悪化することも懸念される

・この点について、上記のようなリスクを伴う事業構造改革を着実に進めていくため、事業会社・コンサルティング会社での経験を有するプロフェッショナルを中心に構成されており、一般的な投資会社の提供する資本・財務的支援にとどまらず、事業 運営を現場レベルで支援することで着実に成長戦略を実行可能であるベインキャピタルが協力することは、当社グループにおける既存事業の業務改善、事業構造改革に付随するリスクや経営プロセスの適格な評価とスピード感のある意思決定等を実施して行く上で非常に有益であると考えた

・土井社長及びベインキャピタルは、当社グループが今後中長期的な更なる成長、企業価値向上を実現するためには、当社グループのコア事業である印刷事業における事業構造改革及び印刷の上流工程(マーケティングソリューション等)への進出、また人材関連事業についても既存事業の収益力強化に加え、今後成長が期待される領域(人材紹介・人材派遣等)への経営資源の投入が必要であると考えるに至った。

・また、これら一連の施策を迅速に実行していくためには、社内の経営資源に限定せず、社外からの人材や経営ノウハウを活用し、短期間で着実に実行できる体制を構築することが必要であると考えた

・これらの分析の結果、土井社長及びベインキャピタルは、短期的な当社グループの利益水準やキャッシュ・フローの悪化を恐れ、これらの施策を縮小する、又は先延ばしにすることは、当社の中長期的な競争力・収益力を弱めることにつながる可能性があると考えた

・その上で、当社が短期的な業績変動に動じることなく、機動的に経営課題に対処し、安定した経営体制の下で中長期的に持続的な企業価値向上を実現させていくためには、

ア)ベインキャピタルをスポンサーとして、当社の資本を再構成して非公開化し、

イ)また機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする安定した新しい経営体制を構築した上で、当社従業員が一丸となって当社の事業構造改革の実行及び事業の積極展開に取り組むこと

が最善の手段であるとの考えに至った


(3)時系列
・2018/6:上記の経営課題に対する施策を実行し、また今後の経営の方向性を検討する過程で、土井常由氏が当社の代表取締役社長に就任

・2018/8上旬:土井社長は、当社が取り組むべき施策領域が非常に多岐にわたる状況であり、限られた経営資源のもとでかかる施策の全てを実現することは困難であると考えた

・2018/9上旬:金融機関を通じて紹介されたベインキャピタルと土井社長との間で話し合いの機会がもたれ、ベインキャピタルは土井社長に当社の将来的な戦略についてのアドバイスを提供し、土井社長は中長期的な経営を進めていく上での論点について総合的に検討、分析した

・2018/9中旬:初期的な打診を行い、当社とTOB実施の可能性について協議を重ねた

・2018/10下旬:TOB実現可能性の精査のための当社に対するデュー・ディリジェンスを開始。土井社長及びベインキャピタルは、当社に対して、2018/10/30にTOBに関する正式な初期的提案を実施


2.TOB(MBO)の概要

 公開買付者:Bain Capital Private Equity, LP が投資助言を行う投資ファンドが発行済株式の 全てを間接的に所有する(株)BCJ-33の完全子会社。2018年12月に設立。対象者株式を100株所有

 主たる目的:対象者株式の全てを所有し、対象者の事業活動を支配及び管理すること

 Bain Capital Private Equity, LP及びそのグループ:全世界で約1,050億ドルの運用資産を持つ国際的投資会社。日本においては2006年に東京拠点を開設して以来、約30名のプロフェッショナルにより投資先の企業価値向上に向けた取り組みを進めている。主に事業会社・コンサルティング会社での経験を有するプロフェッショナルを中心に構成されており、一般的な投資会社の提供する資本・財務的支援にとどまらず、事業運営を現場レベルで支援することで着実に成長戦略を実行し、数々の価値向上施策を成功に導いた実績を有している

 日本での投資実績:ジュピターショップチャンネル(株)、(株)すかいらーく、(株)ドミノ・ピザジャパン、(株)マクロミル、(株)ベルシステム 24、(株)アサツーディ・ケイ、東芝メモリ(株)など14社(グローバルでは1984年の設立以来 450社超に対して投資実績有り)

 ⇒ いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO*)のための一連の取引の一環として、TOBを実施
 *MBO:公開買付者が対象者の役員との合意に基づきTOBを行う者であって対象者の役員と利益を共通にする者である取引をいう

(1)期間:2019/1/18〜2019/3/1(30営業日)
(2)TOB価格:普通株式1株につき、金610円(TOB決定の前営業日である2019/1/16終値424 円に対して43.9%のプレミアム)
(3)買付予定の株券数:24,913,439株(下限:16,609,000株、所有割合66.67%)
(4)公開買付代理人:SMBC日興証券
(5)決済の開始日:2019/3/8
(6)借入:(株)三井住友銀行から総額341.3億円を限度として借入予定


<感想>
 本件は、廣済堂株式に対するベインキャピタルをスポンサーとしたMBO。
 経営環境の変化に対して、短期的な業績変動に動じることなく、機動的に経営課題に対処し、安定した経営体制の下で中長期的に持続的な企業価値向上を実現させていくためには、非公開化することが最善の手段であるとの考えは正しいように思われる。

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by tsuruichi1024 | 2019-01-21 08:00 | MBO | Comments(0)


【 東栄リーファーライン:村上世彰氏からの提案を受入れ 】


 2018/2/7、東栄リーファーライン(9133)は、MBO価格引上げを含めた開示を行った。
http://ir.toeireefer.co.jp/pdf/toeireefer20180207_1.pdf


1.新たなMBOの骨子

『その後、公開買付者と対象者の第2位の株主である株式会社レノ(「レノ」)及び対象者の第1位の株主でレノの共同保有者であるオフィスサポート株式会社の親会社の大株主である村上世彰氏との間で慎重に議論を行った結果、中長期的視点かつ機動的な経営判断を実行し、対象者の企業価値向上を実現するためには、対象者を非公開化することが最善の方法であるという点において認識が一致し、迅速に本取引を実施することが、対象者のみならず、対象者の株主及び対象者取引先にとっても望ましいと考え、本公開買付けを実施することを平成30年2月7日に決定いたしました。』

(1)MBO(TOB)価格
・600円から800円へ引上げ

(2)買付け等の期間
・2018/2/8~2018/3/23(30営業日)


2.村上ファンド系の大量保有(変更)報告書
http://www.kabupro.jp/edp/20180215/S100CDW5.pdf

(1)保有目的(変更前⇒後)
・経営及び状況に応じて経営陣への助言、重要行為提案等を行うこと ⇒ 純投資

(2)担保契約等の重要な契約
・2/7付でTOB応募契約を締結

(3)保有株式/簿価
オフィスサポート 549,700株
/@598.9
レノ   480,800株/@621.9
合計 1,030,500株(17.03%)/@609.6

⇒ 投資期間約4ヶ月で196百万円の差益

(参考)
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12345513281.html


<感想>
 本件は、村上世彰氏の提案を受入れて、新たなMBO(価格引上げ:600円⇒800円)の実施を決定した事例。
 黒田電気もそうだったが、村上世彰氏の負けない戦いは今後も続いて行くように思われる。
(参考)
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12337297643.html

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by tsuruichi1024 | 2018-03-19 08:00 | MBO | Comments(0)


【 鈴縫工業:MBOを活用した抜本的改革 】


 2017/12/19、鈴縫工業(1846)がMBO*を発表した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120171219438712.pdf

*MBO(マネジメント・バイアウト):一般に、買収対象会社の経営陣が、買収資金の全部又は一部を出資して、買収対象会社の事業の継続を前提として買収対象会社の株式を取得する取引


1.MBO(TOB)の概要

(1)公開買付者:株式会社アサヒ
・株主:
鈴木良亮(当社取締役、鈴木一良社長長男)50%
鈴木達二(当社取締役、鈴木一良社長二男)50%

・役員:
代表取締役 鈴木一良当社社長(71歳)
取締役 鈴木正三当社専務(一良社長弟、67歳)、上記株主2名(44歳、43歳)

(2)買付予定数の下限
・6,957,000 株(所有割合:66.67%)

(3)TOB価格
・390円(12/18終値@327の19.3%プレミアム)
⇒ PER :13.1倍(EPS:29.7円、ROE:5.3%)

(4)TOB期間
・17/12/20~18/2/13(34営業日)

(5)デットファイナンス
・SMBCより4,274百万円(上限)
(発行済株式数10,597千株-自己株式162千株)×@390+205百万円


2.MBOに至った背景等

(1)MBO後の経営方針
・経営に直接関与しない少数株主が存在する上場企業としては取りづらい一定の事業リスクを背負ってでも、 経営者株主の責任において、中長期的な視点から抜本的かつ機動的に以下のような経営戦略を迅速かつ果敢に実践する必要があるとの考えに至る

(a) 首都圏を中心とした営業エリア拡大による民間受注増加やリフォーム事業の多店舗展開による収益増加

(b) ICT*施工システムの導入による生産効率改善
*Information and Communication Technology(情報通信技術)

(c) M&Aによる建設関連サービス**の拡充
**電気工事、通信工事、給排水工事、メンテナンス等


(2)株価への悪影響等の回避
・当社株主に対して発生する可能性がある上記悪影響・リスクを回避可能


(3)機動的・抜本的な経営戦略
・中長期的な視点から抜本的かつ機動的な経営戦略を迅速かつ果敢に実践可能


(4)所有と経営の一致
・所有と経営を一定の範囲で一致させることにより、意思決定の迅速化と施策の実行力強化を実現し、上記各施策を迅速かつ果敢に実行可能


3.株価/出来高推移
     株価     出来高
12/18 327円     2千株
12/19 327円     1千株
12/20 391~397円 706千株
12/21 389~391円 286千株


<感想>
 本件は、MBOを活用した非公開化により、(1)事業承継と(2)抜本的・機動的な経営戦略の実践を目指すもの。
 自社のみの力で改革等が可能な場合、将来のエクイティ部分の売却可能性(売却益⇒出資者・経営陣へ)等を考えると、ファンドによるTOBよりもMBOの方が望ましい。

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by tsuruichi1024 | 2017-12-22 08:00 | MBO | Comments(0)


日本デジタル研究所のMBO


2016/10/31、日本デジタル研究所(6935)のMBOが発表(http://www.jdl.co.jp/corp/pdf/20161031_Notice_Regarding_Commencement_of_Tender_Offer_jp.pdf)された。


JDL、社長の資産会社がMBO(出所:日経Web2016/10/31)
■日本デジタル研究所(JDL) 会計システムを手がけるJDLの前沢和夫社長の資産管理会社、ジェイ・ディ・エル技研(東京・江東)がJDLのMBO(経営陣が参加する買収)のため株式を買い付けると発表した。JDL技研はJDL株38.64%を保有する筆頭株主で、TOB(株式公開買い付け)を通じて70%以上の株取得を目指す。買い付け価格は1株2420円で、期間は11月1日から12月20日まで。


【 MBO概要 】(出所:EDINET)

 公開買付者 有限会社ジェイ・ディ・エル技研
 買付価格   2,420円/円(2016/10/31終値(1,634円)に対して48.1%のプレミアム)
 買付期間   2016/11/1~12/20(34営業日)
 買付予定株式数 20,805,116株(下限:10,902,600株(発行済株式数の42.75%))
 必要資金総額 50,498百万円(買付代金50,348百万円、買付手数料140百万円(⇒三菱MS証券)、他)
 充当しうる借入等 61,300百万円(注)
 重要な合意  公開買付者は、前澤和夫氏との間で、H28/10/31付けで、所有株式の全て(100万株、2.95%)について、TOBに応募する旨合意

(注)公開買付者は、BTMUから613億円※を上限として融資を行う用意がある旨の融資証明書を2016/10/28付で取得(※タームローン238億円(20年の分割返済、固定金利)、ブリッジローン275億円(変動金利))

 株主        所有株式数 割合 
 ジェイ・ディ・エル技研 a 13,099千株 38.58%
 *前澤和夫氏    b 1,000千株 2.95%
 買付株式数の下限 c 10,903千株 32.11%
 合 計       25,002千株 73.64%
 自己株式     d   47千株 0.14%
 発行済株式数   e 33,952千株 100%
 c = (e-a-b-d)/2+b=10,903千株←majority of minority
 注)*はTOBに応募


【 株式の非公開化に伴うメリット 】

・変化する事業環境を乗り切り、激化する競争に勝ち抜くための一貫した経営ビジョンに基づく断固とした経営改革を実行するためには、株主、経営陣者自及び従業員が一丸となって経営改革に注力するに留まらず、迅速かつ果敢に意思決定できる経営体制を構築することが、中長期的観点から対象者Gの企業価値の最大化のために必要不可欠であると考えている

・上場を維持したままかかる施策を実行する場合、
 (1)一時的に利益水準が減少し株価に悪影響を及ぼすことが予測される
 (2)短期的な業績の変動は資本市場から必ずしも十分な評価を得ることができない

 ⇒ 対象者の株主の期待に副えない可能性あり
 ⇒ MBOによる非公開化が最善&更なる企業価値向上に資すると判断


【 TOB後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項) 】

1.TOBが議決権の90%以上となる場合

・公開買付者は、対象者の株主の全員に対し、対象者株式の全部の売り渡し請求(会社法179条)

2.TOBが議決権の90%未満となる場合

・公開買付者は、(1)株式併合、(2)単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を要請(by 臨時株主総会)

 ⇒ TOBに応募しなかった株主 = 株式併合の結果、1株未満の端数株主となる
 ⇒ 2,420円/株相当の金銭を交付(by 対象者 or 公開買付者に売却(会社法235条及び234条2項〜5項)


 短期的な視点からは、常にMBOを実施した方が良いということになりそうだ。


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by tsuruichi1024 | 2016-12-07 08:00 | MBO | Comments(0)


アデランスのTOB(MBO)


アデランス(8170)のTOB(MBO)が、2016年10月14日に発表された。(http://pdf.irpocket.com/C8170/xAmX/RqTC/fw46.pdf

【 TOB(MBO)概要 】
公開買付者     アドヒアレンス株式会社(10/14現在インテグラルの100%子会社)
買付価格      620円/株(10/14終値(480円)に対して29%のプレミアム)
買付期間      2016/10/17~11/29(30営業日)
買付予定株式数 36,459,753株(下限:19,532,800株(発行済株式数の53.86%))、他CB、WTあり
必要資金総額   22,805百万円(買付代金22,605百万円、買付手数料190百万円(⇒みずほ証券)、他)
充当しうる借入等 23,000百万円(みずほ銀行)
その他資金調達方法 インテグラル2号投資事業有責組合     5,200百万円
              普通株式の出資 Integral Fund Ⅱ(A)L.P.   600百万円
                         根本信男氏         1,200百万円
   
報道によれば、根本会長兼社長と津村副社長が議決権の過半を持つMBO形態によるTOBの模様。ネット通販等、異業種からの低価格での新規参入による市場環境の変化もあり、抜本的に立て直しのために会社も賛同している。

以前スティール・パートナーズと経営権を巡って対立して混乱、人材が流出した経験がある。抜本的な合理化での赤字により、これ以上の株価低迷により、新たなスティールが出て来ないとも限らない。

あれっ、でも何で上場廃止?

①資金調達に困らない(借入だけで充分)、②知名度は充分で人材確保的にも困らない、③相続税等の確保目的の資金化(株式売却)も不要、であれば、株式を公開している意味がないってことか。

私も非公開化を目指すオーナーのお手伝いをしてみたい。


by tsuruichi1024 | 2016-11-21 01:00 | MBO | Comments(0)